伯爵夫人

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  • 新潮社 (2016年6月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784103043539

作品紹介・あらすじ

世界の均衡は保たれるのか? エロスとサスペンスに満ちた文学的事件! 帝大入試を間近に控えた二朗は、謎めいた伯爵夫人に誘われ、性の昂ぶりを憶えていく。そこに容赦なく挑発を重ねる、従妹の蓬子や和製ルイーズ・ブルックスら魅力的な女たち。しかし背後には、開戦の足音が迫りつつあるらしい――。蠱惑的な文章に乗せられ、いつしか読者は未知のエクスタシーへ。著者22年ぶりとなる衝撃の長編小説。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

エロスとサスペンスが交錯する物語は、昭和初期の上流階級を舞台に、主人公の二朗が謎めいた伯爵夫人に惹かれ、官能的な冒険に巻き込まれていく様子を描いています。シニカルな笑いを交えたストーリーは、華族や秘密...

感想・レビュー・書評

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  • 第二次大戦前、昭和初期の上流階級(?)のお坊ちゃま二朗さんが、怪しい美女・通称「伯爵夫人」に惑わされる、シニカルな笑いに彩られたポルノグラフィ。

    基本的に、ゲラゲラ笑いながら読むのが正解だと思う。表紙にもあしらわれているボブカットの女優ルイーズ・ブルックスが活躍した時代、レトロ可愛い大正モダンな世界で飛び交う露骨な下ネタ、露悪的なエロ。

    やたらと出てくる「ぷへー」という擬音、この気の抜けた感じに笑ってしまう。使われる場所は様々ながら主に性的な場面、もちろん性的絶頂時の表現も「ぷへー」だ(笑)

    しかし終盤で伯爵夫人が二朗さんに語って聞かせる過去が、実はそこそこハードだ。ぷへーで誤魔化されて笑っていると、急に戦争という現実をつきつけられてシュンとなる。果たして伯爵夫人とは何者だったのだろう。大陸を(文字通り)股にかけた女スパイだったのだろうか?

    あまりにもありえなことばかり起こるのでいっそ幻想的な余韻が残り、なかなか愉快な読書体験でした。

    ところでストーリーと直接関係はないものの序盤で名前が出てくる、伸顕の孫で「ドガに就て」を翻訳した詩人というのは吉田健一のことだろうし、文士気取りで虚弱で人力車の車夫に欲情するなどボロカスに書かれている平岡というのはやはり三島のことですよね。そういえば本作、三島賞受賞作ですが、受賞会見での作者の不機嫌な受け答えが話題になっていましたっけ。ただのツンデレなのかしら。

  • ふむ

  • テント芝居の活劇物のような、いかがわしい疾走感。華族、秘密組織、戦争の影。物語はその中を、明け透けな官能を推進力に駆け抜けていく。一気読みした。おもしろかった。得るものはない。それでいい。筒井康隆の作品を読んだ時も思ったが、優れた筆力を持つ人の文章を楽しむのに、官能小説はよい舞台だと思う。

  • 2回は読まない。

  • 三島由紀夫賞受賞のニュースがとっても印象的だったので、ぜひとも読んでみたいと思った。
    1度読み出したら止まらなくなる。だけど1度止まると次にページを開くのがとても億劫で嫌になる。内容が内容だけに・・・
    こういう妖しい時代もあったのだろうか。
    蓮實さんのそっけなさが理解できるような気がする。

    装丁は素敵。

  •  下品なエロ表現満載の戦争文学。しかし気品のある語り口と戦争というテーマと共に物語は進むため、数々の下ネタ達はなぜか緊張感をもち重厚感が漂う。この雰囲気は嫌いじゃない。
     舞台は第二次世界大戦期。
     伯爵夫人を筆頭にし、主人公を取り巻く数々の登場人物たちが織りなす物語は、現実感が無く全体的に白昼夢めいている。その中で戦争というテーマは確固とした現実としてそこにあり、不穏に際立っていた。
     本格的に市民を巻き込んだ戦争に突入する前の、豊かな日本の姿。猛勢で儚い一瞬を捉えた物語である。

  • 重みを感じさせながらもするすると進む文章、鉄製の馬車のような心持ち、読み心地。

    妖しさと高踏と幼さと危うさを載せて、文章は走る。
    ひたひたと近づく戦争の匂いを漂わせながら。

    謎の「伯爵夫人」を見つめる二郎は、翻弄され幻の世界へ。

    「胸もとから下腹にかけての思ったよりやわらかな肉の揺らぎを (後略) 」

    赤黒いエロスと気品と下品とを同時に愛せるなら、じっくり賞味できる作品だと思う。

    印象的な擬音も気に入った。ぷへー。

    (氏の評論等よりもぜんぜん読みやすいよー)

  • 戦争に伴う狂気や悲哀もエロティックに伴う昂りや刹那的な快楽も、どちらも人間の内側から沸きいづるものであるにも関わらず、この物語を読むと、自分とは関係のない遠くのこととして感じさせられてしまう。
    飲み込まれないための反作用か?

