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Amazon.co.jp ・本 (160ページ) / ISBN・EAN: 9784103032335
感想・レビュー・書評
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『腐泥の果実』は破局間際なのでともかく、この本に収められてる話の秋恵はいずれもこれまで読んできた数冊に比べてやや強い感じがする。不思議なもので秋恵が強いほど貫多が余計に理不尽におもえてくる。それにしてもいまさらながら西村賢太の私小説にすっかりハマってしまった。
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いつも通りの短編集。芥川賞受賞後初の短編集らしいが、受賞前と何が違うのか、あるいは何かが違っているのかは知らない。
個人的にもっとも面白かったのは「腐泥の果実」。木枯しの吹く寒い日、主人公北町貫多は文具店で以前交際していた女性が誕生日にプレゼントしてくれたものと同じペン皿が売られているのを見つける。自身が犯した過ちを悔いるとともに思い出の世界に没入するが・・・そんな話。
秋恵に未練は無いと前半で言っておきながら終盤で「今もただ一人の女性」と認めてしまうところは安定の面白さ。しかもどうしょもないオチまで付いている。
ただ、大切な恋人を失ったと言うより、心の寂しさを埋めてくれるピースを無くしてしまった・・・という感じの印象を受けるのは何故だろう。
甘えさせてくれる対象を求めるマザコン、とも違う気がする。ボロボロの家に入り込む隙間風から必死で身を守ろうとしているような・・・
こんなモノを読んでしまっては、誰かに好意を抱くたびに「それは愛情なんかじゃなくて自分の空虚・寂しさを埋めようとしてるだけなんじゃないの?」と自分に問いかけたくなってしまう。余計なことは考え過ぎない方が幸せになれるだろうに。 -
めんどくさい女子って話はよく聞くけど、本作はほんっとめんどくさい男子が出てくる。その男貫多の夢の同棲生活、相手とのやりとり、全体的にレトロ感ただようのに、なぜか新しいおもしろみがあるのは、さすが平成の四畳半小説家のなせる技か。
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秋恵モノ。貫多まじ最低最悪なんだけど、秋恵にタクシー乗っただろとか詰めておきながらじつは自分も乗ってたとかなんか笑ってしまう。
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図書館借り出し
陰雲晴れぬ
肩先に花の香りを残す人
寒灯
腐泥の果実
北町貫多、秋恵もの
ちと物足りない感じかな
もっと振り切って欲しかったな -
主人公貫多と恋人秋江との蜜日の日と後日談。甘やかされ育ったどうしようもない同実の男として身につまされる思い。いつもの如く剥き出しの人間性で同様の男の様を想起させ悔恨と反省に至らせて頂いた。今年1冊目から安定の西村作を読了できいいスタートを切れた。
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もう秋恵ものは辛くて読めぬ。
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北村貫多と秋恵の夫婦喧嘩を克明に記載していることに驚嘆した.これらの喧嘩を演じた作者の記憶力も大したものだが、かなりのドメスティックバイオレンスだな.表題作の暮れの出来事、帰省や年越しそばの話しが面白い.
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「ぼく、おまえをずっと大切にするから、今後ともひとつよろしく頼むよ」待望の恋人との同棲生活の始まり。仲睦まじく二人で迎える初めての正月に貫多の期待は高まるが、些細な事柄に癇の虫を刺激され、ついには暴言を吐いてしまう。二人の新生活にあやうく垂れ込める暗雲の行方は―。
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北町貫多の念願の女性との同棲生活が中心の内容。
これまでの作品の中でもかなり読みやすかった。
それにしても彼ほど後悔がついてまわる人間もいないのではないか。
後悔する様子を見事に描いていると思う。
彼の女性に対する態度は相変わらずにひどいものであると思う。
ただ「腐泥の果実」におけるプレゼント諸々の件は、その思考過程としてわからなくないところもある…
しかし思うところはあっても彼のような行動は決してとらない。
本作からその顚末を観て絶対に自分はそうならないと思った。 -
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所謂「秋恵」もの4つ。
どれを切っても面白いんだけど、金太郎飴みたいな感じ。
作家になって以降の小説がほとんどないから、今ものすごいお金が入ってその後のこととかを読んでみたい。
「陰雲晴れぬ」
引っ越し、管理人とのトラブル。
「肩先に花の香りを残す人」
整髪料。
「寒灯」
正月。
「腐泥の果実」
作家になってから、「秋恵」との生活を振り返る。
皮のペン置き。 -
やっぱり
西村賢太はいいなぁ…。
読みながら
おいおい!とか
分かるぜ!とか
ヒド過ぎ!とか
ツッコミながら読める。
素晴らしい作家さんです。 -
「ぼく、おまえをずっと大切にするから、今後ともひとつよろしく頼むよ」
待望の恋人との同棲生活の始まり。
仲睦まじく二人で迎える初めての正月に貫多の期待は高まるが、些細な事柄に癇の虫を刺激され、ついには暴言を吐いてしまう。
二人の新生活にあやうく垂れ込める暗雲の行方は―。
…
これは"秋恵シリーズ"というんでしょうか。
新潮文庫から出ている「廃疾かかえて」(読みた〜い)にも"秋恵"が出てくるそうなので。
本書は連作短編集になります。
収録内容は、
「陰雲晴れぬ」
「肩先に花の香りを残す人」
「寒灯」
「腐泥の果実」
…
主人公はお馴染み貫多。
待望の"恋人"との同棲生活の始まり〜破局に至る過程が描かれます。
いやー、もう…よく1年持ったなぁと。秋恵ってば忍耐強い!
