伯爵夫人

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 351
レビュー : 48
  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103043539

作品紹介・あらすじ

世界の均衡は保たれるのか? エロスとサスペンスに満ちた文学的事件! 帝大入試を間近に控えた二朗は、謎めいた伯爵夫人に誘われ、性の昂ぶりを憶えていく。そこに容赦なく挑発を重ねる、従妹の蓬子や和製ルイーズ・ブルックスら魅力的な女たち。しかし背後には、開戦の足音が迫りつつあるらしい――。蠱惑的な文章に乗せられ、いつしか読者は未知のエクスタシーへ。著者22年ぶりとなる衝撃の長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 第二次大戦前、昭和初期の上流階級(?)のお坊ちゃま二朗さんが、怪しい美女・通称「伯爵夫人」に惑わされる、シニカルな笑いに彩られたポルノグラフィ。

    基本的に、ゲラゲラ笑いながら読むのが正解だと思う。表紙にもあしらわれているボブカットの女優ルイーズ・ブルックスが活躍した時代、レトロ可愛い大正モダンな世界で飛び交う露骨な下ネタ、露悪的なエロ。

    やたらと出てくる「ぷへー」という擬音、この気の抜けた感じに笑ってしまう。使われる場所は様々ながら主に性的な場面、もちろん性的絶頂時の表現も「ぷへー」だ(笑)

    しかし終盤で伯爵夫人が二朗さんに語って聞かせる過去が、実はそこそこハードだ。ぷへーで誤魔化されて笑っていると、急に戦争という現実をつきつけられてシュンとなる。果たして伯爵夫人とは何者だったのだろう。大陸を(文字通り)股にかけた女スパイだったのだろうか?

    あまりにもありえなことばかり起こるのでいっそ幻想的な余韻が残り、なかなか愉快な読書体験でした。

    ところでストーリーと直接関係はないものの序盤で名前が出てくる、伸顕の孫で「ドガに就て」を翻訳した詩人というのは吉田健一のことだろうし、文士気取りで虚弱で人力車の車夫に欲情するなどボロカスに書かれている平岡というのはやはり三島のことですよね。そういえば本作、三島賞受賞作ですが、受賞会見での作者の不機嫌な受け答えが話題になっていましたっけ。ただのツンデレなのかしら。

  • テント芝居の活劇物のような、いかがわしい疾走感。華族、秘密組織、戦争の影。物語はその中を、明け透けな官能を推進力に駆け抜けていく。一気読みした。おもしろかった。得るものはない。それでいい。筒井康隆の作品を読んだ時も思ったが、優れた筆力を持つ人の文章を楽しむのに、官能小説はよい舞台だと思う。

  • 2回は読まない。

  • 三島由紀夫賞受賞のニュースがとっても印象的だったので、ぜひとも読んでみたいと思った。
    1度読み出したら止まらなくなる。だけど1度止まると次にページを開くのがとても億劫で嫌になる。内容が内容だけに・・・
    こういう妖しい時代もあったのだろうか。
    蓮實さんのそっけなさが理解できるような気がする。

    装丁は素敵。

  • 「ボヴァリー夫人論」を読んで、そのあまりの内容の濃さに驚愕し、ここ20年ばかしあまり読んでいなかった蓮實重彦の本をキャッチ・アップ中。

    そういうなかで、三島由紀夫賞受賞での記者会見が話題になった「伯爵夫人」を遅ればせながら、読んでみた。

    いや〜、これはものすごく強烈な本だな〜。

    この本の強烈さに比べれば、あの会見は普通、というのも変だが、あまり驚くべきものではないとさえ思える。

    知らずに読めば、80才の元東大総長が書いたものとは、絶対に思わない過激さだとおもう。

    この年になってのこの暴走ぶり、怪物ぶりには、次を期待せずにはいられないものがある。

    次とは、「ボヴァリー夫人論」とあわせてライフワークとしていた「ジョン・フォード論」である。

    この2冊がライフワークともう何十年も言っていて、一向にでる気配のなかった「ボヴァリー夫人論」が5年前にでて、そして、この過激な映画へのオマージュがたくさん含まれた「伯爵夫人」。

    蓮見さんの「ジョン・フォード論」を読む日もそんなに遠くないのかも。。。

  • 書店の新刊文庫の棚にルイーズ・ブルックスらしき姿をみとめて手に取った。
    どちらかと言えば難解な方の文章。一言で言えば、ぷへーで始まってぷへーで終わる或る女の一代記的小説。
    最後まで読めばそれなりに面白さも伝わって来たが、読み出しはかなり辛かった。
    それはともかく、ルイーズ・ブルックスは美しい。

  • 2016.08.21 現代ビジネスより

  • ふはは。エロかった。

  • 第二次大戦直前のやんごとなき家庭で繰り広げられる,何とも凄まじい男女の生活が伯爵夫人の遍歴に絡めて語られる.二朗は周りの女たちに翻弄される形で話が進むが,最後に出てくる従妹の蓬子の告白が楽しめた.放送禁止用語が次々と出てくるのには,少し驚いたが,妙齢の女はみんな男の生態をよく知っているのだと感心した.

  • エロス、デカダンス、高尚なお下劣
    文学と気取りながらこういう小説を読めるのもまた文学の醍醐味だな

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著者プロフィール

仏文学者、映画批評家、文芸批評家、小説家。1936年、東京都生まれ。東京大学仏文学科卒業。パリ大学にて博士号取得。東京大学教授を経て、東京大学第26代総長。78年、『反=日本語論』で読売文学賞、89年、『凡庸な芸術家の肖像』で芸術選奨文部大臣賞、2016年、『伯爵夫人』で三島由紀夫賞を受賞。1999年にはフランス芸術文化勲章コマンドールを受章する。著書に『夏目漱石論』『表層批評宣言』『映画論講義』『「ボヴァリー夫人」論』他多数がある。

「2018年 『物語批判序説』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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