夜が明ける

  • 新潮社 (2021年10月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784103070436

作品紹介・あらすじ

直木賞作家が5年間苦しみ抜いて到達した祈り。再生と救済の長篇小説。思春期から33歳になるまでの男同士の友情と成長、そして変わりゆく日々を生きる奇跡。まだ光は見えない。それでも僕たちは、夜明けを求めて歩き出す。どれだけ傷ついても、夜が深くても、必ず明日はやってくる。

みんなの感想まとめ

貧困や虐待といった厳しい現実を背景にした、男同士の友情と成長を描いた物語は、読者に深い感情の揺れをもたらします。主人公たちの辛い体験は、彼らの内面の葛藤や希望を浮き彫りにし、思春期から33歳までの道の...

感想・レビュー・書評

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  • 1998年、15歳だった「俺」と「アキ」の18年間にわたる貧困と魂の記録。それは、「失われた30年」とも言われる時代の、平成に生きた多くの若者にとってはあり得たかもしれない物語でもある。

    私はロストジェネレーションとはふた世代違う。それでも、労働組合運動を通じて、彼らのことは理解しようと思っていた部類だと思う。生活保護費申請につき合ったこともある。でもやはり、こういう小説を読むと違う。全然違ったのである。

    片親で最初から貧困だったアキや、高校生の時に突然貧困に陥った「俺」も、生活保護に頼ろうという発想はなかった。それは知識の不足ということでもなくて、ホントに自分には必要ないと思っていたから。言われてみればみれば、そういうものだと思う。80年代の半ば、私たちでさえ、「今月アイツ100時間、残業したらしいよ、ま、サービス残業だけどね」「うう、負けた〜」なんて「働き方改革失格」の会話を交わしていたのだから。

    頑張れば頑張るほどワーカーホリックになってゆく。でもカネは貯まらない。それが私たちと違って彼らの特徴だった。それが、財界から仕組まれた「社会」だったと気づかないまま。それを上から目線ではなく、1人の人間の人生として見させてもらった。小説だからこそ、私の感情は大いに乱れたのである。

    2017年に起きた一連の事件のことを西加奈子さんは、最終2ページに記している。それがこの小説のできたきっかけだったかもしれない。作家の創造力の凄さよ。

    2022年8月1日、コメント欄でnaonaonao16gさんから「今読むべき作品です」と強く推されて、その日のうちに県立図書館に予約しました。それなのに、1年半後にやっと借り受けたのです(泣)。お勧めありがとうございました。

    • kuma0504さん
      せぐりまんさん、おはようございます。

      確かにもう一度読んだら、かなり疲れそうです。「俺」という一人称に拘ったのは、彼らの人生を追体験して欲...
      せぐりまんさん、おはようございます。

      確かにもう一度読んだら、かなり疲れそうです。「俺」という一人称に拘ったのは、彼らの人生を追体験して欲しいという西さんの狙いだろうから、それはしんどいに決まってる。

      ちなみに「くもをさがす」を県立図書館で検索したら、79予約が入っていました(^^)。これだと、多分3年待ちです。
      2024/02/04
    • せりぐまんさん
      くもをさがす、3年待ちですか!
      それはそれは…
      ただ、蔵書の種類が多いのは羨ましいです。私は福井県立図書館に通ってますが、なかなかないものが...
      くもをさがす、3年待ちですか!
      それはそれは…
      ただ、蔵書の種類が多いのは羨ましいです。私は福井県立図書館に通ってますが、なかなかないものが多くて、結構リクエストしますが、リクエストしすぎかな…とあきらめることもしばしばです。
      予約は10件までですか?
      10件の範囲で何を予約するかいつも試行錯誤してます。笑。せめて15件にして欲しい…
      2024/02/04
    • kuma0504さん
      せぐりまんさん、
      確かに予約数多い本を沢山予約していると、
      あっという間に10にも15にもになってしまいますよね。
      私は幸い、マイナーな本の...
      せぐりまんさん、
      確かに予約数多い本を沢山予約していると、
      あっという間に10にも15にもになってしまいますよね。
      私は幸い、マイナーな本の予約が多いので、きちんと消化できています。10で充分。あんまり多いと同じ時に、多数予約解除のお知らせが届く問題が発祥してしまいます。

