ギンイロノウタ

著者 :
  • 新潮社
2.91
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本棚登録 : 290
レビュー : 65
  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103100713

作品紹介・あらすじ

私となんの関係もないあなたを、私は殺したい。ブログで、書評で、注目度No.1の新鋭、最新作品集。

感想・レビュー・書評

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  • 村田さん2冊目。これは…感想書きにくい本ですね。。。どちらもホラーかと思ったよー。そしてホラーよりも怖かったよー。


    歪んでいる、痛々しい。「ひかりのあしおと」の方が救いがあったような気がする。愛菜ちゃんへの愛情は本来は誉にむけられるべきものなのに、母である愛菜があんな状態じゃあね…。蛍の存在が救いに近いような気がして少しだけホッとした。けどたぶん…蛍や恋人に母の愛を求め続けるんだろうな。苦しい。


    「ギンイロノウタ」は歪んでいて狂気の世界だった。愛情欠如と家庭の歪みと、10代の不安定。危う過ぎてグロさも入り混じり哀しみがいっぱい詰まっている話だった。



    こういう話をこの年齢で書けるなんて病んでいるのか、引きづっているのか、狙っているのか、10代その当時の暗黒ノートが手元に残っているのか…そういうことばかり気になってしまう。(余談…私は暗黒ノートは20代で全部燃やした!呪いのポエムも30代でやっと捨てた!←この時とてつもなくスッキリした。母とのしがらみもこの時期を境に軽くなった。)



    「しろいろの街の その骨の体温の」も気持ちのいい話ではなかったけど、この作品はつらいというか、切ないというか、同情でもなく…。「可哀相」とか「哀れ」だとさえ感じた。同性にそう感じられるのって…救いがないかもしれない。



    でも私も有里だった時期もあるし、アカオさんだった時期もあるから、気持ちわかる自分も存在するという事実…。



    何冊か読みたいと思うけど読み時を間違えるとつらいかもしれない。帯には『恐ろしい。村田沙耶花はホンモノだ』と書かれていたけど、…恐ろしい90%でした。(「ギンイロノウタ」は特に…出版していいの?色々なのに影響与えてない?とさえ思った。)



    並行して「きりこについて」も読んでいるけど、少しかぶる部分があったり。「きりこ」が、とても明るく感じる。

  • 表題と「ひかりのあしおと」の二編。
    アカオさんという表現には心底びっくりした。これ以上のぴったりな表現ってないと思う。覚えがあるだけに怖い。
    どちらの話も最後までニコリとも出来ない話だが、私にとってはこの本、変な母親によって育てられた子の行く末…みたいな気がして気が気じゃなかった。やがて母と娘の立場が逆転する。我が身を化け物と位置づけながら…。寝付くのにとても時間がかかった一冊。

  • 久しぶりに読み進めるのが辛い本だった。
    でも、読み進めなきゃならない気持ちにさせられる。
    ちょっと怖いぐらい。

    短編二つとも、「何か」に怯えそこから狂気に向かう少女が主人公。

    最後には救われたように描かれているけれど、私にはとてもそうは思えなかった…
    でも、別の作品も読んでみたい。

  • 「ひかりのあしおと」「ギンイロノウタ」の二話。どちらも世界からはじき出されてしまっている女の子が主人公で、この女の子たちが生きるために自分をゆがませていく過程が凄まじい。

    特に「ギンイロノウタ」は小さな声で始まった禍々しい祈りがエンディングに向かって何もかもを覆い尽くしていくような迫力があり、出色の出来だと思う。ちょっと急いで書いてますねっていう箇所がなくもないのだけれど、こってり描写されたら耐えられなくて読み続けられなさそうだから、この分量で助かったような感じもある。

