昭和質店の客

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103090175

作品紹介・あらすじ

昭和14年、満蒙開拓団員として大陸に渡り、終戦直前、「自決」命令により妻子と父に銃口を向けた柳田保男。戦地から帰らない恋人を待ち続ける六区のレヴューガール染子。23歳で応召し、ニューギニア戦線で地獄の敗走の果てに息絶えた小説家希望の矢野進。-浅草栄久町の路地裏にある「昭和質店」が出会った三人それぞれが生きた「昭和」と「戦争」。

感想・レビュー・書評

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  • 教科書に名前が載ることもなく、英雄として祭られることもなく、地獄のような日々を送り死んでいった何十万のささやかな生活が、あの戦争の起こる前には確かにそこにあったのだ。吐き気がするほど戦争というのはむごいものだ、読みながら何度胸を押さえたことか…

  •  満蒙開拓農民27万、うち8万人が戦死、自決、引き揚げ中に病死、飢餓死、凍死。ニューギニア戦線では日本軍20万の将兵のうち18万人が栄養失調、マラリヤで死亡。寝たまま小便をする者は3日間、物言わなくなった者は2日間、瞬きしなくなった者は明日(寿命)。佐江衆一「昭和質店の家」、2010.7発行。昭和質店に関わる人たちの戦争体験を綴った作品。

  • 戦争の悲惨。

  • 昭和2年の正月、関東大震災からの復興著しい浅草に、新しい年号を名前に戴いた質店が開業した。賑やかな浅草六区に近いその店は、周囲の喧騒にあおられるかのように繁盛していた。この小説は、縁あってこの店に集った人々の第二次大戦前の平和な姿と、誰もは否応なくまきこまれたあの戦争と戦後の痛ましい姿が克明に描かれている。あまりの悲惨さに沈黙を守るしかなかった人々を代弁するかのように、佐江さんは目をそむけたくなるような事実を言葉にして書き連ねる。戦後美化されすぎた思い出を、徹底的な調査の上で事実に即して描く決意は、戦前生まれの著者の死者たちへの鎮魂歌なのだろう。

  • 昭和14年、満蒙開拓団員として大陸に渡り、終戦直前、「自決」命令により妻子と父に銃口を向けた柳田保男。戦地から帰らない恋人を待ち続ける六区のレヴューガール染子。23歳で応召し、ニューギニア戦線で地獄の敗走の果てに息絶えた小説家希望の矢野進。—浅草栄久町の路地裏にある「昭和質店」が出会った三人それぞれが生きた「昭和」と「戦争」。

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