    現実と虚構、内側と外側、自と他の判別がつかなくなる感覚で巡っていく物語であった。
    もしかすると、大人になるというのは、この曖昧さを受け止めれるようになることかもしれない。
    胡蝶の夢は、どちらの状態もあるがままにリアルとして受け入れないといけないのかもしれんな。

  • 大正から昭和初期にかけての退廃的でエロティックな雰囲気が満ちた作品で、映画や舞台を観ているように読み進めるが、途中にちょいちょい入ってくる「ぷへー」がどうも気になって興醒めしてまう。

  • たった1日の出来事。
    なのに、つまりにつまった性と生き方。
    時代の匂いを感じるが、俄には信じられない。
    二郎と同じように信じられない。

  • こういうのが教養なのだろうか?よくわからないが。
    女性読者には受け入れ可能なのか?話の時代背景はともかく、全体的に昭和の倫理観が貫かれ、和製英語で言うところのオールドファッション…

  • 「ボヴァリー夫人論」を読んで、そのあまりの内容の濃さに驚愕し、ここ20年ばかしあまり読んでいなかった蓮實重彦の本をキャッチ・アップ中。

    そういうなかで、三島由紀夫賞受賞での記者会見が話題になった「伯爵夫人」を遅ればせながら、読んでみた。

    いや〜、これはものすごく強烈な本だな〜。

    この本の強烈さに比べれば、あの会見は普通、というのも変だが、あまり驚くべきものではないとさえ思える。

    知らずに読めば、80才の元東大総長が書いたものとは、絶対に思わない過激さだとおもう。

    この年になってのこの暴走ぶり、怪物ぶりには、次を期待せずにはいられないものがある。

    次とは、「ボヴァリー夫人論」とあわせてライフワークとしていた「ジョン・フォード論」である。

    この2冊がライフワークともう何十年も言っていて、一向にでる気配のなかった「ボヴァリー夫人論」が5年前にでて、そして、この過激な映画へのオマージュがたくさん含まれた「伯爵夫人」。

    蓮見さんの「ジョン・フォード論」を読む日もそんなに遠くないのかも。。。

  • 書店の新刊文庫の棚にルイーズ・ブルックスらしき姿をみとめて手に取った。
    どちらかと言えば難解な方の文章。一言で言えば、ぷへーで始まってぷへーで終わる或る女の一代記的小説。
    最後まで読めばそれなりに面白さも伝わって来たが、読み出しはかなり辛かった。
    それはともかく、ルイーズ・ブルックスは美しい。

  • 2016.08.21 現代ビジネスより

  • ふはは。エロかった。

  • 第二次大戦直前のやんごとなき家庭で繰り広げられる,何とも凄まじい男女の生活が伯爵夫人の遍歴に絡めて語られる.二朗は周りの女たちに翻弄される形で話が進むが,最後に出てくる従妹の蓬子の告白が楽しめた.放送禁止用語が次々と出てくるのには,少し驚いたが,妙齢の女はみんな男の生態をよく知っているのだと感心した.

  • エロス、デカダンス、高尚なお下劣
    文学と気取りながらこういう小説を読めるのもまた文学の醍醐味だな

  • ぷへーという擬音は笑っちゃったけど、ばふりばふりという音は、ゆっくりと動く回転ドアは確かにそんな風に聞こえたなあと思いだした。

  • 蓮實は、何者にもなりたくなかったのであろう。少なくとも、何者にもなりたくない自分が公の自分なのであろう。文学賞を受けることで小説家の肩書を増やすことは、蓮實にとって何者にもなりたくない自分を何者かにする行為である。何者にもなりたくなかったからこそ、あらゆる分野での活躍が必要だったのではなかろうか。蓮實の業の深さにシビれる。(岡ノ谷一夫)

  • 2017.08.29 図書館

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著者プロフィール

蓮實重彦(はすみ・しげひこ):1936年東京生まれ。60年東京大学文学部仏文学科卒業。同大学大学院人文研究科仏文学専攻修了。65年パリ大学大学院より博士号取得。東京大学教養学部教授(表象文化論)、東京大学総長を歴任。東京大学名誉教授。仏文学にとどまらず、映画、現代思想、日本文学など多方面で精力的な評論活動を展開し続けている。著書に『表層批評宣言』『凡庸な芸術家の肖像』『映画の神話学』『シネマの記憶装置』『映画はいかにして死ぬか』『映画 誘惑のエクリチュール』『ハリウッド映画史講義』『齟齬の誘惑』『映像の詩学』『『ボヴァリー夫人』論』『伯爵夫人』『ジョン・フォード論』ほか多数。

「2023年 『ゴダール革命〔増補決定版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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