      リクエストは権利です。
      また、図書館の「色」をつける事にも貢献しています。私もどんどんリクエストしています。頑張りましょう。
      2024/02/04
  • 1998年。15歳だった俺と俺の友だち深沢暁。

    アキは身長が191センチあり吃音でした。
    父親が映画マニアだった俺の家にはビデオテープが山のようにあり、俺はフィンランドのスーパーマイナーなアキ・マケライネンというアキと容貌の似ている役者をアキに教え、『男たちの朝』というビデオを貸します。

    アキはすっかりそのビデオが気に入り、アキ・マケライネンになろうとします。
    アキは心優しい大男でしたが母しかいない家は貧しくガソリンスタンドでアルバイトをしていました。

    俺の父親も高校2年の終わりに車の事故で多額の借金を残して、自死。
    俺は奨学金を受けてなんとか大学には進学しますが、その後二人共、大変な人生が始まります。

    役者になりたいアキは一つだけアキを受け容れてくれた劇団にアルバイトのかけもちをしながら、劇団では毎日掃除。

    俺は大学卒業後、マスコミを志望して、ADになりますが、苛酷極まるADの仕事で、ストレス性胃腸炎から鬱になりかけます。

    アキは劇団が解散した後もマケライネンになろうとしながら残飯を漁り、路上で眠り生き延びようとします。

    読んでいる間中、怖いと思いました。
    アキや俺の境遇がもし自分に降りかかってきても何もおかしくないことだからです。

    ちゃんとした場所でちゃんと働けるというのはすごく幸運なことなのだなあと思いました。

    でもこの小説は異常に苦しい。苦しすぎる。なんでこんなに苦しいのだろうと思って読み続けました。
    でも答えは用意されています。
    「苦しかったら、助けを求めろ」

    そして、ラストに奇跡が起きます。
    アキの全生涯は決して幸福ではないように思えますが、アキ自身はきっと幸せだったというような気がします。
    だって、アキはマケライネンになることができたのですから。

  • 2022本屋大賞第6位作品。
    遅ればせながら西加奈子作品を初読み。

    アキ・マケライネン

    不思議にも強烈にインパクトのある名前だ。いや言葉だ。エネルギーをもっている。これが僕が感じた読み始めから読み終えるまでの一貫した印象だ。

    本作は、高校の同級生だった男子二人の友情を描いた物語だ。「俺」と身長190センチで吃音もちの天然っぷりハンパない心優しき男「アキ」。

    アキは育児や教育をまともに受けておらず過酷な幼少期を過ごす。そんな環境で育ったからのか、典型的な世間知らずで世渡りベタ。経済的にも恵まれずガソスタなどでバイトして貧しいながらも生きていた。

    この二人が高校生の時にひょんなことから、フィンランドの超マイナー俳優を話題にして友人となる。アキはその俳優にそっくりらしい。この俳優こそがアキ・マケライネンだ。
    アキはマケライネンに魅せられ彼を強く意識して生きるようになる。

    知り合ってから二人はいろんな不幸に遭遇する。「俺」の生活は、高校2年生が終わる時に自由気ままな業界人の父親が借金残し急死してから一変。奨学金でなんとか大学を卒業し、キー局下請けのテレビ制作会社に入る。映像の力で世界を変えたいなどという若者らしい大志も抱いて…

     しかし、希望してたのとは全く違う仕事をさせられることに。バラエティー番組制作でADとして言語に絶する劣悪な職場環境でめちゃくちゃなハラスメントをくらう。そして心身ともにボロボロになる。こんなバカげたことやって制作されるバラエティ番組とは何なのかと苦悶する。

     アキの人生も苦悩に満ちている。マケライネンに魅せられ、マケライネンになりきりたくて苦労して小劇団のメンバーに名を連ねることになるが、人間関係にもがき苦しみ、社会の底辺を彷徨う。

