黒龍江省から来た女

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103067719

感想・レビュー・書評

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  • 夫にインシュリンを注射して植物人間状態にしてしまったという『インシュリン殺人未遂事件』のルポ。この中国人妻って、自分の要求をグイグイ押しつけて来て、一歩も引かないという感じ。取材に手間ひまかけたワリには表面的に事件をなぞったという印象だったので、もう一歩踏み込んでよーと思いました。

    黒竜江省の片田舎の日本語学校で、将来は日本で働きたい、日本の大学で日本文学をみっちり学びたいという日本留学希望の学生が真面目に日本語の勉強に精を出している一方、日本文化や日本語を全く学ばず、永住権とお金に目がくらんで日本人と結婚したがる無知で強欲な人たち。どちらが日本にとって有益な人たちか・・・。どうせ日本に入国させるなら真面目な人物を選んで欲しいと思います。

    後半、中国人妻の出生地まで取材に行く著者。でも彼女の生い立ちを追うというよりは、いつのまにか旅行記のようになっているような・・・。

  • 【図書館】
    ノンフィクション
    火災はだれの仕業なのか・・・・?

    作品の紹介
    女は凍土で生まれ、ひたすら日本を目指した―。「お見合いツアー」に参加、21歳年上の日本人と結婚し、来日した史艶秋。千葉の寒村に奇妙な出来事が起こるようになったのは、それからまもなくのことだった。獄中からの手記で浮かび上がる、凍てつくような心の闇。中国現地取材で判明した驚愕の新事実とは?「千葉インシュリン事件」、その奈落への軌跡を克明に追う。

  • TVで見た美しい日本に憧れてたから、中国まで嫁探しに来た20ちょい年上の日本人と結婚したけど、嫁いだのは千葉の田舎の農家で。
    旦那は月に10日くらいしか働きに行かなくて、義父は病気がちだけどすごく元気な義母にガッチリ家計を握られてるし、旦那に言われてパートに出たけど給料は全部旦那に取られちゃうし。
    義父母が亡くなった後、子どもをふたり産んだけど、旦那は叱るばかりで全然可愛がってくれないし、子どもの誕生日に外食することさえ許してくれない。
    買い物に行ったって、旦那に言われたものしか買えないから、子どもにおやつも買ってあげられない。
    何より、結婚する前は、中国の実家に毎月20万送るって約束してくれたのに、全然送ってくれない。
    もう…。
    旦那なんて死んじゃえばいいのに…。
    そうすれば、お金も時間も私の自由になるのに…!

    ……と不満を募らせた末、夫に大量のインシュリンを投与して重篤な低血糖症に陥れ植物状態にした、とされている『インシュリン殺人未遂事件』。
    中国出身の妻が、植物状態になった旦那の介護を放り出して浅草に行き風俗店を経営していたことや、その風俗店で8歳年をサバ読んで客をとっていたことや、全身整形したらしいことなど、女性週刊誌とワイドショーが好む要素盛りだくさんな事件としてメディアは連日、その鬼嫁っぷりを報じていた。
    本書は、この裁判を全て傍聴したノンフィクションライターの著者が、被告本人と面会し、中国に出向いて周辺を取材し、なぜ事件が起きたのか?に迫ろうとしたルポである。

    殺意は否認しているもののインシュリンを大量に投与した行為そのものは本人も認めている。
    もちろん、殺意があろうとなかろうと、不満が溜まったからって植物状態にされちゃたまらないが、でも。
    キラキラした暮らしを夢見て日本に嫁いだのだろうと思う。
    そんな生活を匂わされて嫁ぐことを決めたのだろうと思う。
    旦那さんは周囲に「嫁がお金、お金とうるさくてかなわない」と漏らしていたらしいが、もしかすると、夫婦の間で交わされた唯一の約束が、「中国の実家へ毎月20万円仕送りすること」だったのではないかと思う。
    その約束があってこそ成立した結婚だったのだろうと思う。
    しかし、その唯一の約束は反故にされ、お金のことを言えば罵られ、子どもにも冷たい。
    家族としての愛情が感じられないどころか、使用人並みの扱いをされる。
    いよいよ離婚を切り出せば「子どもは渡さないぞ。日本の法律は日本人の味方だ」と言われるし、逃げるにしても自由に使えるお金はない。
    しかし、頼る人もいない異国の地で何としてでも稼がなければ、故郷に帰ることすらできないのだ。

    そんなふうにジワジワと追い詰められた被告の気持ちに、著者がイマイチ迫っていないのはなぜだろう。
    被告と幾度か接見したというのに、意思の疎通ができなかったのはなぜだろう。
    傍聴記に加え、拘置中の被告が何をしようとしていたのかを知るには興味深い本かもしれないが、被告の深層に迫りきれていないあたりが、どうにもこうにも歯痒い。

  • 中国から来た花嫁が夫をインシュリン多量投与で植物人間にしてしまった、実際に起こった事件のドキュメントです。永瀬は元々ノンフィクションライターが出発点だったわけですからお手の物だと言えますが、フィクションライターとしても確固たる地位を獲得した今だからこそ、この事件をベースにした永瀬節を披露して欲しかった。

    表紙はグ〜

  • 千葉は市川とかならともかくすっげ田舎だからなぁ

  • 好きな永瀬隼介作品という事で、初の事件ルポものを読む。ミステリー作品ばりの事件て起きてるんだなぁと改めて嘆息。 ネットとか新聞とかだけでは、窺い知れない事件の奥を垣間見た。「面白いっ」とかいうものじゃなく「へぇぇ…」っていう感じ。

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著者プロフィール

永瀬隼介

1960年鹿児島県生まれ。國學院大學卒。週刊誌記者を経てフリージャーナリストとなり、祝康成名義で『真相はこれだ! 「昭和」8大事件を撃つ』を刊行するなど事件ノンフィクションを中心に活躍。2000年『サイレントボーダー』で小説デビュー。事件現場で培った取材力を活かし、現代の深部を抉る骨太のサスペンスや犯罪小説を発表している。近著に『帝の毒薬』『カミカゼ』『三日間の相棒』『白い疵 英雄の死』『12月の向日葵』など。ノンフィクションに『19歳 一家四人惨殺犯の告白』などがある。

「2022年 『殺し屋の息子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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