そうか、もう君はいないのか

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103108177

作品紹介・あらすじ

五十億の中でただ一人「おい」と呼べる妻へ-愛惜の回想記。新発見遺稿。

感想・レビュー・書評

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  • 城山三郎先生の著書を読んだこともなく
    先生の人物像も知らずに読みたいと思ったこの作品。
    タイトルにとても惹かれました。

    この作品は先生から奥様への長い長いラブレター…
    こんなにも愛し愛される相手と巡り逢えた
    おふたりは本当に幸せな人生だったと思う。
    出会いから別れまで、お酒を飲みながら惚気話を聞かされているような、呆れるやら羨ましいやら…
    読んでいて自分と旦那様の事をつい考えました笑

    この作品の終わりに、奥様を亡くされた後の先生が亡くなるまでの日々を娘さんが書かれてます。

    「ママの事を書いてくれって言われているんだけれど、困っちゃうよ」と娘さんにこぼす先生。
    亡くなってすぐにこんな依頼がくるって…作家であれば致し方ないとは思うけれどね(*_*)
    半身を失ったまま7年経った時に
    「ママがね、夢に出てきて『私のことを書いてくださるの?』って言うんだよ」と

    先生と娘さんの7年間には思わずウルっとなりました。゚(゚´Д`゚)゚。
    まるで自分と年老いた父親の今後かな?

    昔は星一徹のようにちゃぶ台をひっくり返し、貧乏なのに見栄っ張りで、ほんと嫌い!って思った時期もありました。
    それがまさか今は外出して手を繋いで歩くなんて笑
    悲しいくらい小さくなった父親を見ると泣きそうになる今日この頃です。

    この歳になって読めて良かった。
    今じゃなきゃ間に合わない事がいっぱいだ(u_u)




    • 1Q84O1さん
      (゚∀゚)アハハハハ!
      じゃあ、ホラーでw
      (゚∀゚)アハハハハ!
      じゃあ、ホラーでw
      2023/03/28
    • こっとんさん
      みんみんさん、こちらでもこんにちは♪

      昔は星一徹のよう
      今は悲しいくらい小さくなった
      今じゃなきゃ間に合わないことがいっぱい

      ホント!み...
      みんみんさん、こちらでもこんにちは♪

      昔は星一徹のよう
      今は悲しいくらい小さくなった
      今じゃなきゃ間に合わないことがいっぱい

      ホント!みんみんさんのレビュー読んでるだけで泣けてくるー
      もう200%同じで分かりすぎてガンガン頷きました!
      2023/03/28
    • ゆーき本さん
      奥様との日々が1冊の本になるなんて、どれだけ奥様のことを愛していたんでしょう。
      私たち夫婦だったら 1枚の便箋で足りちゃいそう。
      そもそも人...
      奥様との日々が1冊の本になるなんて、どれだけ奥様のことを愛していたんでしょう。
      私たち夫婦だったら 1枚の便箋で足りちゃいそう。
      そもそも人様に読んでもらうような物語もないですけど(*'ヮ'*)
      でもちゃんと感謝は伝えたいです。伝えられてるかなぁ?

      お父さんと手を繋ぐみんみんさん( ᵕ̩̩ ᵕ )
      生きてるうちに親孝行しないとなぁ。
      2023/03/29
  • 講演会、壇上で緊張した城山氏の目に飛び込んできたのは、二階席最前列に座った妻 容子さんの姿。
    目と目が合った瞬間、「シェー!」のポーズを取る容子さん。

    出会いを振り返り「間違って、天から妖精が落ちて来た感じ」。天使かと思ったほど、その眩しい印象を忘れられず…一度は仲を引き裂かれたものの、2人は運命の再会をする。

    城山氏の中の容子さんはいつまでも無邪気で天真爛漫な少女のようで…長年連れ添った妻のことを臆面もなく「妖精」「天使」と書いてしまえるのは、素敵なことだなぁ。ベタ惚れなんだなぁ。

    それだけに容子さんが病に冒されてからの辛さ、寂しさ、彼女の死を受け入れまいとする子供っぽささえもせつない。

  • 城山三郎さんの作品はまだ一冊も読んだことがない
    お名前だけは存じ上げているのだが

    ブク友さんのレビューとタイトルに惹かれ、読んだ

    まず、装丁。真っ白な背景に椅子が一脚とタイトル
    城山さんの悲しみと寂しさがひしひしと迫ってくる

    二人の運命的な出会い、偶然ともいえるがたった3分でも時間がずれていたら出会うことはなかったのだから
    やはり運命的な出会いというのだろう

    明るい赤のワンピースを着た娘。間違って天から容積が落ちて来たと表される容子さんとの出会い
    何と素敵な表現、きっと身体中に電気がビビッと走ったのだろう

    そして妖精と表現するにぴったりの何と明るくてお茶目で魅力的な女性なのだろうと私自身が容子さんのファンになってしまった
    茶目っ気たっぷりのイタズラともいえる容子さんのふるまいに翻弄されつつも苦笑するしかない城山さんもかわいい