    果たして2人の将来に何が待っているのか。それは読んでみてのお楽しみ(笑

    とにもかくにも貧困に象徴される日本社会の閉塞感、若者と高齢者との分断や、老害などと揶揄される高齢化社会の問題への痛罵、劣悪な就業環境も当たり前のものとされて来たマスコミ業界への嫌悪感、さらには自己責任社会に対する強烈な批判が込められているようで、西加奈子さんの熱い思いがストレートに伝わってくる。

    さすが我が国の人気作家。僕は初読みだが、おそらくはこれが彼女の真骨頂なんだろう。

    最後に。
    本作のテーマは、森の言葉にテーマ集約されている。

    苦しかったら助けをも求めろ

    助けを求めることは本当に大事だ。複雑不可解な現代を生き抜くために肝に銘じておこっと。

  • みなさん、前回のレビューをご覧いただけただろうか。
    (ホラー映像風)
    ご覧いただいていない方のために、もう一度説明しよう。
    naonaonao16g、口内炎が悪化して喉や耳まで痛み、耳鼻咽喉科を受診したら中耳炎になりかけていたんです。お医者さんの言うことをしっかり聴いて過ごしていたんです。

    しかしである。(ここからが後日譚)
    耳鼻科からもらった薬を飲んでも治りが悪いどころか、夜中に目が覚めて眠れなくなる事態に。
    奥歯の方もじん、と痛い。
    もう一回耳鼻科を受診し、同じ日に歯医者も予約(しかも同じビルにある)。
    そこでようやく、naonaonao16gを蝕んでいたものの正体がわかったのです。
    なんと、親知らずだったんです!!ヒイイイイイイ!
    炎症が治るまでだいたい一週間くらい様子を見て抜きたいという歯医者さん。しかし、夏の予定(特にBBQとロッキン)的にそれでは間に合わないnaoaonao16g「先生、時間がないんです」。
    そんなこんなでなんとか仕事や予定を調整して週4で歯医者に通い、数日前親知らずを抜いてきました。
    今んとこ痛みは落ち着いてて、ぷくりと腫れた頬が少し愛らしく思えるほどの状態になってきました。
    いやぁ…原因がわかってよかった!多くて人生に2回しかない親知らずの大手術。記念に抜いた歯を持ち帰ってきて、時折見つめています…笑

    と、こんなnaonaonao16gのしょうもない日常で尺をとってどうする!今日のレビューは西加奈子さんの5年ぶりの大長編『夜が明ける』。

    二人の青年が死に物狂いという言葉では表現しきれないほど死と隣り合わせの世界で生きてきた物語。「死と隣り合わせの世界」、それは知らない国でもなければ、反社会的な世界のことを言っているのでもない。わたしたちが生きている日本の話であり、わたしたちが生きている、ごくごく普通の社会のことである。

    もともと貧困家庭に生まれ育ち、母(シングルマザー)から虐待を受けてきたアキ。母は差し伸べてきた手を拒否してきた。その手は母の機嫌を悪くするものだったから。だからアキも、差し伸べてくる手を信用していなかった。アキはつまり、助けを求める方法を知らなかった。助けを求めても、うまくいかなかった。
    貧困家庭に生まれ育ち、助けを求める方法を知らずに、うまく助けを求められなかった青年、アキの物語。

    もともとは「普通」の家庭に育った俺は、家庭を襲ったある出来事から、貧困に陥った。助けてくれる人や、話ができる友人はいた。それでも、ごりごりの体育会系の会社の中で働く苦しみや、助けを求めようにも求められない苦しみを、全て吐き出せる人はいなかった。
    自立する過程で貧困に陥り、助けを求める方法は知っていたが、助けを求められなかった俺の物語。


