- Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103056546
感想・レビュー・書評
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小説というのは、一種の思考実験なのではないか、と思うのです。
リアリズムの枠の中で、設定という条件を与えたときに、
登場人物がどういう行動をとってどういう結果に至り、どういう結論を導き出すのか? という。
現実の中で起こることには、常識とか倫理とか法とか、
私たち自身の人生の不可逆性とか不再現性とか、
そういう様々な拘束があるから、私たちは小説を読むのです。
「愛なんて嘘」というこの言葉は、
愛について、運命について、そういう抗い難い力について考え続け、幾つもの実験を繰り返してきた白石さんが辿り着いた、一つの仮説なのではないだろうか。
そして、その仮説を検証するための実験記録が、ここにある6編の物語なのである。
この仮説がはたして支持されるのか、それとも棄却されるのかについては、
けれど慎重な考察が必要だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最初の「夜を想う人」を読んで、うわあ、と思った。うわあ、私この小説めちゃくちゃ好きだ…。
好き嫌いがわかれると思う、というか、この主人公たちの気持ちはわかるひととまったくわからない人にばっっっさり分かれると思う。私はわかる気がした。
こんなの書ける人がいるんだ、しかも男性なのに。と思ったけど、こんな想いを抱くのに実は男性も女性も関係がないんだって、究極の「自己愛」の小説だいうコピーを読んで思った。帯に書いてる「狂気まみれの純愛」って、自分に対するもののことだったのか。
そう思って読むと、これは恋愛小説ではなく、自分の生き方探しの話。(恋愛をとおして自分探しをする、というのともなんか違う)
こんな視点から恋愛を書くなんてすごいなあ。 -
名作
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2016/05/23読了
「誰といても孤独なのは、この世界が人々の裏切りで満ち満ちているから」
まさにタイトル通り、理性的ではない6話。心の奥底にいる相手のところへ向かう潔さ。どれも箍が外れるというのとは違う。久しぶりに読んだ白石さんやっぱり好きだ。しかし残念なことに エロくなかった....
白石一文なのに← -
ありえない
愛の形の6編の短編集です。
人は
心の中に
どうしても忘れられない人がいて
それが叶わない恋や
愛してはいけない人だと
逆にどうしようもなく
止められない気持ちが
ふつふつと燃えあがるのかな
なかなか興味深い本でした
現実ではなかなか世間が許さない
お話ですが…
でも実は愛って嘘が多いかもて
ホントにそう思える -
愛なんて嘘、なのか…嘘こそが愛なのか…自分に正直に生きることと、世間的な愛、家庭、恋人、の狭間でたゆたうように進むストーリーは、せつなくも心地よく流れるような真実でした。
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タイトルで「嘘」と。
の、わりには。すべて、愛に、走っている⁉︎短編集かと。
どの女性も…そっちを選ぶ⁉︎
の、展開…だったかな。
最初とラストの短編は。
ちと、趣き違いますが…アタシ的には…。
最初の短編『夜を想う人』
「そんなことしたら、あの人の人生を侮辱したことになる」
前妻の死に対して妻になげるオットの‼︎コレ‼︎
前妻に対するこのオットの愛の深淵。脱帽、しま、した。
間の四作は、すべて女性が。元のさやにおさまる感じ。
逃げてきた風の元カレに…かえっていくの…
何もかも捨てて…幸せにみえることから、きっぱり決別‼︎
困難と、感じる方へ、と。立ち向かうラストでして。
ラストの短編『星と泥棒』
親友の突然死と、泥棒をきっかけにして。
その未亡人とお嬢さんと一緒に同居する男性のお話。
その男性の元妻に
「あなたも彼女も人間として本当に悪質だわ」って‼︎
「嘘」じゃなくて「誠」かな⁉︎の愛についての短編集! -
白石さんの短編は読みやすい。ちょっと現実離れしている作品もあるが、何か統一感を感じたを傷痕だけ、ちょっと違うなあ、と思っていたら、連載外だったみたい。
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2015 2/17