ここは私たちのいない場所

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 153
レビュー : 32
  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103056553

作品紹介・あらすじ

結局、あなたはあなたにしか治せない――。光と救いに満ちた書き下ろし長編。芹澤は大手食品メーカーの役員。順風満帆な会社員人生を送ってきたが、三歳で命を落とした妹を哀しみ、結婚もしていない。ある日、芹澤は鴫原珠美という元部下と再会し、関係を持つ。それは珠美の策略であったのだが、彼女と会う時間は、諦観していた芹澤の人生に色をもたらし始めた。喪失を知るすべての人に捧げるレクイエム。

感想・レビュー・書評

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  • 依存し合わない適度な距離感が凄く気持ち良い世界観だった。白石一文の良さがわかる人は、絶対にこの小説が好きだろうと思った。

  • なんとも、相変わらず淡々と書いてゆく作家だなあと。作家自身の性格が出ているのか。
    仕事ができるというわりに、あっさり女と寝てしまうのね。
    お母さんのことをママと言ってたり。
    あと、キリストと釈迦の捉え方はびっくり。
    セリフが多くサクサク読めたけれどね。

  • 5歳のときにふたつ年下の妹を肺炎で失った芹澤。当時のトラウマから、50歳近くまで家族を持つことを拒絶し、独身を貫き通す。そんな芹澤が元部下の女性との再開や親友の死をきっかけに諦観していた人生を見つめ直していくことに。

    「この世界で最大の尊崇を集めている二人(釈尊、イエス・キリスト)が性交渉を拒絶し、人類の存続を全否定しているのは驚くべき真実だと私はずっと思ってきた。
    もしも彼らの教えを忠実に守っていたならば、とっくの昔に人類は絶滅していたに違いない。
    そういった意味で、釈尊やキリストの教えは人類にとってたぐいまれなる危険思想と呼んでもいいだろう。」

    そんな視点で仏教やキリスト教のことをとらえたことなかったなぁ。

    死生観についていろいろと考えさせられる一冊でした。

  • 一気に読み進められたけど、いまいちかな。
    会社を辞めた男の話。

  • 心が参ってしまったときは過去の自分に会いに行って、その人に治してもらうしかないのよ

  • 食品会社の常務 芹沢存美(ありのり)は幼い頃に死んだ妹の在美(あるみ)の想い出が常に脳裏にある.独身を通していたが,元部下の女性の姦計で会社を辞めるが,その女性ともたまに会う.古い友人の死で心が騒ぐが,何とか乗り切る.淡々とした物語だが,随所に宗教や哲学などの話が出てきて,考えさせられる言葉がちりばめられているのが良い.

  • 何だか元気になりました。

  • 部下の不祥事と、その妻との関係で出世した会社を退職した芹澤。

    妹をわずか3歳で病死に直面してから肉親関係に希薄になり、恋愛はするものの独身で子供のいない立場で自由に生きてきた。

    会社を辞めるきっかけになった部下の元妻、珠美と会ううちに
    季節はめぐり、珠美は離婚して、画家の母が病気で倒れ
    のらりくらりと過ごす日々。

    食べるシーンが多いね。
    妹の死がトラウマになっているけれど、独身で気楽という感じ。

    最後の唇怪我して頼りないときに珠美が登場するのは
    ダラダラしてきた内容だったのが読み終わりほんわかして良い。

    元気を失ったときは、過去に聞いていた音楽を聴くと思い出がよみがえって元気づけられるって本当かも。
    私もやる)^o^(

  • 3才で命を落とした妹の死を境に人生に前向きになれない芹澤。結婚もせず仕事に打ち込み、大手食品メーカーの役員となっても心に巣くう喪失感はなくならない。
    ある出来事をきっかけに職を辞した芹澤が、友の突然の死を契機に自分の人生、自分の生きる場所について考える。
    セスナ事故で九死に一生を得た友の「人間は、自分が死ぬのかどうか判断がつかないまま本当に死んじまうんだよ」ということばは響いた。
    芹澤と共に私も自分の生き方について、自分のいる場所について自分の答えを見つけるよう課題を与えられたような気がしている。

  • 最近、知人が結婚した。50代半ばの男性と30代初めの女性。共に初婚。
    「女性の肉体を足の指から髪の毛の一本一本までくまなく舐め尽したいという衝動」に彼もかられたのだろうか、と妄想してしまう。

    ずっと会っていない友人が死を目前にした入院生活を送ることになったら、私もお見舞いにはいかない。逆なら来てほしくないから。
    以前、入院生活を送っているとき、上司の奥様が化粧をきっちりして代理にお見舞いにいらした。そのときの気持ちが思い出される。

    子どもを持たない人生だったけど、こうやって、病気のときには料理を作りにきてくれる異性が居るだけで十分じゃないか、と結末は嫉妬してしまった。

    白石さんの小説っていつもそう。

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