快挙

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 545
感想 : 88
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103056539

作品紹介・あらすじ

変質しない夫婦関係などない。罪と罰を抱き共に生きる。それこそが、結婚――。あの日、月島の路地裏であなたを見つけた。これこそが私の人生の快挙。しかし、それほどの相手と結婚したのに五年が過ぎると、夫婦関係はすっかり変質してしまった。共に生きるためには、不実さえも許す。それこそが夫婦。そう思っていたが、すべては私の驕りにすぎなかった……。結婚の有り様をあなたに問う傑作夫婦小説。

感想・レビュー・書評

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  • 平成に生きる夫婦のお話だが、なぜか昭和の世界にいる気分。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    私みすみとの出会いは偶然だった。
    路地裏で写真を撮影していたとき、彼女の姿が目にとまったのだ。

    私とみすみは一緒に暮らしはじめ、結婚することになったのだが…

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    平成初期の話であり、実際にその頃に起きた出来事も織り交ぜてあるにも関わらず、どこか昭和の世界にいるような気持ちになりました。

    帯には「ある日、月島の路地裏であなたを見つけた。これこそが私の人生の快挙。」とあるのですが、読み終えてもどうしてもそう思えず、もやもやとした思いが残りました。
    社会的にも主人公や妻・みすみの身にも、大変なことは起こっていくのですが、閉塞感がつよく、快挙を今ひとつ実感できないまま終わってしまったなあ、という印象です。

    夫婦の間の快挙なんてものは、ご本人たちにしかわからないものだろうし、外からみたら「それが快挙なの??」と思ってしまうようなものなのでしょう。
    主人公と同化して快挙を味わう、というよりは、傍目からみたときの夫婦の快挙というものを見たときは、こんな風に淡々とした気持ちになるのだな、ということがわかった小説でした。

  • 夫婦の向かい風
    若い頃は何をやっても上手くいかず、職がなく、病魔に襲われ、生死を彷徨う経験をする。だがその間妻の必死の支えで辛うじて生活する。が回復基調になった途端、妻の浮気を発見。それを断ち切るため「東京に戻ろう」と妻を説得。人生の後半、漸く編集という仕事に在り付けベストセラーにもなる売り上げを誇り、妻と過去を捨て真に労わりあう関係になった。「人生の快挙」は素晴らしい妻に巡り合い、小説家という夢を最後に実現化させたことだ。そこには人への「恩義」を忘れていなかった事、さらに夫婦とは「向かい風に立ち向かう事」を知った。山本周五郎の句碑「夫婦とは何と佳いもの向かい風」があった。

  • 主人公である夫婦の歴史を
    寄り添って歩いたような読後感。

    そして、人生における快挙とは何か?
    ほんとうに、何なのだろう。
    この夫婦に寄り添って歩きながら、
    自分自身の快挙について考えさせられた。

    喜びや、怒りや、悲しみや、決意や、
    失望や・・・生きていくことは、
    その繰り返し。
    大小さまざまなそれらに包まれながら、
    選びとっていくこととは、ものとは。
    よりよく生きたいとか、そういう目線ではなく、
    必死に生きる、歯を食いしばって生きる、
    その中に、そのときは、これ! これ!
    と、主張はしないけれど、
    ひっそりと、見守り、佇んでいる、快挙。

    ともに生きることは難しく苦しいけれど、
    小さな選択が導いてくれる人生はやさしい、
    そんな気がした。

    • keroruuさん
      気になっていた作品です
      白石さんの作品を読む勇気がいまちょっと出ない。。。
      そして、よっすーさんの評価が★3つ
      文庫になってから読むこ...
      気になっていた作品です
      白石さんの作品を読む勇気がいまちょっと出ない。。。
      そして、よっすーさんの評価が★3つ
      文庫になってから読むことにします(^^)
      2014/03/19
    • よっすーさん
      白石さんには、いつも、どーんと重いものを
      期待してしまうの。
      これは、どちらかというと、少し軽めかな。
      何が! これが!
      というとこ...
      白石さんには、いつも、どーんと重いものを
      期待してしまうの。
      これは、どちらかというと、少し軽めかな。
      何が! これが!
      というところは紹介しにくいのだけれど、
      自分の人生の中の「快挙」って何だろう
      その問いかけは読後ずっとあります。
      そういうところが、白石作品の好きなところ。文庫になったら、ぜひ(^-^)
      2014/03/20
  • 良かった〜♪最後は奇跡よ起これ!って祈ってました。いろいろあったけど、途中で諦めなかったことこそが全てを導いた。派手なエピソードなど無く、夫婦の歴史なんてこうして淡々と積み上げていくもの。出会ったことが快挙だと言えるパートナーと一緒に暮らせることは、本当に幸せだと思う。ハッピーエンド、最高☆

  • 夫婦とは何か考えさせられた。
    色々な事があるけれど、乗り越える事で夫婦の歴史が作られる。
    何か起きたので諦める、辞めるにすぐ繋がるものではあってはいけないのだろうなと思った。

  • 主人公が人生の中で快挙と呼べる女性と出会って結婚し、その後病気や流産や転職や失業や、震災や浮気まで乗り越えて、淡々と生きていく夫婦の物語です。
    まあ個人的には共感できる部分があまりなくて、こんなもん?と思ってしまいましたが、身近な夫婦を思い浮かべたりするとそれが夫婦関係なのかもしれないなあーと少し納得。自分のことはまだよくわからないのかも・・・

    エンタメ性は皆無ですが、快挙、と呼べる出来事は意外と小さな幸せの気づきなんだと思わせてくれる作品でした。

  • 快挙…もっと大仰な事かと思って読み始めたけど、こんな感じかぁと少しガッカリ。夫婦のあり方、色々あるとは思うけど、主人公があまりに奥さんに頼りすぎてて、全く魅力的でなく、共感できなかった。

  • 夫婦の変質について

    とても読みやすかった。
    現実としては、なにかと引き換えに健康になるとか、癌が消えるということはないけれど、何もかもを手に入れるのは難しいというのは同感。ハッピーエンドで良かったと思う。が、小説を選んでいたらどうなっていたのだろう。

  • とにかく読みやすかった。
    でもやっぱり白石作品は女性目線のほうが好きだって改めて思った。
    ラストはちょっと?って感じだったけどよーく考えてみたらこれも快挙!ということなのかな。

  •  1990年代を舞台にした、ある夫婦の物語。夫・山裏俊彦が妻・中村みすみを見染めた瞬間から15年弱の夫婦生活を、当時の社会状況とともに描いた。

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著者プロフィール

1958年、福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。文藝春秋に勤務していた2000年、『一瞬の光』を刊行。各紙誌で絶賛され、鮮烈なデビューを飾る。09年『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』で山本周五郎賞を、翌10年には『ほかならぬ人へ』で直木賞を受賞。巧みなストーリーテリングと生きる意味を真摯に問いかける思索的な作風で、現代日本文学シーンにおいて唯一無二の存在感を放っている。『不自由な心』『すぐそばの彼方』『私という運命について』など著作多数。

「2023年 『松雪先生は空を飛んだ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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