青年のための読書クラブ

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103049517

感想・レビュー・書評

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  • 東京・山の手の伝統あるお嬢様学校、聖マリアナ学園。校内の異端者だけが集う「読書クラブ」には、長きにわたって語り継がれる秘密の〈クラブ誌〉があった。そこには学園史上抹消された数々の珍事件が、名もない女生徒たちによって脈々と記録され続けていた――。今もっとも注目の奇才が放つ、史上最強にアヴァンギャルドな“桜の園”の100年間。
    ------------------------
    読み終わった後、「ああ、面白かった!」と感嘆を漏らしてしまった。
    流れる時代の中で、変わることなく本を愛する少女たち。それはひっそりとした集まりだったのに、様々な古典小説に感化されるようにして不思議なそれぞれ物語を紡いでいく。
    まるで、私自身もその中のひっそりと本を愛する少女のように本を読み終えてしまった。

  • アザミのつくった紅子みたいな子がいたら間違いなく躍らされるわ。
    夢が、あっけなくぱちんと終わってしまうのも、いい。裏切られた。

  • とある女子校の裏100年史。女子校あるあると百年の孤独ネタでにやにや。関係ないけど今ガルシア・マルケスさんが認知症になったことを知ってちょっと寂しい。

  • 「世界は本当にからっぽか?」

    <マイ五ツ星>
    虚無:★★★★★

    <あらすじ>-オビ広告より
    東京・山の手の伝統あるお嬢様学校、聖マリアナ学園。校内の異端者(アウトロー)だけが集う「読書クラブ」には、長きにわたって語り継がれる秘密の<クラブ誌>があった。そこには学園史上抹殺された数々の珍事件が、名もない女生徒たちによって脈々と記録され続けていた-。

    <お気に入り>
     きよ子にももちろんプライドはあった。それどころか、この少女はじつのところプライドの塊であったのだが、それは世界に対する主義や思想でなく、保護者として子供たちを守るという、極めて動物的な、半径三メートルのプライドであった。巣穴の前の母熊の如くきよ子は立ちはだかり、なにか言い募らんとした生徒会の面々に向かって、このときとばかり、巨大な乳房を張り出して一歩踏み出し、威嚇した。こういったときしか、この困った乳房の使い道はなかろうと、きよ子は自嘲気味にすこし笑った。とたんに生徒会は、鬣の長いおおきな雄ライオンに出会った痩せたライオンの群れのように、本能的な恐れを感じ、一歩、下がった。きよ子がまた一歩、踏み出した。恐れが広がり、生徒会は揃って後退した。きよ子が、また一歩。部屋の中から、時雨の「……なにをやってるんだ、あいつは?」とあきれる声がした。一歩。一歩。一歩。一歩。一歩……。きよ子の乳房に、饅頭恐いと生徒会はじりじり後退し続け、
     (後略)

    <寸評>
    東京のとある名門女子校という箱庭を舞台に、少女たちが繰り広げる珍事件。正史からは闇に葬られるそれらを、場末の読書クラブがひそかに記録する…。
    本作は、各年度の読書クラブ誌を紡いだ、連作短編集である。

    1919年の学園創立の“悲話”から、
    1969年の学生闘争時代の闖入者、
    1990年に現れた色とりどりの扇子の集団、
    2009年に突然吹き荒れるロックスター、
    2019年の学園“最後の時”……。
    軽重織り交ぜた、箱庭物語が語られる。

    特に学園創立の悲話は、思わず涙を誘われる物語であり、これが全編に“虚無感”というスパイスを利かせ、明るさの中に一筋の陰をさしている。

    全編に渡って展開されるのは、“政治家”たる生徒会と、宝塚歌劇団を彷彿とさせる“スター集団”たる演劇部、“ジャーナリスト”たる新聞部、そして“傍観者”たる読書クラブの、それぞれの思惑と葛藤、そして年一回、聖マリアナ祭において投票される「王子」の座をめぐる闘争である。

    さらに我々読書好きにはたまらないのが、各章段における“名作”の存在。これらを読んだ後に再読すると、読書クラブ員たちの心の内も、一層身近に感じられるのだろうか…。ということで、早速第一章に登場する『シラノ・ド・ベルジュラック』を手に取っている次第である。

    それにしても……、著者・桜庭一樹さんの著作からは、近代ヨーロッパ作品への愛が随所に感じられる。ここ数ヶ月、やたらに海外作品のコーナーに足が向くのも、無理からぬことである。


    <追記>
    表紙を取ると……驚きの仕掛けが!!
    いや~、油断していた。

  • 「荒野」がどうにも性に合わず、敬遠していた桜庭一樹に再チャレンジ。
    すらすらと読めたが、面白かったのかどうか判然としない。

    この半端に耽美な気配を漂わせた、しかしどこか物足りない文体、やはり苦手意識がある。
    だが方向性としては嫌いじゃないような気もする。
    自分の中での位置づけを決めかねている。

  • とある女子校を舞台とした短編ミステリー小説。やや盛り上がりには欠けますが、なにか不思議な雰囲気の、桜庭一至さんらしい作品です。随所に豊富な文学知識が垣間見られます。

  • 2012/05/04
    自宅

  • 昔の少女漫画みたいな、ロマンティックな世界(と表せるような閉鎖的な学園)でうっとりと過ごしている少女たちが神秘的でおもしろい。見てはいけないものを覗いているようなかんじ。

    文体も展開もだいすきで、ぐいぐい読んでしまった。

    力まなくても読めるのに内容は濃くて、しっかりと完結させられていたのも良かった。ひさしぶりに、これだ!って本に出会えたような気がする。


    美しいものの描写が美しい文章はいいな。第2章がとても好き。

    桜庭一樹さんの小説に出てくる(見た目が)美しい登場人物たちがとても好きだ。

  • リブロに積んであったサイン本を友達の誕生日にプレゼントしたのをよく覚えています。高校生の時の話です。
    2話目は印象深くて覚えていたけど、昔慌てて読んだ時には気づかなかった発見もあって楽しかった。時系列に学園の事件が描かれているのだが、読書クラブの部員たちの目線が面白い。最終話の最後のほうが好き。

  • 読書クラブが巻き起こす出来事が波乱万丈でとても面白いです。
    決して軽くて爽やかなものではなく、むしろ重たいくらいのものなのに、辿って繋がる歴史や彼女らの考え、行動などに魅せられて楽しく読み切ってしまいました。
    桜庭さんが描く女性たちは、美女であろうが醜くあろうが、関係なく魅力的だと思います。

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著者プロフィール

1971年島根県生まれ。99年、ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、08年『私の男』で直木賞を受賞。著書『少女を埋める』他多数

「2023年 『彼女が言わなかったすべてのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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