「文豪とアルケミスト」文学全集

制作 : 神楽坂ブック倶楽部 
  • 新潮社
4.22
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本棚登録 : 216
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103048725

感想・レビュー・書評

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  • 最初から最後まで全てが、とても面白かったです。
    わたしはゲームはしてませんが、ある日の新聞に太宰治や、谷崎潤一郎、夏目漱石、菊池寛の貴重な資料が発見され、それらがこの文学全集に収録されていると掲載されてましたので、興味を覚え手に取りました。
    表紙カバーはシックな感じで素敵ですが、それを外しても金色の花模様が一面の赤地の装丁が華やかでこちらも素敵です。
    内容も満足でした。新資料はばっちり見応えあります。更に文豪たちの確執や友人関係、師弟関係など、知っているつもりだったことは実際は上っ面だけだったと思い知らされました。
    この本を読めば深いところまで気づかされます。ただ仲良いだけ、または仲違いしただけじゃない。ただ作品について噛みつきにいっただけじゃない。残された者が抱く亡くなった者への追想。それらが見えてきます。
    漱石の芥川と久米正雄に送った書簡からは、温かい眼差しやこれからの文壇を背負っていく者への期待などが読み取れます。これは現代の社会人になる若者や進学する学生にとっても勇気づけられる言葉となっていると思います。坂口安吾の亡くなった太宰への追悼記にはふいに涙がこぼれました。もうここには書ききれないほどの文豪たちの本来の姿が座談会や、往復書簡、そして追悼記などに表れていました。
    そして、わたしにとって最大の気づきは、文豪たちは決して世間に染みついたイメージ通りではないということです。
    これらが彼らを知る全てではないでしょうが、それでも小説とはまた違う彼らの温度を感じることができました。読んで良かったです。

  • 文豪たちのリアルがあった。
    夏目漱石と芥川龍之介の往復書簡は、ふたりの関係性のあたたかさと、子供っぽい茶目っ気が感じられて、雲の上の存在である文豪がちょっぴり身近に感じられた。暑い夏の日の午前中、芥川はこの手紙をしたためたのだろうか…。海のにおい、蝉の鳴き声も聞こえる気がするくらい、一瞬にして文豪が生きた時代にタイムスリップできた。

    改めて読もうとすると敷居が高いが、こういうゲーム関連の本として出版されたからこそ、手に取りやすい手軽さがあると思う。だから出会えて嬉しかった。

  • 偶然手に取った素敵な本。
    ゲームをやりたい人が買ってすぐ手放したようでほぼ新品。

    そして中身が素晴らしい。近代文学を読む上で、こういうつながり、エピソード、人間関係、師弟関係、友人関係を知ることがどんなに読書を豊かにしてくれることか。

    みんな最初から文豪だったわけではない。
    信頼できる友人の一言「やつら(=文豪)は崇め奉られたがっていない」は真理だと思う。

    みんな楽しんで苦しんで焦って、人と比べて、友人をディスりながらも作品を残し、去っていった。
    人は去っても書いたものは残る。
    作品でも手紙でも対談でも評論、論文、残してくれたものを後世の人がこうして目にできるのがありがたい。

    あぁ、これでまた読みたいものが増えてしまった。

    外科室、堕落論が読めたのはお得!
    谷崎潤一郎の原稿で一作読めたのも身に余る光栄というもの。

  • 読書会で紹介して頂いた本。表紙が素敵。カバーを外してみても素敵。美麗。夏目漱石と芥川龍之介の往復書簡や、泉鏡花と徳田秋声の関係など文豪同士の交友関係にスポットが当てられてます。ゲーム知らなくても十分楽しめました♪芥川龍之介の書いた葬儀記や谷崎潤一郎が書いた「芥川龍之介、そして佐藤春夫を悼む」、徳田秋声が語る泉鏡花など、故人を偲ぶ文にも思わず見入ってしまいました。新発見資料も収録されております。何か書く際の資料にも使えそうかな?

  • 『文豪とアルケミスト』の名で出てる本だけど、ゲームに登場している実際の文豪の作品を読むことができて、文アルをきっかけに文学に興味を持った方にはうってつけの本だと思います。
    文アルプレイしたことない方にも読んでほしい!普通に文学集としておすすめしたいです。

  • 「文豪とアルケミスト」とありますが、ゲームと関係なくおもしろい本だと思います。文学館に行っている気分になる1冊。

  • 正直言って、タイトルで損をしている一冊です(笑)
    うおおみんなコレ凄い1冊だよおおお!と声を大にして言いたい位です。
    文豪に興味を持って、個々の評論集やらを読み散らかす事無く、コンパクトに1冊に纏まっているだけでも素晴らしいです。
    新潮社から出版されている関係か、当時、直接新潮と、特に交流のあった文豪たちがメインなので、ゲームに登場するキャラでもノータッチな文豪の方が多いのは仕方が無いとして。
    太宰の「斜陽」の直筆原稿が展示されるという某イベントに足を運んだ身としては、もう少し頑張っても良かったのかな~と云う内容ではありました。
    あと、装丁とか紙のお好きな方にはグッとくる一冊に仕上がっているので、其処も直接手にして楽しんでいただけると思います。

  • 遅ればせながら読了。
    往復書簡、追想録みたいなもの、論戦(谷崎の「饒舌録」と芥川の「文学的、あまりに文学的な」上でのやりとり)など自分ですすんでは読まない分野を読めてよかった。

    作品を追うばかりではわからない文士同士の関係性がわかって面白い。

    谷崎が書いた芥川(と佐藤春夫)の追想録みたいなものはなんだかグッときた。東京出身だとか出身校が同じだとか知ってることはあったけど他にも色々あったんだなあと思ったし、お互いに遠慮があったことを後悔するような内容を含んでいて寂しい気持ちになった。

    918

  • 2018/01/22-01/30

  • 自然主義がほぼ無かった…残念。普通に文豪間の交流を追える作りの本になっていて、楽しかった。特に鏡花と秋声の下りは良かった。

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