- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103068419
感想・レビュー・書評
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母と息子、父と娘、それとは全く違う母と娘の関係。
「ありがとう」も「ごめんなさい」も言った事が無く、4歳の時に娘がつなごうとした手を振りほどいた母。それ以来、母の身体に触った事の無い娘。
7人の子供を生んで、4人を亡くし、42歳で未亡人になって女手ひとつで子供たちを育て上げた気丈な母。
家事能力に長けていて、おしゃれ、でも情の薄い母。今ではボケてしまって、初めて「ありがとう」と「ごめんなさい」を言うようになった。
その母に対する強烈な憎悪と、「愛してほしかった」という切望が入り混じって、繰り返される文章は、読んでいるのが辛かった。
「百万回生きた猫」が大好きなので、著者の本を手に取ったが、内容はあまりに重かった。女の人なら誰しもある程度は分かる気持ちなのではないか、と思う。
一番愛してほしかった母に、やっと寄り添うことができたのは、母がボケてしまってから、というのが悲しい。
心に残る、という点では☆5だが、人に勧められるか、という点では☆3。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いろいろ事情があって、この本の感想は書きづらい。いや、私が母に虐待されてたとか、そっちの方向ではないのですが。洋子さんにはシズコさんがこのように見えてたのだろうなあ、人間って合う合わないがあるよなあ・・・と書くだけにとどまろう。
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とてもいい本だった。母と娘というのは、多かれ少なかれいろいろある。
私も、母との関係はあまいいい状態ではないけれど、佐野さんの話を読んで、すごくお母さんのことが好きだったのだなと感じた。
愛してほしくてしかたがなかったのだと。
読んでみて、私もきっとそうなのだと気づかされた。
よかった、母が元気な時でと思う反面、母が呆けないと素直にはなれないのだろうなとも思う。 -
家族・母親・親と子、
それらがいかにあるべきか、
その答えを見つけるヒントになる本だと思った。
子を甘やかすのか厳しく当たるのか
子が親を愛してるのか嫌っているのか
家族重視なのか家族はあくまでも枠組みなのか。
ただ伝わりにくい内容だとは思うし、
小説のような随筆のような独特な書き方が
私にはあまりなじまなかった。 -
ちょっとずっしり。
所在不明の高齢者問題とか言ってるけれど、これを読むと「家族」のつながりなんて危ういものだなぁと思う。
血の繋がった家族だからかかえる葛藤、愛憎、他人には言えない見せられないもの様々あるわけで。
「家族」でいること、いい家族って何だろうと色々と考えさせられた。 -
文章はあまりうまくなかったような気がする。
でも、とてもいい話だった。
お母さんが嫌いだった、手をつないだこともなかった。
こんな人っているのかなぁ
老人ホームに入れたことを、「私は金で母を捨てた」って言ってた。
最後に初めてしわしわになったお母さんの手を握って、一緒に寝るところが感動的。
それと、お母さんがボケて子どものこともわからなくなって、死んだ息子のことを忘れちゃう。
著者が面倒みてた弟。
そのとき、あの子が生きていたことを覚えているのはこの世で私だけになってしまったって言うのが切なかった。
人って忘れていくものなんだなぁって。
なんだか切なくなりました。 -
佐野洋子さんの母は呆けてから「ごめんなさいありがとう」を云うようになった。4歳の時に母に手をふりはらわれてから母の手をさわったことがない佐野さんは、母が呆けて6年以上経ったある時、何かにゆるされたと思い自責の念から解放され号泣した。佐野さんの他の作品も読んでみたいと思った。
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【配架場所】 図書館1F 913.6/SAN
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『あの頃、私は母さんがいつかおばあさんになるなんて、思いもしなかった。』
どうか、カズとトシコが永遠に生き続けますように。 -
母と娘の長年の確執を描いた自伝。若いときに読んだら、きっとさほど感じなかったと思う。他人のみならず、親子でも、人間関係は難しい。