    別の境遇から「貧困」に陥った、そんな二人の青年の物語だ。
    アキの章も俺目線で語られるという珍しい手法で描かれている。

    全部で407ページ。『貧困』と名のつく多くの参考文献がずらりと並ぶ。
    ここからもう西さんの熱意が伝わってくる。
    当事者ではない西さんが、戸惑いながらも作家として全力で描いたというこの作品は、誰にとっても他人事ではない。
    シングルマザー、虐待、貧困、ハラスメント、ブラック企業、過重労働、うつ病、生活保護。
    他人事だと思っているそれらのことは、いつ自分に降りかかってくるかわからない。
    どうしてこんなに助けを求めづらい?どうしてこんなに誰かに頼ることが難しい世界になった?
    みんなができてることが自分にはできないから?ただただ恥ずかしいから?自己責任だと思ってるから?
    こうやって「誰にでもありうることなんだよ」って、義務教育では教えてくれないの。困ったら相談するところがあることとか、特にお金に困ったら生活保護があることとか。そういう制度を使っていいんだって、その権利が誰にでもあるって、そういうことこそ、教えるべきだと思うんだ。
    だけど、今の教育はそれを教えてはくれない。こうして直木賞を受賞した作家さんが、この目を引く表紙でもって、現代社会を生きていくことのしんどさを訴え、それでも最後には希望を持たせてくれることの意義。

    西さんの作品は人の弱さを徹底的に描く。それでも、登場人物の強さに光を当てているから、最後には圧倒的な希望がある。
    実際に生きている人にも、同じようにみんな強さがあると思うんだ。だけど、その強さに自分ではなかなか気付けない。だからこそ、その強さに目を向けてくれる人との出会いって貴重なのだけれど、残念ながら、機会に恵まれずにそれに気付けないままの人だっている。最近、それが顕著に感じられたのが山上容疑者だったり、京都アニメーションを放火した犯人なのだけれど。彼らの家庭環境は壮絶で、どうして誰も助けられなかったんだろうと思うばかりだ。助けを求めてもうまくいかなかったのか、助けを求める方法を知らなかったのか。もしくは、助けを求めることができなかったのか。誰か一人でも、彼らに寄り添ってくれる人がいたら。
    どうしたって存在する格差社会を、どのようにして生きていくのか。
    「自分は大丈夫」なんて思わずに、ぐるりと自分以外のところにもアンテナを向けてほしい。
    「自己責任」て言葉で、貧困問題を捉えないでほしい。自殺者を追い込まないでほしい。
    「貧困」と一口に言っても、単なる経済的貧困だけでなく「心の貧困」にも目を向けたい。

    仲野太賀さんの帯。
    『息を殺しながら生きなくてもいいように、誰かの心が壊れないように、この物語が生まれたんだと思う。』

    この作品の良さを、端的に描いた素晴らしい文言だと思った。

    • naonaonao16gさん
      kuma0504さん
      5552さん

      おはようございます!
      コメントありがとうございます^^

      追わないようにしているんですね笑
      うん、この...
      kuma0504さん
      5552さん

      おはようございます!
      コメントありがとうございます^^

      追わないようにしているんですね笑
      うん、この作品、是非その揺れに乗っかって読んで頂きたい一冊です。今読むことが求められている作品のように感じます。それは流行とかそういったこととは別の意味で、今読むべき作品だと思います。
      生活保護を受けている方の背景って壮絶ですもんね。そこまで頑張って踏ん張ってきたんだなと…

      わたしも京アニのことは5552さんのコメントで知りました。ほんとに、やったことは許されませんが、社会が彼を放置した責任もあると思いました。
      2022/08/01
    • マリモさん
      naonaonao16gさん
      こんばんは!
      親知らずだったんですねー∑(゚Д゚)原因がわかって良かったですが、まさか親知らずでそんな大変なこ...
      naonaonao16gさん
      こんばんは!
      親知らずだったんですねー∑(゚Д゚)原因がわかって良かったですが、まさか親知らずでそんな大変なことになるとは。。私も変な方向に生えてる親知らずがあるのでガクブルです。
      お大事になさってください。

      うわー、この本も読みたい!すごい力のこもったレビューでした。
      自己責任と一般人まで声高に言うようになったのって、たぶんイラクの人質事件のあたりからでしょうか。最近は、色んな「いやいやどこが自己責任?」という場面でも安易に使われてて、違うよなと思います。いつでも自分に対してブーメランになるのに、元気に働いているうちはなかなか気づかないんですよね。自分に直接向けたものでなくとも、自己責任論が幅をきかせる社会は、すごく人を孤立させる社会なんですけども。
      2022/08/01
    • naonaonao16gさん
      マリモさん

