図書準備室

  • 新潮社 (2007年1月31日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784103041313

みんなの感想まとめ

テーマは人間の感情や存在の複雑さで、独特の表現が際立つ作品です。著者のデビュー作であり、新潮新人賞を受賞したこの作品は、読者の心に深い印象を残します。感想には、言葉にしづらい感情やモヤモヤした気持ちが...

感想・レビュー・書評

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  • 著者のデビュー作、そして新潮新人賞受賞作、この作品で作家デビューしたとのこと。
    『孤独に生きよ』(同著者)の作品を読んで『冷たい水の羊』がデビュー作だということが書いてあって読んでみる。

    なかなかうまく感想らしきものは書けないが...
    なんとも言葉に表しづらい複雑な気持ち良いうか...「気持ち」以前の感情というか感覚?モヤモヤ??みたいなものが身体の中で充満してしまって...
    息苦しかった...そんな印象...

  • 矛盾を正当化し、その当たり前に溶け込んでゆくことは人間の自己防衛なのかなとか、ふと考えました。麻痺しないと生きていけない。でも田中さんの作品からは、それには加わらないと決めている意志みたいなものを感じます。「冷たい水の羊」は傑作。独特の表現が美しい。どちらの作品も最後がとても好きです。

  • 陰鬱さが心地よい。
    他の作品も読みたくなった。

  •  「図書準備室」と「冷たい水の羊」の2編が収録されている。表題作の「図書準備室」の方には正直、心があまり動かなかった。でも、「冷たい水の羊」は、いじめられている少年の心が執拗なぐらい丹念に描かれていて、哀しさと禍々しさが十分に伝わって来た。

  • 自身のアイデンティティを喪失した――まるで、映画のシナリオの劣化版かのような――小説が蔓延る昨今、彼氏の作品の文学的強度は圧倒的。とりあえず、ストーリーを追うことを一度放棄し、詩文としてのみとらえ、その美しさやグルーヴを感じてみてはいかがか。

    解決しようの無いどん詰まりの世界観。
    目の前の事態に対して真摯に向き合えない男。
    対して、例え幼くとも、本能的に本質を捉えている女性の強さ。

    そういうものは、その後にみればいいし、なんなら見なくてもいいかもしれない。それぐらい素晴らしい筆力。

  • 例の会見を見て、作品を手に取ってみました。

    2作品とも大変な鬱屈っぷりで(特に「冷たい水の羊」)、後味は最悪だが笑、私はそれが嫌いではない。

    「図書準備室」では30過ぎて働いたことがないという、作者を彷彿とさせる主人公がひたすら語る語る語る。
    この主人公がどうして長い間働かないでいるのかということは正直どうでもよかった。なんでも人のせいにして、過去に執着し、母親に依存しているくせに母親を見下しているところなどは癪にさわったが…笑

    それよりも面白いなと思ったのは、家に来た僧侶を落語家のようだと感じることから始まり、作品まるまるかけて、語りの本質とでも言うべきものについて語ってくれているところ。
    語りの中には、話者の主観以外に他者の語りの引用もまた含まれる(この作品の場合、主に吉岡の話)。また、話者が見たすべてを正確に伝えてるわけではない。もしかしたら意図せず嘘を言ってしまっていたり、妄想が混じってしまっているかもしれない。主人公は時間軸を無視して話すこともあるため、彼の思考の流れに忠実な語りがなされる。そうなるともうぐちゃぐちゃだ。でもそれが語りってものだ。

    しかし、内容の真偽はともかく、話は話に過ぎず、きれいにパッケージされてて特に危害を加えるわけでもないから、現状から逃げ続ける主人公にとっては好都合なおもちゃなんだろう。あるいは自分をまもる盾。聞き手側にしてももう手の加えようがない子供時代という過去を取りだしてああだこうだ語り、親戚のおばさんからの攻撃をかわす。現在や未来については語れないから。

    そのような後ろ向きな主人公に、ラストで一撃を加えるいとこの娘が最高w
    それまで憎らしいぐらい飄々としていた主人公が、幼い子供に現在と未来を突き付けられ、一気に焦る。読んでるこちらまで焦ったまま、小説は終わる。好きだな~この終わり方

