遺体: 震災、津波の果てに

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103054535

感想・レビュー・書評

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  • 2011年3月11日…東日本大震災、大地震と大津波で三陸にある釜石も多くの犠牲者を出した…。次から次へと安置所に運び込まれる遺体を前に、残された人々はどう関わったのかが詳細に描かれている作品。あの日からもう10年以上の年月が流れたけれど、こうして石井光太さんが残してくれた作品があり、それは残酷な現実を風化させないこと、犠牲になった方々への供養にもつながるのではないか…そう感じました。
    ただ、作中に出てくる民生委員さん2年前に強制性交で逮捕されてるんですね…。石井光太さんはこの方のことをきちんと把握できていなかったようです。そこが少し残念ではありますが、市長や市職員、僧侶、医師、歯科医、消防団員など…自らの被災者でありながら、ただひたむきに釜石の住民のために動いてきた人々には頭がさがります。

  • 東日本大震災の気仙沼市の遺体安置所の
    いろいろな人をリポートしている内容。
    途中、読んでいて泣きそうになります。
    この本を寝る前にベッドで寝ながら読んでいると
    ふっとよこにいた息子の寝顔を見て、生きているか確かめたく
    なって。。。

  • 東日本大震災の後、遺体安置所の遺体に係わる自治体職員、医師、歯科医師、民生委員、住職、葬儀屋等々、様々な人たちの懸命の活動の記録。自らも被災しながらも、前を向き、周りを励まし、自分のできることをしっかりとやる。遺体一つ一つをきちんと尊厳を持った個として扱い、弔う。どんなに難しかっただろう。どんなに辛かっただろう。その使命感に頭が上がらない。係わったすべての方々に感謝と尊敬の念を。そして犠牲となった方々にせめて安らかな眠りを祈ります。

  • 3.11 岩手 遺体安置所の日々。
    関わったたくさんの人たちの記憶。

    あの頃の日々を思い出して
    涙がでる・・。
    - - - - -
    住んでいた場所から5キロ先で止まった津波。
    震災数日後に見た仙台市若林区の津波跡。。
    初めて見る風景に言葉が出なかった。
    世界の終りのような非現実的な風景。。

    2011.5月には生まれ故郷いわきへ墓参り。
    永崎海岸では、2カ月たっていたのに
    津波の通った道がわかるくらい。
    広かった砂浜が、ほぼ消滅していた。
    あの日から時間がとまっていた。
    見慣れた風景が、まったく知らない世界に変わっていた。

  • -2013/09/02
    被災後の釜石市遺体安置所におけるドキュメント。
    遺体安置所でボランティア活動を続ける民生委員の千葉淳氏が、遺体安置所に残されたお供えを食する場面。周りの人から気味悪がられるが、「仏からのお下がりもの」として、戴く行為に何の違和感があろうか。

  • (後で書きます)

  • 釜石で死体と向き合った人々の物語。

    退職した元葬儀社勤めの老人、被災を辛うじて免れた医者、生き残った市役所の職員、消防団の人、お寺の住職、そして市長。

    釜石市は、他の都市に比べて街半分が残るという状況の中で、残った人の力を借りて、問題に対処していった。という姿が描かれている。

  • フォトリーディング。宮城県石巻市を襲った津波による死者の物語。(遺体を取り巻く生きた人々の物語。)レビューではとても感動する本であったようなので期待して読む。

    読了。1年以上もかかってしまった。

    ほとんど積読になっていたのを四分の三の残りを一気に読んだ。

    積読になっていた理由はつまらないから。同じような話がグダグダと続く感じ。時々感動する話もあったが、日頃死やその先を考えていなかった人々が直面する、死と死体の話だと冷めて読んでしまった。やはりキリスト者としては、世の人々の価値観の違いには感動できない。

    著者は貧困や飢餓についてのルポで評価が高い人だそうだが、やっぱりキリスト者的視点から見ると、この著者の考え方もこの世的な立ち位置からしか見ていないと思ってしまった。

    狭い石巻市とその近郊で繰り広げられた死体にまつわる人々の動揺の記録はそれなりに興味深いところもあったが、感動ものとして書かれているところが、価値観の違いもあって、どうも冷めて感じてしまった。

  • 普段生きていくうえでの宗教について関心があまりないのですが 死者を弔うためにお坊さんにお経を読んでもらうなんてことは生きている側を落ち着かせてくれるよい仕組みなんだなと思いました

  • この手のルポにありがちな「大仰に悲劇を物語る」というものではなく、
    淡々と話が進んでいくので、意外ととっつきやすかったです。

    正直一番生々しく感じたのは、よその寺に檀家を取られまいとする住職の姿でした。
    遺骨の処置よりも檀家の確保の方が必死な感じでちょっと驚きました。リアルだなぁ…

著者プロフィール

1977(昭和52)年、東京生れ。国内外の文化、歴史、医療などをテーマに取材、執筆活動を行っている。ノンフィクション作品に『物乞う仏陀』『神の棄てた裸体』『絶対貧困』『遺体』『浮浪児1945-』『「鬼畜」の家』『43回の殺意』『本当の貧困の話をしよう』『こどもホスピスの奇跡』など多数。また、小説や児童書も手掛けている。

「2022年 『ルポ 自助2020-』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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