      こんばんはー!
      そうなんです、親知らずでした!!
      わたしもびっくりしましたー!まさか親知らずとは…笑
      じりじりとした痛みが続い...
      マリモさん

      こんばんはー!
      そうなんです、親知らずでした!!
      わたしもびっくりしましたー!まさか親知らずとは…笑
      じりじりとした痛みが続いており、歯医者通い続けております…

      自己責任、わたしも生徒に言いがちなので考えさせられたんです。
      そこだけの状況を見れば確かに自己責任なんですけど、それはちっとも自己責任なんかではなく、大概「自己責任」という言葉を発した側の怠慢だったりするんですよね。自己責任と言われた側も「確かにそうかも」と思わせる威力があるから怖いです。
      わたし自身責任感強い方なので自己責任として落とし込むことが多く、だからこそ気をつけないとなと思います。
      2022/08/02
  • 最後まで読んで良かった!
    途中何度本を閉じようと思ったことか。
    主人公の“俺“と“アキ“の本当の辛さが分からない私は読んではいけないのではないか、と思った。
    貧困、虐待、ハラスメントのドン底の描写が延々と続く。あまりの描写に斜め読みになってしまったかもしれない。
    “俺“が憧れる女性の『恨んだら負け』という言葉。
    “俺“が大っ嫌いな女の『勝ち負けじゃない、抗うんだ』という言葉。
    “俺“にはない発想だから、憧れるし排除したくもなるんだろう。
    凍えて寒いのは自分のせいだと思っていた“アキ“。誰かに温めてもらうことを知らなかった“アキ“。それどころか、人に対して嫌悪を感じる権利さえないと思っていた“アキ“。
    「どんなクズでも、ダメな人間でも、生きているから、権利がある」
    どんな人の夜も平等に明けるといい。

  • 読み進めることをとても困難に感じた。

    僕は西加奈子さんの作品が大好きだけど、この作品ははっきりと「苦手だ」と思った。
    ひたすら重く、辛い。救いの光が見出せない。

    オビには「再生と救済の物語」と書いてあるけど、そんな甘いものを期待してはいけない。

    それでも、この国には、つかおうと思えばつかえる制度や手段がある。

    だから、

    ひとりで抱えちゃダメなんだ。
    誰かに助けを求めるべきなんだ。

    • naonaonao16gさん
      たけさん

      こんばんは!
      そうでしたか、苦手でしたか!

      確かに、わかりやすい「再生と救済」ではなかったですよね。
      読者が最後に再生と救済を...
      たけさん

      こんばんは!
      そうでしたか、苦手でしたか!

      確かに、わかりやすい「再生と救済」ではなかったですよね。
      読者が最後に再生と救済を感じられるようなストーリーを緻密に作り上げて、結局それをどう捉えるかは読者次第、というところはあったような気がしています。

      文体は読みやすいですが、時間かかりましたよね、お疲れ様でした!
      2022/08/14
    • たけさん
      naonaoさん

      おはようございます。

      いやー厳しかったです。
      僕がたどり着いたところは、結構「絶望感」に近くて「再生と救済」は辛うじて...
      naonaoさん

      おはようございます。

      いやー厳しかったです。
      僕がたどり着いたところは、結構「絶望感」に近くて「再生と救済」は辛うじて感じられるくらいでした。
      読んだ時の精神状態によるのかな?
      なんせ、最近夏バテ気味なんで…

      そうか!
      この本は秋とか気候がいい時に読んだ方が良さそうですね。
      2022/08/15
    • naonaonao16gさん
      たけさん

