もう、さよならは言わない

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 228
感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103035725

作品紹介・あらすじ

菜緒子が癌で旅立った日から二ヵ月、翼と二人きりで34回目の誕生日を迎えた僕のパソコンに不思議なメールが着信した。余命半年を宣告された妻が、自分のいない家族に宛てたメッセージ。「ありがとう」を伝えられなかった僕は、彼女に届くことのない返事を書くが…。

感想・レビュー・書評

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  • 34歳の若さで幼い子供と夫を残し旅立った菜緒子
    胸が張り裂けんばかりに、悔しく悲しく心残りであっただろう

    その思いを自分の死後、夫俊一の誕生日、二人の結婚記念日、クリスマスに届くようにパソコンのメールに託す

    懸命に二人で暮らす毎日の中で、ある日、突然届いた亡き妻からのメールに戸惑いながらも、愛する妻との思い出に浸る俊一

    愛する妻に先立たれてしまった夫俊一と幼い翼の悲しく寂しく苦しい日々
    悲しくても寂しくても苦しくても、前をむいて生きていかなければならない

    父子二人で懸命に明るく生きている姿に胸が熱くなる
    父子を囲む周りの人々も温かい

    最後の天国から届いた妻からのメールに俊一が書いたRe.メールがすてきだった
    届く当てのないメールではあるけれど・・・

    折につけて『ありがとう』の言葉を送ってくれた妻に
    もう一回『ありがとう』と言ってもらおう
    『俊ちゃん、よくがんばったね。ありがとう』
    と言ってもらえるように、しっかり生きていこう

    菜緒子が翼に読み聞かせをした『忘れられないおくりもの』は、私と幼いころの娘の愛読書でもある
    布団の中で読み聞かせしながら、亡くなった義父、娘にとってはおじいちゃんを思い出し、二人でポロポロ涙を流した思い出の本だ

    翼も雪が降るたびに、菜緒子とのパスワード『ゆき』とこの本を思い出すことだろう

    究極の恋愛小説、悲しくも優しい話だった
    俊一と洋子先生(翼の幼稚園の頃の先生)との恋の行く末も暗示されているようで
    三人の新たな幸せを信じ願いながら、読み終えた

  • 読書備忘録666号。
    ★★★☆。

    30代の夫婦とまだ小さい子供の3人家族を襲った不幸。母であり妻のスキルス胃癌。余命半年。

    自分がこの世を去るまでの夫と息子に対する想い、失った妻に対する想い、母を失った小さい息子の想い、そして、幼くして母を失った息子に対する父の想い・・・。

    様々な想いは最後、相手に対する感謝の気持ち、「ありがとう」にたどり着く・・・。
    というお話。

    いわゆるお涙頂戴ものがたりで、日頃からなかなか言えない「ありがとう」という言葉の大切さをひしひしと感じた作品でした。
    第一章の「Re:」から始まりますが、ん?なんか古いと感じました。そうなんですね、2008年の作品なのでまだまだ世の中はメール全盛時代。
    このRe:だけが雑誌に掲載され、残りの章は後から書かれて「新潮ケータイ文庫」として完成させたようです。

    あと、妻がこの世を去ったあと、記念日に妻から届くメール・・・。この仕掛けは、ヴァイオレット・エヴァーガーデンの映像の中で体験して号泣してしまっていたので、悲しいことに今回はびっくりしませんでした。
    しかも、こっちの作品の方が古いのに盗作か?と一瞬思ってしまった罪悪感。すみません。作者さん。

    同世代で同じような家族構成の読者は号泣間違いないな、と感じましたとさ。

    • ほくほくあーちゃんさん
      おっ!?
      私が読んだことのある作品!!
      私は同じような家族構成だったので、号泣ー( ノД`)…

      そして、ヴァイオレットエヴァーガーデンって...
      おっ!?
      私が読んだことのある作品!!
      私は同じような家族構成だったので、号泣ー( ノД`)…

      そして、ヴァイオレットエヴァーガーデンってなんだろうと調べてしまいました。
      さすが、オタクのshintak5555さんー!!
      (これ、ほめてますからね!!)
      2022/07/06
    • shintak5555さん
      ほくほくあーちゃんさんが読んでいらっしゃったから読んだんですよ。笑笑

      ヴァイオレットエヴァーガーデンはWikipediaで調べて頂ければ、...
      ほくほくあーちゃんさんが読んでいらっしゃったから読んだんですよ。笑笑

      ヴァイオレットエヴァーガーデンはWikipediaで調べて頂ければ、TVシリーズの各話の説明にたどり着けます。
      その第10話です。
      3年前ですから、55歳のジジイがアニメTVを観ながら泣いてる姿は滑稽です。笑笑
      奥様がキモっって感じで私を見てたと思います。
      2022/07/06
    • ほくほくあーちゃんさん
      きゃーΣ(゚∀゚ノ)ノ
      自分の読んでた本を選んでくださるとは、嬉しいですー!!

