- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103060321
作品紹介・あらすじ
本当にアメリカは「沈みゆく大国」なのか――。願望まじりの「衰退論」とは裏腹に、いまだ世界はアメリカの魅力と呪縛から逃れられない。中国や中東へ積極的に進出する大学やウォルマート、アフリカのメガチャーチ…… こうしたアメリカの「文化的遺産」が、政治・教育・宗教などあらゆる分野で世界中に拡散、浸透している。アメリカ研究の第一人者が現場を歩き、その影響を考察する意欲的論考。
感想・レビュー・書評
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教育、宗教、あたりの視点は新鮮 以外に日本に馴染まないよね コーラとマクドは別だけど
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【版元の紹介】
願望まじりの「衰退論」とは裏腹に、いまだ世界はアメリカの魅力と呪縛から逃れられない。中国や中東へ積極的に進出する大学やウォルマート、アフリカのメガチャーチ……こうしたアメリカの「文化的遺産」が、政治・教育・宗教などあらゆる分野で世界中に拡散、浸透している。アメリカ研究の第一人者が現場を歩き、その影響を考察する意欲的論考。
<http://www.shinchosha.co.jp/book/306032>
“本書は『考える人』連載「アメリカン・レガシー」(2013年夏号~2015年春号)に加筆・修正し、「終章 もうひとつの『アメリカ後の世界』」を書き下ろしたものである。”[p. 207]
【目次】
引用 [001]
目次 [003-005]
はじめに――衰退か、それとも拡張か 009
第一章 ハーバード――アメリカ型高等教育の完成 017
ハーバードの神話/ハーバードとは何だったのか/リベラル・アーツ教育/反知性主義と「アメリカ型高等教育」
第二章 リベラル・アーツ――アメリカ型高等教育の拡張 037
中東のニューヨーク/アブダビにとっての「アメリカ」/東アジアの新興国へ/理念の拡張か、妥協か/「アメリカ型高等教育」のレガシー
第三章 ウォルマート――「道徳的ポピュリズム」の功罪 059
ウォルマートの「聖地」/スモールタウンの経営哲学/「ウォルマート・ネーション」/ウォルマートの南部性/ウォルマーティゼーション/道徳的ポピュリズム
第四章 メガチャーチ――越境するキリスト教保守主義 083
「ウガンダへのクリスマス・ギフト」/「神様はウガンダを愛する」/Cストリート/したたかなダブルスタンダード/ワトト教会/アメリカのジレンマ/シンガポールのメガチャーチ/拡散する信仰のOS
第五章 セサミストリート――しなやかなグローバリゼーション 105
“セサミストリート”はどこにある?/革新的な制作手法/リベラルマインドの結晶/綿密なローカライゼーション/その理念は日本にも届いたのか/文化外交のツールとして/中国化するセサミストリート
第六章 政治コンサルタント――暗雲のアメリカ型民主主義 127
政治のビジネス化の幕開け/「信条よりもビジネス」/越境するアメリカの政治手法/色褪せるアメリカン・デモクラシー
第七章 ロータリークラブ――奉仕という名のソフト・パワー 149
奉仕のクラブ/日本人も会長に/第二次世界大戦後の躍進/世界的展開とその限界/奉仕大国・アメリカ/ミドルクラスが担う世界
第八章 ヒップホップ――現代アメリカ文化の象徴 169
セジウィック・アベニュー1520番地/現代アメリカ文化の顔へ/ポストモダン的拡張/政治や外交の手段としてのヒップホップ/ヒップホップとアメリカ文化の伝統
終章 もうひとつの「アメリカ後の世界」 189
地域コミュニティからテーマ・コミュニティへ/アメリカナイゼーションの実態/通底するデモス=市民へのこだわり/マーケットの論理や力学への信頼/アメリカナイゼーション批判の陥穽/私たちは如何なる代替案を持ち得るのか
おわりに [205-206] -
今回はアメリカのグローバルな影響を、通常見られる飽き飽きした観点ではなく、氏ならではの切り口で展開している点は、相変わらず素晴らしい。
ただ、あまりにもトクヴィルの言及が多いのが、興ざめに感じた。 -
アメリカの力強さを如実に示す8つのトピックを取り上げている.どのアイテムも凄いと感じたが,リベラルアートをとことん追求するアメリカの教育の姿勢を解説した第1章と,日本ではあまりなじみのない政治コンサルタントの実態を取り上げた第6章が印象に残った.アメリカは出張でテネシーやテキサスの田舎に行ったことがあるが,東海岸の都会とは全く別の国だと感じた.だが,田舎でも力強いところは数多く持っていると思う.
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多様化が産み出すアメリカの強さ。
時代時代で姿を変えて躍動感を持って生きる生命体といった感じがする。 -
本書を読んで、アメリカの文化的影響力(少なくとも規範や制度の世界的拡張に関する点)は、世間で言われているほど普遍的でも圧倒的でもないものの、今後も着実に浸透していくように思えた。と同時に、アメリカの次に覇権国になるかというトピックが持ち上がるが、単に軍事力・経済力といったハードパワーが強いだけでは、覇権国になるのは難しそうだと感じた。