      アキについては、確かに絶望が強めでしたよね。わたしはそれについては、現状で「制度を知らない人がどういう生い立ちを辿ったのか」の事...
      たけさん

      アキについては、確かに絶望が強めでしたよね。わたしはそれについては、現状で「制度を知らない人がどういう生い立ちを辿ったのか」の事例の1つだと認識してました。

      わたしはまた体調を崩しまして…ゆったりペースの読書に逆戻りです…
      この気温…夏バテにもなりますよね…

      寒くなってきたら逆に寒さにやられてきっと遅読になって季節のせいにする可能性大です笑
      2022/08/15
  • 貧困をはじめとした多様な社会問題をテーマに書かれている小説。描写がリアルすぎて読んでいてとにかく苦しかったです。正直読んでいて楽しくもおもしろくもないのですが、不思議とページを捲る手が止まりません。こういうテーマを正面から書いて読み切らせる文章力がとてつもないです。
    私は、登場人物に共感できるような人間ではないですし、知っている人に、そのような境遇の人もいません。が、世の中には必ずそのような人がいる、ということもわかっています。ただ、そのような人を助けられるほど自分の暮らしに余裕はないです。でも、本当は助けるべきとも助けたいとも思いません。知らない人なので感情がないです。そんなクソみたいな考え方しかできないわけですが、こうした状況をないことにはしたくないとも思っています。
    だから本を読みます。忘れないように。素敵な本でした。

  • それはとても重い。生々しくて、目を背けたくなるような描写。
    読みたくないと本を閉じたり、読後感が良くないとネガティヴな評価を下す気持ちもわかるが、それはまさにいま起きている出来事から目を背けるように思える。
    社会問題を扱う作品も過去あるが、これはさらに一歩踏み込む西加奈子さんの新境地といってもいい。こういう挑戦を作家さんは続けてほしいと思う。 ★4.5

  • どうやっても私の語彙力では、この本の魅力を伝える事は出来ませんが…。

    貧困や虐待、教育制度、古き悪き日本の労働体制。全て現在日本で起きている静かな闇。俯瞰すべき特別な事じゃない、決して対岸の火事ではない私たちの問題。

    酷く酷く、抉るように描いているのではないところが、ザラッと心に残る。

    この物語の先にあるのは夜明けなのか、再生なのか。
    抗うこと、助けを求めること。

    これは、ちょっとしばらく引き摺るなぁ。。。

    あのエッセイを描いた西加奈子さんは、こんな事を思っていたのですね。
    何となく、先にエッセイを読んでよかった。

    本読んでても全然身に付かない表現力と語彙量っ!

  • 生きることに絶望しかしないような2人の人生がただただつらくて途中で読むのを何度もやめようかと思った。
    だけどこれは読み進めないといけない気がした。夜が明けることを願って。耐えて耐えて進み続けた。
    子どもの頃に虐待や借金や貧困という社会問題の最中に放り込まれると、大人になっても辛い生活と戦い続けなければいけない人たちがたくさんいるんだってこと。
    知ってたつもり。ただのつもりなだけだった。はあー、すごーく熱量が重たくて西加奈子さんの挑み方に脱帽です。
    夜は明けたのかな。明けてたらいいな。

  • 西加奈子さんの作品を読むのは『サラバ』以来だと思います。
    何となく雰囲気が似てるかな?と感じました。
    相変わらず文章から溢れ出るエネルギーがすごくて、物語に引き込ませる文章力が圧巻です。

    高校時代、「俺」とアキが出会うところから物語が始まります。
    ネグレクトやハラスメント、そして貧困の問題…。
    二人の前に立ちはだかる社会は、いつも残酷で厳しいものでした。

    それぞれの痛みが、苦しみが、飢えが、そして孤独感が、文字を通してひしひしと伝ってきます。
    限界まで追い詰められている状態にも関わらず、周りに助けを求めることができない。
    「助けてほしい」と声を上げることは、とてもとても、難しいことなんだと思いました。

    暗闇のなかで光を待つ「彼ら」のような人たちは、確かに存在するのでしょう。
    そのことを、きちんと気づいておかなければいけないのだと思います。
    今感じているこの気持ちを、忘れないようにしたいです。

  • 凄まじい本だった


    生きるってこんなに大変なのかと
    読んでいて辛くなった


    自分まで気持ち悪くなりながらも
    読み進めてました



    もう少しラストに救いが欲しかった
    どう立ち直っていくかまで
    見届けたかったです

  • 現実にある日本社会そのままを描いているよう…。
    高校生男子2人が出会ってから33歳になるまでのこと。
    虐待、貧困、過重労働、モラハラ等々目を塞ぎたくなるような事が次々と。