      泣けるアニメとは、またスゴい作品ですねー。
      漫画はちょこち...
      きゃーΣ(゚∀゚ノ)ノ
      自分の読んでた本を選んでくださるとは、嬉しいですー!!

      泣けるアニメとは、またスゴい作品ですねー。
      漫画はちょこちょこ読みますが、アニメからは遠ざかってしまいました…。
      (最近見たアニメは、アンパンマン…)
      奥さまも一緒に見て、泣けばよかったのにー!!
      2022/07/06
  • 号泣ーーー(;TДT)
    菜緒子さんと年齢が近いし、妻や母としての思いを
    考えただけで、読んでて辛くなった。
    翼くんが無邪気で素直だからこそ、
    余計に読んでて苦しくなっちゃったよ。

    最後、旦那さんはアドレスのないメールの中で
    「どうして、僕は『ありがとう』って
    届けなかったんだろう。」
    っていう言葉に涙が出てきました。

    私も旦那には今まで、「ありがとう」っていうのが
    好きじゃなくて…でも旦那は「ちゃんと、ありがとうって
    いわないといけないよ!!」って言ってくるタイプの人で…。
    なんとなく、「ありがとう」って言っとけばいい、
    って思うところもあった。
    なんか、わざわざ「ありがとう」って言うのが、
    なんか言わなくてもいいじゃんって思ってて。

    でも、私が長期入院してるときに、
    他の患者さんから「ありがとう」って言われるのが、
    本当に嬉しかった!!
    「ありがとう」の大事さに気づかされたよ。
    だから、身近にいる人こそ、「ありがとう」の言葉って
    大事なんだよね!!
    そのことが詰まった一冊だと思ったよ。

    スーザンバーレイの「わすれられない おくりもの」
    私も大好きー!!

    ちなみに、個人的にスポーツ振興センターのことが
    書いてあって、衝撃的だったなぁー!!
    詳しい!!!?って思ったよー笑

  • 『感想』
    〇大切な人との関わり方とデジタル技術を組み合わせながら、人生を歩んでいく姿が描かれていた。

    〇大事な人との別れを乗り越えることは大人ならば誰しもが経験してきたことだろうが、そんな中相手を思いやる心が表現され、自分がその立場なら果たしてそんな風に思えるのだろうかという不安とそれが正しいのではないかという願望を混ぜ合わせながら読んだ。

    〇テーマは重いのに、結末は決して暗くないところに救われた。本も人生も、最後は明るい気持ちを持ちたい。

  • いまだかつて、こんなに泣いた本があっただろうか。
    家族を失い悲しむだけの物語ではない。
    残された夫と子供が、そのなかで、幸せに生きていく。
    温かくて、優しい家族の物語。
    温かい涙が途切れることなく流れました。
    この本を読むと、まわりにはたくさんの優しさがあふれていることに気づくはず。
    「ありがとう」という言葉、大切にしたいものです。

  • 届くはずない、でも届く亡くなった愛する人からのメール。
    と聞くとファンタジーだがそうではない。

    愛する人に亡くなった後に届けれるものの少なさ、
    でも確実に届くものにはっとした。

    何が残したいんだろう。
    私もこの方法で、誰に何を残したいだろうな。
    少し考えました。

  • 身近なところで、この主人公に似た境遇の人がいるので、現実感を抱えながら読みました。いずれ訪れる死と子供、その後も生きる人達。普通にあることでもあり、静かに考えるきっかけにもなった。

  • 涙活。
    素直に泣けた。
    よい人ばかりが登場し、翼が良い子で、洋子先生も良い人。

    父子の暮らしは現実にはこんな余裕はないだろうし、こんな良い人がそばに居て、都合よく互いに好意を持ちながら、踏み込まず、支えて、待つ、なんて、きれいな話はないかもだけど。

    それでもこんなに理想的な死別後の沢山の奇跡があったらいいなぁ!と思いながら読めた。
    ありがとうって大事。

  • 最愛の妻を失くして再生するいい話なのだけど、話が美しすぎる。自分が穢れていて正直に受け止められないのか?それとも美しいものに対するやっかみか?

  • 電子書籍。 奥さんを亡くした俊一、奥さんの菜緒子、息子・翼が通う保育園の洋子先生の、3人の視点で交互に語られる。 とにかく最初は最愛の妻が亡くなった後、プログラミングされ記念日ごとに送られてくるメールと、そのメールに翻弄される俊一が読んでいて最初は読んでいて辛かったが、段々と温かい気持ちになれた。 身近の人に「ありがとう」と言える事は、当たり前じゃないんだなと思うし、もっと私自身も後悔のないよう伝えていきたいなと思った。 本編の最後からの、洋子先生が気になる。

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