    「ひかりおのあしおと」の自意識ゼロ系男子の蛍は、読み終わってみるとほとんど聖人みたいな存在だった。聖人に体を張ってもらえなければ終了だった女の子の話。なんでこんな辛い話を書くんだろうなあ。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「なんでこんな辛い話を書くんだろうなあ。」
      表紙のインパクトに惹かれているのですが、、、最近辛い話は敬遠気味。
      逃げずに何かを掴んで欲しいと...
      「なんでこんな辛い話を書くんだろうなあ。」
      表紙のインパクトに惹かれているのですが、、、最近辛い話は敬遠気味。
      逃げずに何かを掴んで欲しいと思われている感じなのでしょうか?
      2012/09/18
    • なつめさん
      nyancomaruさん
      ポジティブな要素は全然なくて、日にあたれない植物がどんどんねじれていくようなお話です。元気づけられるような本ではな...
      nyancomaruさん
      ポジティブな要素は全然なくて、日にあたれない植物がどんどんねじれていくようなお話です。元気づけられるような本ではないように思います。
      2012/09/18
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「日にあたれない植物が」
      うーーん。パス。。。
      「日にあたれない植物が」
      うーーん。パス。。。
      2012/09/20
  • 「ひかりのあしおと」神経症的な、『世にも奇妙な物語』的な話。自分を襲おうとする光の人影のきっかけがただの悪戯だった事が判明した後もそれから逃れられず、光の人影という怪物を造り出したのは自分自身だと思っていたら、実は光の人影は自分を救おうとしていて、怪物は自分自身だったというどんでん返し。
    「ギンイロノウタ」関心を持たれず、何も出来ない駄目な子供と貶められ、萎縮して育った主人公の生き延びていこうとするもがき、って感じで読んでたんだけど、“私が選ばれた人間だからだ”と何かに目覚めたみたいな展開はよく分からず。
    『タダイマトビラ』と立て続けに読んでいて、三編の主人公は何れも家庭環境に問題があって、ともすればそこに帰着してしまうようにも見えるのだけれど、或いは上手く作動せず、統御できず、不具合を抱える「自分」というシステムへの異和感、異物感というようなものに彼女達は苦しみもがいているようにも感じられる。

  • 自己保身にまみれた親、大人、人間社会からの疎外、虐待。「ひかりのあしおと」「ギンイロノウタ」の2編とも壮絶な物語だ。

    そこには自我の問題、自分と何か?という問題が密接に絡んでいる。純粋な自我ではこの世は生きられないのだ。いわゆる普通に生きるということが難しい人にとって、「適応」はとてつもない「もがき」が必要とされる。もがいても報われるとは限らない。しかし、避けては通れない。

    物語では、最後にどちらも「扉」は開かれる。その先は、茨の道かもしれないけれど。

  • いつか、読んでみたいとずっと気になっていた村田沙耶香さん。
    なかなか過激な設定のものが多いというのは聞いていました。だから、恐る恐る手に取り、読んでみました。

    ちょうど体調を崩していたときだったからでしょうか。
    読み終わった後に心臓がばくばくして、恐ろしい世界に引き釣り込まれていくようでした。
    これは、心身が弱っているときに読んではいけないやつだ。

    「ひかりのあしおと」と「ギンイロノウタ」の2編が読めます。
    どちらも喋ることが、自己表現が、苦手な女の子が主人公。
    そんな彼女らに世界は優しくなく、彼女たちから見た世界は目眩がするほど生々しく、読んでいるだけで気持ちが悪くなってきさえする。

    食事の一節だけでも気持ちが悪くなってしまえる自分がいた。
    「虫の卵を大量に茹でたような白米、水彩絵の具を塗りつけたサランラップのような大量のレタス、古い機械油みたいなドレッシング」…
    終始こんな調子で、描かれる世界にくらくらと酔ってしまう。小説は小説に過ぎないとはいえ、著者がこんな感性を持ちながら今まで生きてこれたのだとしたら、ものすごいことだ、と思ってしまうくらい、読んでてしんどくなってしまった。

    では、もう著者の本なんて読まない!とか、著者とは合わない!と思ったかというと、それは違う。
    体調のいい日にまたいつかリベンジしよう。
    自分の目では絶対に触れることのない世界に触れる、強烈な体験でした。

  • +++
    私となんの関係もないあなたを、私は殺したい。ブログで、書評で、注目度No.1の新鋭、最新作品集。
    +++
    表題作のほか、「ひかりのあしおと」
    +++