    奥様を心底愛おしく思っておられたことが、文章の端々から伝わってくる

    それだからこそ余計に奥様を亡くされた後、奥様と過ごされた終の住処には帰れず仕事場を住居とされた城山さんが痛々しい

    「母が桜を待たずに逝ってから、父は半身を削がれたまま生きていた。現実の母と別れ、永遠の母と生きてゆく、自分の心の中だけで。この直後から父は現実を遠ざけるようになった」
    と次女の井上紀子さんは、書かれている

    奥様を亡くされてから7年後に城山さんは奥様の元に旅立たれた
    お辛い7年間だったことだろう

    こんな深い絆で結ばれた夫婦とは言えないが、夫よりは
    一日でも長生きして、夫を看取ってから死なねばと思った


  • 作品中、城山三郎が妻のことを書いた詩が二篇、おさめられている。これを読むと、何とも言えない気持ちになる。城山三郎は、妻のことを、とても愛していたのだな、ということがよく分かる。私自身、妻を癌で亡くすという、同じ経験をしていて、身につまされながら読んだ。

  • 図書館前の偶然の出会いから
    お二人の運命を感じられた

    終わりに次女の方が
    父が遺してくれたもの「最後の黄金の日日」
    に書かれているように堅い深い絆で結ばれていた二人
    そして子孝行な旅立ち

    ご夫婦が寄り添って笑顔の写真に感嘆した






  • 著者が亡くなってからの刊行と知り、本著の率直さがなんだか腑に落ちた。これまでも伴侶に先立たれた方の作品をいくつか読んできたものの(江藤淳『妻と私』、津村節子『紅梅』、川本三郎『いまも、君を想う』等)、奥様が告知を受けた日の城山さんがとりわけ心に残った。(読後に児玉清さんの本作の書評を読んだところ、自分とまったく同じところで「たまらず嗚咽した」とあり、不思議に嬉しかった。)死に別れることは当然辛いことであるけれど、このような夫婦として人生を送れたことは幸福なことではないか。娘さんのあとがきにも、父親である城山さんと母親容子さんへの深い愛情が溢れていた。

  • 著者本人が、最愛の伴侶容子と出会って、お別れするまでのお話。これは実話なのでしょう。

    読みやすい文章で淡々と話が進む。

    容子を、「天使」「妖精」と表現する溺愛ぶり。容子は意外にさっぱりとしているが、取材のため世界中を旅する夫に「行く行く」とついて行ったり、夫の急な決断も全て受け入れたりといい感じ。

    「容子がいなくなってしまった状態に、私はうまく慣れることができない。ふと、容子に話しかけようとして、我に返り、「そうか、もう君はいないのか」と、なおも容子に話しかけようとする。」


    最後、その後の父親を描いた娘のあとがきを読んで、なんと幸せな夫婦なのかと涙が溢れる。
    素敵な夫婦であり、素敵な両親。

    本の裏表紙の描かれた、絵文字に見えたロシア文字の意味も愛おしい。

    こんな人生の終わり方がいいなぁ。

  • 児玉清さんの本で紹介されていたので、読んでみました。
    明るく屈託のない奥様をとても大事に頼りにされていたご様子、お亡くなりになった経緯に胸が痛みました。
    ふとした時に話しかけようとして、永遠の不在を知る。そんな思いは誰にもあるかもしれません。悲しいけれど、そうやって亡き人を思う時があるって幸せなことだとも思うのです。

  • ふと、容子に話しかけようとして、われに返り、「そうか、もう君はいないのか」と、なおも容子に話しかけようとする。


    城山さんの自伝、か。
    妻の容子さんとの出会い、そして死。
    ひとり残された城山さんの生き方が描かれている。

    正直タイトルでグっときて借りて読んだんだけど、
    正直に言うと泣いた。やっぱり電車じゃなければ涙流してた。
    もっと言えば通勤中っていうね。お前今から仕事やんって!

    人を愛するっていうのは、好きだとか愛してるとか言葉で伝えることじゃない。
    ただ、私はあなたが必要なんです大切なんですって伝わるようにすることなんだよな。
    すごく羨ましい。たった一度の人生で、読み手にこれほど幸せだった半生を送ってきたこと、
    これほどまでに愛せるたった一人のひとと出会えたこと。
    そしてそれを文字で伝えられること。羨ましい感情以外になにがあろうか。

    だから、注ぐ対象がいなくなった時、ひとはぬけがらのようになるのだろう。

  • 図書館で読んでいたのに
    号泣、、、。

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著者プロフィール

1927年、名古屋市生まれ。海軍特別幹部練習生として終戦を迎える。57年『輸出』で文學界新人賞、59年『総会屋錦城』で直木賞を受賞。日本における経済小説の先駆者といわれる。『落日燃ゆ』『官僚たちの夏』『小説日本銀行』など著書多数。2007年永眠。

「2021年 『辛酸 田中正造と足尾鉱毒事件 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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