    2作目の「冷たい水の羊」はもっと暗くてドロドロしていた。
    主人公はいじめられており、殺人と自殺を計画しているものの、結果的には何も行動を起こさず終わる。
    にも関わらず、読んだ後にぐったり疲れる感じがするのは、主人公の逡巡がどこまでもしつこく書かれているため。
    未成熟で、狭い視野の中で、はちきれそうな想いと精一杯の論理を巡らす中学生は痛々しかった。彼独自の論理とは、いじめをいじめと認めないようにするということだが、自分の気持ちの裏をかこうとするような姿勢は、幼稚なような冷静なような、なんともいえない奇妙な感じ。

    同級生の水原、赤い水着の女、夢に出てくる女、母、と何人かの女性が登場するが、女性に対する色々な感情がどす黒く絡まり合っている。軽蔑、畏れ、憧れ、性的対象…。

    終盤、それまで主人公の視点で語られていた物語が、急に他の人物達の視点へと交代されていく。
    当たり前だが、主人公の真意を汲み取っている者は家族の中にさえおらず、あー人って絶対に理解しあえないんだなと感じた。

    自然の描写が案外かわいらしい。

  • 掲載作の『図書準備室』『冷たい水の羊』は、どちらも思春期を迎えた少年の鬱屈とした思いを丁寧に描いていますが、かたやほぼ全編主人公のセリフで、かたやほぼ全編情景と心理描写で表したある種対照的な作品。
    作者の筆力の高さは窺えますが、結局よく分からなかった、というのが正直な感想でしょうか。
    純文学好きな方であればまた違った楽しみ方ができるのかもしれませんね。

  • ま~~暗いわ
    痛いわ
    よくわからない
    読みたくなかったかも

  • ・図書館準備室

    第136回芥川賞候補作品。

    作者自らを表現してるかのような30代ニートの働かない理由を、独自の理論で青春時代に回想する。一人の教師との奇妙な間合いと告白。
     
    ・冷たい水の羊

    第37回新潮新人賞受賞作品。

    いじめにあっている中二の真夫は、自分の生きていくための論理で武装し、歪んだ感覚の中、同級生との無理心中を企てる。
    中二の理解しがたい思考回路が生々しい。

    2012年 第146回芥川賞を受賞を知ってからミーハーに読んでみた。
    理解しがたい表現ではあるが、迸る文面は妙な生々しさを感じさせる作風。
    読者を選ぶ作家のようです。

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  • 読みにくかった。読まなくてもいい所が多すぎて話がよく分からないというか。

  • どうなっちゃうんだろう…という話の展開に引き込まれる部分はあるが、総合的には良く分からん小説。
    とても内面的であり、少年の心の影の部分を執拗に真剣に向き合おうとする。
    魅力的ではあるが楽しいまではいかない。人には薦めない作品。

  • 高校卒業後一度もアルバイトをせずずっとニート、十年間をかけて書いたというデビュー作「冷たい水の羊」を目当てに読んだ。
    最後、どうなったのかわからなかったが、そこは重要でない気がするので別にいいかと思った。
    デビュー作にしてはやはり文章力がすばらしく、この頃から作家・田中慎弥さんとして完成されている。
    この人は一昔前の王道純文学というかんじがする。三島由紀夫を好きというのがよくわかる。

  • 2014.6.3 読了

    というか、2篇からなる話でしたが、
    あまりにも 読みにくく
    最初の1編で 読むのやめちゃいました。。。(T ^ T)

    これは 読み始めて
    数分で ヤバイ。。。と思いました。。。

    これは 完全に タイトルだけで
    惹かれて借りました。

    こんな話だったとは。。。

  • 新潮新人賞受賞と芥川賞候補になった中編小説の2編収録。
    両方とも暗い青春の話。
    朝井リョウのようなまぶしい青春物語を作る作家もいれば、この作品のようなどんよりした青春物語を作る作家もいる。
    個人的にはこっちのほうがリアル。

