- Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103096337
作品紹介・あらすじ
長くイスラム教徒の支配下にあった聖都イェルサレム。一〇九五年、その奪還をローマ法王率いるカトリック教会が呼びかける。「神がそれを望んでおられる」のスローガンのもとに結集したのはキリスト教国の七人の領主たち。ここに第一次十字軍が成立した。さまざまな思惑を抱えた彼らは、時に対立し、時に協力し合いながら成長し、難事を乗り越えていく。ビザンチン帝国皇帝との確執、小アジア横断、大都市アンティオキアを巡る攻防…。そしてイェルサレムを目指す第一次十字軍の戦いはいかなる結末を見たのか-。
感想・レビュー・書評
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ヨーロッパの十字軍がいかにイスラエルを攻め込み占領していったかがよく分かる。そこにはキリスト教とイスラム教の争いもある。英雄ゴドフロアの死もある。ビザンティン帝国、カノッサの屈辱、神聖ローマ帝国、コンスタンティノープル、ボードワン、アンティオキア、サンジル、タンクレディ、ボエモンド、カイロのシーア派等塩野さんの歴史を伝えるところがよく分かった。
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高校のとき、受験科目で世界史を選択した。
そして、大学受験の時に中世の問題が出ていた、と思う。(はっきりしないけど)
でも、本当の意味で正直、興味はなかった。
父からこの本を薦められて、なんとなく読み始めた。
読み始めたら、、、やはりこういう「物語」が必要なんだ、と。
十字軍、と聞くと宗教戦争と思いきや、イスラム側は当初そんな風に考えていなかったり、また領土争いがあったり。
知識以上のものを理解することが、知識を獲得することなんだな、と思いました。 -
ただの通史ではなく、そこに生きた人々の心情まで描写する塩野七生さんの作品には歴史への愛情をいつも感じます。
ローマ人の物語
海の都の物語
と並ぶヨーロッパ史3部作ですね。 -
塩野七生久々のシリーズもの。エルサレム陥落後、歴代王が少数精鋭で城塞を守るあたりが読みどころ。
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教科書的な知識しかなかった十字軍が生き生きと活写されています。一気読みしてしまう面白さ♪さすが塩野作品です。「海の都の物語」「ローマ亡き後の地中海世界」にも十字軍は断片的に出てきますが、本作はスケールが違う。武将の顔、兵士の息遣いが感じられる作品です。次作が楽しみ♪
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ローマ人の物語に比べると落ちますが、それでも十分に面白い。「海の都の物語」とか「ローマ人の物語」は登場人物に共感できるけど、十字軍戦士には何一つ共感できないのが入り込めない原因かな。ニクソンの銅像を立てる人がいないのと同じこと。
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世界史で習っても「名前だけ知ってる」という感じの「十字軍」とは、こんな出来事だったのか、という話。塩野さん独特の叙事形式なので、「歴史小説」というよりも「歴史書」という書き口なのだけれど、「壮大な歴史の物語を読んだ」という読後感。当時のヨーロッパやイスラム世界の歴史的背景も適宜説明が入れてあるので、特に事前知識がなくても読める。続きも楽しみ。
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第1回十字軍の顛末
その起りから、十字軍国家建設まで -
心打たれる。本当に必要なことだったかどうかの判断は無宗教には分からないことだけれど、世の中を変えるには行動である!の典型的な好例。信念に向かって行動する。しかも、皇帝でも法王でもない諸侯が人生を投げ出して聖都奪還している。世の中を変える力には意味がある。でも、それは終わってからわかるものということが身に染みる。