    とんでもない…と思うことが、普通にある今。
    これでいいわけがない。
    息をひそめているだけではだめ。
    だが、何ができるのだろう…。
    叫びたいけど叫べない、もどかしさを感じた。

  • 読み終わってから続くこの重たい気持ち。
    この作品のテーマは、「貧困」です。
    2人の男性の物語が交互に描かれていて、自分に
    対する境遇の葛藤だったり、社会に対する疑問など、様々な問題を抱えて2人の物語は交差していきます。「生活保護」「奨学金」「育児放棄」こういった現代社会の闇になりつつある問題に真摯に闘う
    主人公たちに生き様に何度か目を背けてページを捲ることもためらいました。作中に出てきた主人公の後輩ADの森さんの言葉がとても勇気づけられたし、力をもらえたような気がします。
    ぜひ西加奈子の新境地を読んで感じてみてください。
    2022年本屋大賞ノミネート作品。

  • 西加奈子さん、5年振りの長編小説。

    正直、しんどかった。

    でもそれが、それこそが、私達がちゃんと向き合わなければならない事だと思った。
    この本が現代の苦しみをもリアルに叫んでいた。

    転がってるんだよ!
    こんなやり切れない苦しみがゴロゴロ転がった世の中に今いるんだよ!って。

    小さく息を繋いで消え入りそうな人達と、
    目を背けて通り過ぎるだけの人達。
    声をあげることも聞き入れることもできない。
    手を伸ばすことも差し出すこともできない。
    それが現状でしょ?って。

    本当に苦しくて辛い時、一体どうしたらいいか。
    シンプルだったはずのその答えを見失ってしまった今、本当に大切で重要な、生きていく為に必要なことを改めて提示してくれた、現代の救いとなる本。

    いつもどんな時も必ず「夜が明ける」ことに闇を溶かす希望を感じる。

    今読むべき、読まれるべき作品だと思う。

  • 読んでいて辛くなる。
    けれども最後まで、あきらめないで読んでよかった。
    と感じられた一冊でした。

    たった一言で、他人の人生を大きく変えることもある。それは果たしてよい意味か、悪い意味か、それはわからないが、それほどにも、言葉は重力を伴うことがある。


    『アキ・マケライネンのことをあいつに教えたのは俺だ。だから俺には、あいつの人生に責任がある。マケライネンのことを教えたということは、すなわちあいつの人生を変えたということだからだ。』

    この本の始まりの1行はこう綴る。「アキ・マケライネン」と呼ばれた深沢暁と、そう呼ぶ主人公であり、語り手である『俺』。

    まるで、目の前に生きている人間を描くように紡がれた文章は、とてもフィクションであるとは思えなかった。

    「アキ」と『俺』の人生の断片を、交互に繰り返しながら、決してうまくいかない生き方を読んでいると、本当に辛くなった。


    何度も、ページを捲る手を止めて、明るく前向きに考えようとした。しかし、いっそ時間をかけて、読み切ってしまおうと思ったら、留まることなく読み終えた。
    そして、最後は思わず泣いてしまった。


    今回も散りばめられた伏線が見事に回収されていて、もう一度読み返してみようと思える作品でした。


    タイトルの『夜が明ける』には主語が抜けている。
    果たして、それは誰の『夜が明ける』ことなのか。
    そもそも、この言葉の意味することは、なんなのだろうと、考えながら読んでみることをおすすめします。

  • まずは、カバーを外してみて欲しい。(カバーが嫌いというわけではないのですが、笑)

    美しい夜明けが広がっています。

    この作品で描かれる「夜」は、果てしなく暗澹としているのだけど。
    とても気に入ったので、持ち歩く時はカバーを外していた。

    以下、ネタバレ、やや含みます。注意。




    高校時代に出会った静かな大男に、アキ•マケライネンという、誰も知らないようなフィンランドの俳優を重ねた「俺」。
    見出す側と見出された側は、それぞれ、その思い出を抱えながら、社会に踏み出して行く。

    アキは母親から虐待と育児放棄を受け続け、逃げることを知らずに育った。
    アキ•マケライネンとして、自分をもう一つ作り上げることで、皆に慕われて、彼は生きることを知ったのかもしれない。

    「俺」は、親の借金に巻き込まれ、奨学金と仕送りに追われる日々を過ごしている。
    テレビ局で当たり前に繰り広げられるハラスメントに耐えることが、一種の能力であり。
    その理不尽に耐え切って、昇進することが勝ちを意味する世界で、少しずつ心の息を止めていく。

    「真っ当に」働く/生きるって何なんだろう?