    どんなにみじめな青春を過ごしても、飛び越えちゃいけない一線はなかなか越えられない。その辺もとてもリアル。
    暗い話なのに読み進めてしまう。

    著者の明るい話を読んでみたいけど無理な話なのかな。
    この雰囲気が売りなんだろな〜。

  • ■図書準備室
     余は如何にしてニートに成りしか、なお話。
     主人公は少年時代の経験をうだうだと語るんだけれども、それが直接の原因っていうわけではないようだ。でも、なんで働かないのか、なんとなく分かる気がするんだよね。話は、過去へ過去へとさかのぼるけれども、それが現在の自分、また未来へと繋がっていかないようで。そこで親戚の女の子の一言が強烈に効いてくる。いや、強烈というより、パンパンに膨らんだ風船の空気が、ふいにシュっと抜けるような感じ。
     どうでもいいけど、世捨て人風な先生って怖いな。

    ■冷たい水の羊
     表題作より、こっちのほうが好きでした。いじめというか、暴力の描写がエグくって、ヒィィってなるんだけど、それでもなぜかこの小説はすごく文章が美しいなあと感じた。なぜかはよくわからない。
     少年(名前忘れました)はひどい暴力を受けながら、「自分はいじめられていない」と考える。それどころか、むしろいじめられることに自分の存在意義を感じてすらいるようだ。冬に死のうと思っていた、という言葉は自己陶酔じみているけど、それもいじめられすぎて心が歪んでしまったみたいで、胸が苦しくなる。
     途中で突然少年を取り巻く人物たちへと次々視点が変更され、誰も少年へ理解を示していないことが分かりはするんだけど、ちょっと蛇足だった気がする。少年が自殺へと加速していくことを暗示しているのかとも思ったんだけど、それほどアクセルがかかってなかった。
     いじめの定義として、「あなたは冗談のつもりでも、相手がいじめだと思えばいじめです」的なことがよく言われるが、考えようによってはこれはものすごく残酷な言い方だなあ、と思う。それがいじめであるかどうか、いじめられている本人に決めさせるというのだから。


     東京国際ブックフェアで田中さんのお話を聞く機会があったので、図書館で借りてきた。『共喰い』が読みたいなあと思ったのだけど貸出中だったのでこっちにしたんだけど、読めてよかった。面白かった。

  • 田中慎弥の初期の作品を読んでみたいと思って…
    読後感は、何となくすっきりしないなぁ~という感じでした。

  • 先に芥川賞受賞作を読み、その後の作品も何作か読んだ後最初に戻ってこちらを読了。
    …これを最初に読んでいたら、他の作品を読んでいなかったかも、と私は思いました。はまるかとか続くかとか、出会い方もありますね。

    この方のテーマがわかりますね。その後の作品に通じるものが全部ここに入っています。
    「図書準備室」タイトルの印象や期待とは全く違う話でした。
    職員室におらず、いつも図書準備室にいる先生の人生を思いました。
    そして、このテーマをずうっと書き続けている著者の中にある暗闇を思います。

    まだまだずっとこのテーマを書かずにいられないのでしょうね。
    でも、これだけでは詰まる時が来ると思います。
    その時、この方がどんな方向の話を書かれるのか、注目します。

  • ひとりの男、30過ぎてもふらふらしているその男の独白、、

    読むのが疲れた。

  • 30を過ぎてもろくに働きもせず、母の金をあてにして生活をしている男が
    祖父の法事のあと
    親戚にいい加減もう働かないかと言われたことにたいしての
    理由と言い訳。

    中学時代、世捨て人と思っていた人物が、教師だったこと、
    その教師に、中学三年間、一度も挨拶をしなかったこと
    唯一、一度だけ彼のよからぬ噂について本人と話したこと。

    他短編

    中学生のいじめの話。
    周りから見ればいじめられているのかもしれないが
    いじめられている本人がいじめだと認めない限り、それはいじめではない。

    本心かどうかは自分すらも定かではないけれど、死を最後の目標として、過激になる暴力をもっと求めていた。

    芥川賞候補作と、新潮新人賞。
    働いたことがないという著者が、
    いったいどんな話を書くのかと思いきや
    やはり中学生の設定の話で、経験がないといろいろ難しいんだね。。。

    いじめを受けての自殺を企てるものの、死ぬのは怖いとためらい
    最後は何気ない希望が微かに差し込むっていう展開は
    ありがちだけどそこに至るまでの文章はすごーい)^o^(

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著者プロフィール

小説家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

田中慎弥の作品

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