私だったら、貫多とは同居、ぜっっったい無理ですね。
お付き合いも無理。
とてもじゃないけど耐えられない(苦)
でも私も案外、貫多タイプなので…うわぁ凄いサイテーじゃん;
でも、小説として読む分には面白い1冊です。
最初は互いに気を使って〜貫多の横暴さとそれに耐える秋恵〜冷めた秋恵の流れ、特に秋恵の変化が生々しくて!
秋恵には悪いけど、貫多がキレて罵詈雑言を浴びせる喧嘩シーンとか笑えます。
人の喧嘩って離れて見ると面白いもんなー(←悪趣味
好きなシーンは、「肩先に花の香りを残す人」から…
嗅覚が鋭い貫多は、タクシーで上着に整髪料の臭いが移ったことに腹をたてます。
「ああっ、何んだよもう! クリーニングに出したばかりのジャケットなのに!」
とキレる貫多。
そして怒りの矛先は秋恵に向けられ…
「今日からぼく、おまえのことを畜膿女と呼んでやるからな」
「…………」
「返事をしろい、畜膿女!」
(略)
「なにがちくのう女だよ! イヤなこと言わないでよ!」
と以降、壮絶な舌戦が繰り広げられる事になるんですが…もうこの喧嘩シーンが最高で(爆)
畜膿女!って…唖然ボーゼン、こうなると笑えますね、もう。
終いには「ゴキブリ女」呼ばわり。かあぁ〜。
しかもヒッドイ事いってるのに一人称は「ぼく」なんだ。
そして秋恵の台詞では「ちくのう女」と畜膿を漢字ではなく平仮名で書く辺りが上手いなぁ、と。
このあと貫多、秋恵にグサリとやられてますが(苦笑)
収録作の中では「肩先に〜」が一番好きですね〜。笑えるし。
面白かった〜♪ -
文体が好き。マンネリ化はしない。
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西村賢太氏の最新単行本。
おなじみ北町貫多が、恋人秋恵と同棲し、やがて去られてしまうまでの物語。数篇の短編小説が連作の形で収録されている。
秋恵のことを書いた小説は、秋恵シリーズというらしい。今回の小説の中で、同じテーマ(秋恵)ばかり書いているようなことを貫多が言っている。秋恵は西村氏にとって永遠のテーマのひとつであるようだ。
あいかわらず筆が冴え、これ以上ない自虐的なエピソードにしばしばうんざりする思いになりながらも、やっぱりクスクス笑ってしまう。自分を落としこんでユーモアをもたせる腕が達者である。
秋恵は実在するのだと思うが、こんなにあからさまに書かれてしまうと、本人としてはたまったものではないだろう。
私小説を書くということは、回りの人間との関係性を壊してしまうくらいでないと、作品としては成り立たないのだと、あらためて思う。 -
北町寛太シリーズで貫太にようやく秋恵という恋人が出来て一緒に暮らし始める「隠雲晴れぬ」から秋恵と別れたあとの話しの「腐泥の果実」まで貫太と秋恵の話しが4編収録されている。
相変わらずの賢太節で仔細な事に腹を立てて自分の事は棚に上げて秋恵に怒り出す。最後の作品では出て行った秋絵に未練たらたら・・・
マンネリで少しパワーも落ちたかなっと思うこともないんだけどこれはこれで面白く読むことが出来ました。 -
読めば読むほど不思議な小説である。
書いてあること自体は何の変哲もなく、別して感動も驚きもない。
でも、なんつうかジワッとくるんだよね。
新作が楽しみな作家であります。はい。 -
「苦役列車」未読だが大いに楽しめた。オール「秋恵」短編集。全話期待を裏切らぬ貫多と秋恵の同棲事件簿(てか喧嘩録)。笑った喧嘩は三話目、切ないテイストの四話目も良。
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クズ沼
ってな事で、西村賢太の『寒灯』
陰雲晴れぬ
肩先に花の香りを残す人
寒灯
腐泥の果実
の連続短編集。
じゅんこに貰った『暗渠の宿』の続編になるんかな…
北町貫多と名を変えた著者の自伝となる内容じゃが、暗渠の宿より更にクズっぷりな歪んだ性格に、己に辟易しながらもどうにも直せない性格とセルフコントロール。
こんなにも自分の恥部を晒す小説を世に出せる、度胸と言うのか…
感動の念すら覚えて西村賢太クズ沼にズブズブとハマっていっている自分…
貫多の怒りの沸点が、何故そんなことでっ⁉️や、喧嘩の言い返しの我儘で鬼の様な自己中心的な攻撃がクセになる
ほんま無茶苦茶
苦役列車を再読したくなるな~
2023年6冊目
著者プロフィール
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