    ふと、浮かんできた疑問だった。

    「最近自業自得だとか、自己責任だとかいう言葉をよく聞くよねって。それはもちろん、もともと適切な言葉としての機能があったのかもしれないけど、最近は、大切な現実を見ないようにするための盾になってる気がするって。だからそんな盾はいらない、みんなもっと堂々と救いを求めてって。それで、自業自得とか、自己責任とか、そんな言葉は、その人が安心して暮らせるようになって、本当に、心から安心して暮らせるようになってから、初めて考えられるんだから。初めて負える責任なんだからって。」

    印象に残った言葉。

    最近ようやく、自分の姿を自分で見て、助けて欲しいって言えるようになった気がする。
    恥ずかしいとか、迷惑をかけるとか、そんなことよりも、困っていることを素直に見つめるのは、意外に時間がかかることだった。

    だから、あ、分かるかもって思う人には、きっとこの小説は苦しいんだけど、後味もそんなに良くないんだけど、この台詞まで、物語の終わりまで、読んでみると良いのではないかと思う。

    それで、苦しすぎて読めなくなったら、カバーを外して、夜明けを見つめるだけでも良いんじゃないかなって、言いたい。

  • 現代社会に生きる二人の若者の叫び。
    貧困、虐待、差別、過重労働、ハラスメントなど。
    人の幸せを願うのは当たり前だと思って生きてきた。
    それは自分が親から愛情をもらってきたから、
    幸せになる権利があると思える環境で育ってきたから思えたこと。
    「苦しいときは、助けを求めろ」という著者の強いメッセージ。
    自業自得、自己責任。なんて正しく冷たく突き放す言葉だったんだろう。
    世の中には、食事や睡眠、安全さえ確保されない人がいる。
    親からの愛情を受けられず、頑張ることや我慢することでしか
    生きる術をを持たない人もいる。
    そんな人を突き放すのは、違う。助けるのが先だ。
    安心が得られて初めて自己責任がとれるようになるんだ。
    助け合うのが当たり前。世の中の風潮が変わるといいな。
    目の前の困っている人に手を差し出せる人間でありたい。

  • 長く続く闇のような話。この本に書かれたことは、まさに現代社会が抱える問題そのものだと思いました。

    当事者ですら自分の置かれた状況を理解していない。「自分を見失う前に、そこから脱して!!心身を壊してまでも、そこに執着する必要はないのだから。」と言いたくなりました。

    しかし、貧困から脱するためにはどうしたらいいのでしょうか?教えてほしい。

    追伸:
    読みながら、”アキ・マケライネン”をすぐにググってしまった自分は、スマホに頼った生活をしている証ですね。
    2021,12/21-25

  • マスコミの下請け製作会社でADとして働く俺と、15で出逢った深沢暁の物語。
    フィンランド映画の名バイプレイヤーの容貌に酷似している深沢をその俳優名アキ マケライネンと渾名した俺、191㎝で異形で吃音の深沢はマケライネンになりきる道を歩もうとする。

    2人の道はそれぞれに辛く悲しく重苦しいばかりで救いの無い有り様がズシリと伝わってくるのだけど読む手が止まらない!

    終盤になって2人ともに破綻しかない展開かと思いきや.....
    にしても夜が明けない事どもへの苛立ちや意気込みやもどかしさ等、終盤に作者が言いたい伝えたいことがちょっと空回りする印象を受けました。力作ですが。

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著者プロフィール

1977年、テヘラン生まれ。2004年、『あおい』でデビュー。07年、『通天閣』で織田作之助賞を、13年、『ふくわらい』で河合隼雄賞を、15年、『サラバ! 』で直木賞をそれぞれ受賞。その他の作品に『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』など多数。

「2018年 『おまじない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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