- Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103062387
作品紹介・あらすじ
永遠の文学青年、北杜夫の内奥へ。偉大な父、憧れ続けた文豪、もう会えぬ友、まだ見ぬ国を夢見た日々…含羞の作家の八十四年を彩った輝きの記憶たち。すべて単行本未収録の名エッセイ集決定版。
感想・レビュー・書評
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北杜夫雑文集
まんぼう節はひかえめ。懐かしい人について語ったところはさすがおもしろおかしく、かつジーンとくる。全集についた創作についての文章やマンの作品についての考察などがあり、北杜夫の文章への考えなども垣間見られる詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
久しぶりの北杜夫。また、読みたくなった。このユーモアのセンスは、抜群。有難い事です。
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昨年逝去した北杜夫の、これまで単行本未収録だったエッセイばかりを集めたもの。おそらく、新刊として出る最後のエッセイ集になるだろう。
収録エッセイのうち最も古いものは、1969年にアポロ11号の打ち上げを間近で見たときの見聞記。
いちばん最近のものは、2009年に「ほとんど遺稿」との端書つきで送稿されたという、「手塚さんの偉大さ」という一文。手塚治虫との思い出を綴ったもので、「未発表」(雑誌等にこれまで掲載されていない)とクレジットがあるが、私はこれとごく近い北杜夫の文章を読んだ記憶がある。どこで読んだか思い出せないが、よく似た内容のエッセイがあるのだろう。
エッセイ集としての出来は、あまりよいとは言えない。
北杜夫のエッセイの真骨頂はやはり「どくとるマンボウ」シリーズの2大傑作『航海記』と『青春記』にあるわけだが、本書はあの2冊のクオリティに遠く及ばない。
やはり、これまで単行本未収録だったのにはそれなりの理由があるわけで、本書は「落穂拾い」以上のものではないのだ。
ただ、中にはよいエッセイもある。
たとえば、ヴィスコンティの『ベニスに死す』を、原作と比べてどこがダメかを厳しく指摘した「『ヴェニスに死す』あれこれ」は、トーマス・マンを敬愛してやまなかった北杜夫にしか書けない鋭い批評となっている(ただし、北は『ベニスに死す』を、マンの映画化のうち最も優れたものとして評価している)。
親友・辻邦生の逝去に際して追悼文として書かれた「辻さんあれこれ」は、さすがにしんみりとした名文になっている。
また、最後の章には『北杜夫全集』の月報に寄せられた自作解題エッセイ「創作余話」がまとめられており、これは資料的価値が高い。 -
懐かしい拾遺集。僕ももう歳…。
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トーマス・マン、読んで見なければ。
躁うつと長く付き合っていたことに感嘆。 -
『幽霊』も『どくとるマンボウ』も高校時代に読んだ。
なつかしい作家。
てらいなく綴られた文学談義。
思いがまっすぐ伝わってきた。 -
☆は4つ!
ドクトルマンボウが亡くなってもう一年が経つのにいまだに新刊が発売されている。そしてそれを見つけては嬉しそうに読んでいる奴がいる。あ,わたしがそうだった。
この本前半のトーマス・マンとヴェニスのことを書いてあるところがとっても眠かった。でも眠らないでなんとか全部読んだ。その結果は,ふむそうか,やはりよくわからん,だった。だって純文学なのだもの。基本純文学は苦手です。
でも『楡家の人々』はとっても面白く読めました。それから『輝ける碧き空の下で』は今のところ半分は読みました。後半分はまだ本を入手していません。100円文庫で探しているのだけれど,ここ最近どうにも北杜夫の中古作品は品薄なのです。
そうして今わたしは『ドクトルマンボウ航海記』を買ってきて,読み,しばらくは手元に置いておこうかな,と思っています。おしまい。 -
幼少時代に「船乗りクプクプの冒険」「どくとるマンボウ」シリーズものを読み、
とりわけ青春時代(中学~高校)は「どくとるマンボウ青春期」に憧れ
(共通点のない、有名でもない中高女子校にすぎなかったけれど)
徐々に氏の純文学と呼ばれるジャンルにも手を出し・・・
↑同じような人って多いのかな?
リアルタイムではなかったので、読んでいないエッセーなどもたくさんあったので
この書で読めてよかった。
特に創作秘話(?)が楽しく読めた。
改めて氏の小説を読み直したいと思った。