宰相A

著者 :
  • 新潮社
2.79
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本棚登録 : 214
レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103041344

作品紹介・あらすじ

おまえは日本人じゃない、旧日本人だ。そして我が国は今も世界中で戦争中なのだ! 小説の書けない作家Tが母の墓参りに向かっている途中で迷い込んだのは、国民は制服を着用し、平和的民主主義的戦争を行い、戦争こそ平和の基盤だと宰相Aが煽る「もう一つの日本」だった。作家Tは反体制運動のリーダーと崇められ、日本軍との闘いに巻き込まれるが……。獰猛な想像力が現実を食い破る怪物的野心作!

感想・レビュー・書評

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  • 小説という虚構の中で偽の世界に迷い込んだ私小説家が偽の世界に戸惑いつつ日本の現実を物語るという入れ子構造の小説。

    直接言及されなかったし名も登場しなかったが、ジョージ・オーウェルの「1984年」の影響を受けて小説は書かれたのではないかと思った。テレスクリーンや二重思考やニュースピークの類似やアイデアが所々にある。

    偽の日本に迷い込んでも紙と鉛筆を執拗に欲しがっていた私小説家・Tが、拷問や洗脳(細かな描写はない)の末に偽の世界で日本に忠誠を誓い、国に監視されながら作家活動している。この上なく自由だと宣う。このラストの反転が唐突過ぎて、もう少しその過程を描いてほしかった。
    しかし、読み終えて考えを巡らす。
    自由、ってなんだ?

  • プチSF?
    遺言が長すぎる
    面白さが私には・・・

  • 発売当時すぐに読み、また読み直したくなり読んでみた。改めて思うのが寓話的作品だということ。お伽話のような世界なのだけど、それだからこそ今の日本をぐっと風刺している。

  • 今ひとつ入り込めなかった。途中でやめた。

  • 著者の目に映る現在の日本を描いていて、そこに男性性と女性性みたいなのが絡められて独特の世界が広がっています。〈もうひとつの日本〉は、アメリカと共に世界中で戦争をしているのだけど、どこでどんな戦争をしているのかが全く判らないという…。これはすごくリアルな気がするな。「制服」と、それに対する人々の矛盾する反応も、現在の日本人を象徴するものとしてものすごく不気味に映ります。これまでの作品とは違う雰囲気も感じたけど、やっぱり田中さんらしくて、大好きだと思う表現がこの作品にもたくさんありました。

  • 文学

  • 【由来】


    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • 「戦争」のあと、日本はアメリカに占領され
    入植を受け入れたのだが
    その国名は日本で変わらないまま
    国民だけが「日本国民」と「旧国民」に区別されるという
    なんだかよくわからない
    面倒臭いことになってるパラレルワールドの話
    島国のプライドが
    あえて被差別的な立場を選択させたということかもしれないが
    一方で旧国民たちは「制服」に強い執着を持ち
    また、「J」なる象徴的概念をでっち上げ、すがりついている
    おそらくは天皇の死が
    かつての日本人たちをそのように去勢したのだろう
    けれどもそうであればむしろ
    日本人はなおさらプライドを捨てて、従順になるのが自然だろうし
    そもそもそんな状態で国家財政がまともに成り立つのか
    日本がアメリカの基地となっているだけにしても
    あまり説得力はない

    要はロシア・中国をバックにつけてる北朝鮮と
    日本を同一視したいんだろう
    それは不遇のルサンチマンとして理解できるにしても
    今のところまともな風刺にはなってないと思う
    そもそも風刺の意図すらない、ただの願望なのかも知れないが…
    途中あるセックスシーンは良かった

  • 今から約2年半前の作品、たまたま手に取って読みました。

    冒頭は主人公が亡くなった母親の墓参りに向かうシーン。記憶を辿りながら車内で微睡み、目が覚めるところから物語は一気に展開する。国民は制服を着用し、平和的民主主義的戦争を行い、戦争こそ平和の基盤だと宰相Aが煽る「もう一つの日本」の中で、次々に休む間もなく展開してく状況。今の時代の空気感を表現しているとも言え、文字とイメージが頭の中に押し寄せるような感覚でした。

    何を考えどう生きるかにしっかり向き合っていくことが大事ですね。
    ぜひみなさん、読んでみてください。

  • 宰相Aの記述が薄い。(個人的にはA・B・Eを皮肉ったモノを期待していたので猶更か…)
    後半のスピーチみたいなモノは良かった。(意味不明の説明を延々とするところや、戦争平和主義的とか、○○的を多投するなど…)

    取締官(?)の女性の描き方もちょっと雑だったような気もする。
    いきなり性交渉をしたり、いきなり拷問に掛けられたりと…

    最後の、主人公Tの記憶がなくなった理由を説明するところは逆に要らない。
    ただ「鉄鍋を観ると、脂汗がでるのはなんでだろう?」とかの記述位で含みを持たせた方が良かったような。

    とはいうものの、全体的には悪くない読み物だった。
    (その夜の夢見が悪かったのは、おそらくコレのせい…)

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著者プロフィール

1972年山口県生まれ。2005年に「冷たい水の羊」で新潮新人賞を受賞し、作家デビュー。2008年、「蛹」で川端康成文学賞、『切れた鎖』で三島由紀夫賞を受賞。2012年、「共喰い」で芥川龍之介賞受賞。著書に『図書準備室』『犬と鴉』『夜蜘蛛』『燃える家』『宰相A』『炎と苗木 田中慎弥の掌劇場』『美しい国への旅』など。

「2017年 『孤独論 逃げよ、生きよ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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