    初読みの作家さんである。好みが分かれるという評判は聞いていたけれど、さもありなんという感じ。思春期の、自分で自分を制御しきれず、自分の躰の中で何かが暴れ出して、皮膚を突き破って出てきそうな焦燥感とか歯がゆさとか、いらだちなどが、とても適切に描かれていて、この年齢で読むから訳が分かるけれど、思春期ど真ん中の人たちが読んだらどんな感想を抱くのか、気になるところでもある。大人との関係や、自分の存在そのものに対する懐疑。程度の差こそあれ誰しも通ってくる道である。大多数は、なんでもないことのような外側をしてやり過ごすのだろうが、それができない不器用さで真正面から立ち向かう姿は痛ましくも逞しい。人の成長っていろいろ大変なのだと改めて思わされる一冊でもある。

  • 【ひかりのあしおと】
    『二人力をあわせて白濁液を出すのが私達に課せられている義務であり、いかに最小限の労力でそれを成すか、という一致した目的のもと、私達はお互いにベストを尽くしているのでした。』

    『少し早まったところで、レンアイが使い捨ての救命胴衣であることには変わりはありません。』

    『恋人同士という誓約を交わしているかぎり、あの人の湿った粘膜を舐め、ねじこまれ、摩擦される、一通りの義務を課せられるのは私なのに、他人からとやかく言われる筋合いはないはずです。』

    『別れを切り出すほうが勝利したように言う人がいますが、私はそうは思いません。別れを切り出すほうは敗北者です。要するに、失敗したということなのですから。』

    『私はだんだんと面倒になってきていました。これもいつものことです。始めるのはあれほど容易いのに、終了するのはどうしてこんなに煩わしいのでしょうか。』

    『口に入れるものが美味しいということが、いま、自分が正しい場所にいる証明である気がします。』

    【ギンイロノウタ】
    『こんな小学生の男子さえ覗きをはたらくほど「女の身体」というのは価値がある物体なんだと思うと、誇りと驕りがからみあって下半身から這い上がってきた。』

    『価値が低いなら私は安さで勝負するしかない。
    私は誰よりも私を安く売るんだ。そして誰よりも喜ばれて見せるんだ。』

    『私には小さな柔らかい穴があいている。とりえのない私は、二分の一の確率でたまたま自分についていた、その穴の商品価値に、浅ましくすがりつくしかない。ずっとそう思っていた。でも、私を失敗してしまったのだ。穴の付属品としてすら、私は出来損ないだったのだ。』

    『青い天井にこんなにしっかりと塞がれているのに、なぜここを「外」と呼ぶのか、私には理解できなかった。天井は少しずつ淡い水色になっていき、また少しずつ藍色へ変化する。その、事務的な点滅一回分。私にとって、一日というのはそれだけのできごとだった。』

    『天井は今、何色だろうか。早く藍色になればいい。』

    『6月10日
    バットで後ろから殴って、意識をなくさせてからだったら、きっと大丈夫。』

    『私は改めて思った。やはりこの感覚は私だけのものだ。誰もが理解不能の化け物だと私を罵るだろう。そのことを誇らしく思った。』

  • とても独自な世界が広がっていた。
    草間彌生さんの自伝を読んだ時のような
    精神世界。

    作家さんはどんな生い立ちだったのか
    気になっちゃうくらいの本。

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著者プロフィール

村田沙耶香(むらた さやか)
1979年、千葉県印西市生まれ。二松學舍大学附属柏高等学校、玉川大学文学部芸術学科芸術文化コース卒業。
2003年『授乳』で第46回群像新人文学賞優秀賞を受賞しデビュー作となる。2009年『ギンイロノウタ』で第22回三島由紀夫賞候補及び、第31回野間文芸新人賞受賞。2010年『星が吸う水』で第23回三島由紀夫賞候補。2012年『タダイマトビラ』で第25回三島由紀夫賞候補。2013年、しろいろの街の、その骨の体温の』で第26回三島由紀夫賞受賞。2014年『殺人出産』で第14回センス・オブ・ジェンダー賞少子化対策特別賞受賞。2016年『コンビニ人間』で第155回芥川龍之介賞受賞。
2018年8月末、『地球星人』を刊行。

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