- Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103064718
作品紹介・あらすじ
大切なことは、いつも台所でかんがえる。昭和の母たちのご馳走。ごはん炊き修業。だしの頼もしさ。春の昼酒。台所をめぐる17のエッセイ。
感想・レビュー・書評
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豊富な語彙で紡がれる、料理にまつわるエッセイ。
最高峰の食べ物描写が、思う存分味わえます。
ジャムを夜中に煮る描写、「暗闇と静寂のなかでゆっくりととろけてゆく果実をひとり占めにして、胸いっぱい幸福感が満ちる」なんて、官能的でたまらない。わたしもやってみたい!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ずいぶん昔に読んだので、本棚に載せていなかったけれど、文庫本のレビューを見て、ときめきを思い出して登録。
タイトル通り、真夜中に作ることは無いけれど、ジャム作りの楽しみを教えてもらった。
くつくつと煮えてくるにつれて、鍋の中の素材がとろり、つやつやしてきて…台所までが色と香りで彩られるような。
コロナ禍のせいでもないだろうけれど、この一年はよく作った。
出先の喫茶店で、思わず買ってしまった真っ赤なルバーブ。
りんご狩りに行ったら、落ちていた実をどっさりもらって大ラッキー。りんごバターも作った。
豊作だったから、でも酸っぱいからといただいたキウイは、プチプチで楽しくて。
気分転換にホントぴったりです。
ブクログデビュー前に読んだ本を、ふりかえって登録してみようかな。 -
台所、おいしいものにまつわるエッセイ集。
なんておいしい文章なんだろう。
どれもこれもおいしそうで、すばらしい。
料理は得意ではないけれど、私もキッチンは大好きな場所で、道具なんかも好きなものをじっくり選んでそろえたくなっちゃう性質。
蒸し物がめんどくさそう、とか、スパイスから作るカレーは大変そう、とか、読みながら「そうそう」って思いながらも、あ、そうやって簡単に考えてもいいんだなー、とか気がついたり。
「飲みたい気分」の話なんて読んでたら、お酒飲めないのに飲みたくなっちゃうよ。あー、おいしそう。
すてきなエッセイ集でした。 -
日々刻々と変化する果物の食べごろを見極めるのは非常に難しい。でもジャムにすれば、いちばん幸福なときに鍋の中で時間を止めてしまえる。さらに夜更けの静けさの中でジャムを煮れば、夜のしじまが甘美な香りで満たされて幸福感で胸がいっぱいになる。
母が作ってくれたごちそう、ごはん炊き修業、塩かげんの極意、だしの頼もしさなど、台所で考えた大切なことを綴ったエッセイ。
料理エッセイはいろいろ読んでいるつもりだが、この本は「おもしろい!」と純粋にわくわくした気持ちになった。他の料理エッセイとの違いは何か・・・それは、食べ物にたどり着くまでの著者の苦労とこだわりが詳細に描かれているからではないだろうか、と感じた。
例えばごはん炊きのエッセイでは、電子レンジを捨てたことをきっかけに自分の五感を使って料理をすることに目覚めた著者が、炊飯器を使わずにごはん炊きに挑戦する。戸棚の奥に放置されていた文化鍋から始まり、コンパクトな羽釜、お値段3万8000円の土鍋等で試行錯誤を繰り返す。しかし鍋に翻弄された著者の脳裏によぎったのは、割烹の主人の言葉だった。「最終的に愛情ですわ。おいしいごはんを食べさせてあげたい、その気持ちさえあれば、おいしく炊けるもんです」
目的のものを口にするまで何度も試してはやり直して、著者の研究熱心さがうかがえる、ちょっと読み応えがあるエッセイである。しかし決してストイックなのではなく、おいしいものを追求すること自体を楽しんでいる著者の姿が浮かんでくる。だから読み手である私もわくわくした気持ちになってしまうのだろう。
しかし残念な点がひとつある。私は読むだけで食べられない。著者が苦労したり手間をかけたりしてでも口にしたい味とはどんなものだろうか。私も夜更けに台所に立って、試してみよう。 -
調理から器、調理器具まで退屈させないエッセイ。
一番は題名かな。自分は夜中に味噌汁あっためてます。 -
2017.11.6
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今日こそ、今夜はジャムを煮よう。BIOの檸檬を無駄にしない為にも!と決意しているその日にこの本に出会った。
ジャムはやっぱり銅鍋なのか…。ぐずぐずしていたら、一番美味しい時を逃してしまう。
『夜のしじまに甘美な香りが混じり始める』…平松さんの食エッセイ。食いしん坊には堪らないな。今晩は絶対にジャムを煮る!!