ひよこ太陽

  • 新潮社
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本棚登録 : 84
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (153ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103041351

感想・レビュー・書評

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  • 著者自身のような作家、田中は故郷の母親から行方知れずになったGを探して欲しいと言われる。ここぞとばかりにそれを小説のネタにする田中。

    白っぽい野球帽の少年、蛋白質を重視する牛乳好きの女。
    去っていた存在だけが、田中の頭に蘇る。

    空が傾いて太陽がひよこみたいにおどおどしている。記憶が映画館を走り回って注意される。
    田中のいる世界は現実なのか、夢なのかもわからない。時折彼は死のうとしてしまう。

    Gは見つからないが、田中は妙な女と会い、独り言のように話す。これ以上自分が生きることは、自分の負担でしかない、と。

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    不思議な感覚の小説だった。
    全部夢、もしくはすべて創作なのかもしれないし、著者の田中さん自身が狂ってしまっているんじゃないか、という感覚。
    生きることに理由を見つけようとしても、明確な答えなんて見つかるわけがない。もし、見つけられたとすればそれは偽物だ。結局のところ、何もわかっていないのに何かを悟ったようなフリをして生きていくしかない。
    過去に縛られ、過去を愛でるようにして、徐々に死んでいく。夢なのか現実なのか、そんなことはもはやどうでもいい。

  • 読みにくい作品でした。結局夢か現か分からなくなりました。何が言いたかったのか、分かりませんでした。難しい。

  • 『自分が生きていることが自分自身の負担になっている』
    主人公は、その負担感ゆえに自殺を試みたが、自分が生きていることが自分自身の負担になっているこの感覚は誰もが持っていることではないか。明確に意識をしてなくても。若さや老いは関係ないだろう。若い時の、これから人生をどう生きていけばいいのか分からないその不安は、結構な負担感でしんどい。老うと、当然負担感ばかりだ。そう考えれば誰でも死ぬ理由を持っている。

  • 売れない作家の日常、書くことに関する不安と葛藤が目まぐるしく現れてます。
    白い帽子の男の子もGも夢なのか現実なのかわからないけれど、わからないからいい事もあるかも。

  • 朝井リョウを思わせる文章を感じた。朝井リョウが陽で、田中慎弥は陰という感じ。ネガティブをぐるぐる回って、抜け出せない風。

  • ギリギリ生活ができる程度の
    売れない小説家の不安定な心情を描く。
    いずれはヒット作を出して欲しいと願う。

  • 死に依存し、妄想にとりつかれ、何の為に生きているのか自問しつつ、それでも生きる作家。不条理だ。不条理極まりない。登場人物の誰しもが、どこかしらだらしなく、どこかしら弱い。もやもやしながら読む作品。ひよこ太陽は、みつからない。

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著者プロフィール

小説家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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