夜の光

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103120513

作品紹介・あらすじ

慰めなんかいらない。癒されなくていい。欲しいのは、星の距離感。これは天文部に集うスパイたちが、最前線で繰り広げた戦闘の記録。

感想・レビュー・書評

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  • 高校三年生天文部の、ジョー、ゲージ、ギィ、ブッチ。
    同じクラスにいても絶対友だちにはならないであろうキャラの男子二人、女子二人。
    それぞれに抱えたものがある四人は自分たちを“スパイ“と呼び、人知れず戦いながら日々を生き抜く。
    こんな風に書くとハードボイルドなの?って感じだけど、軽いタッチで物語は進んでいきます。
    四人の距離感がとてもいい!
    スパイだから任務は一人で遂行。群れることはない。だけど、根っこのところで繋がっている。
    「何かを手に入れたければ、一人で動くこと。これはスパイの基本でもある」
    「皆の食のセンスに驚いた。一人だったら知らなかったことや、わからなかったことが山のようにある。きっとこれからもそうだろう」
    一人でいること、仲間がいること、どちらの大切さも描かれています。
    四人それぞれが仲間の長所を認め、尊敬している。だけど仲間が抱えているであろうことに気付いても深入りしない。
    高校を卒業しても、たまには顔を合わせる。だけど、約束は交わさない。また一人で任務を遂行するために戦場に戻る。

    とても爽やかな読後感でした。

  • 小説新潮2008年3月号から6月号連載の4編に書下ろしの1編を加えた連作5編。天文クラブ所属の高校3年生4人の生活推理もの。4人の登場人物が素晴らしく素敵で心惹かれます。推理にも工夫があって楽しめました。絶妙な会話でシリアスな話が湿っぽくならないのが心地良いです。続きが読みたいですが、難しいんでしょうね。

  • 天文部に入った4人の高校生。彼らは一人一人が悩みを抱えて生きているが決して他人に頼らない。その中で仲間との繋がりが心の支えになっていく。スパイと称し夜の活動をする彼らの青春ストーリー。
    読みやすかった。

  • 坂木司さんのライトミステリー。

    ジョー、ギィ、ブッチ、ゲージの4人は天文部の仲間。
    彼らは自分たちのことをスパイと呼ぶ。
    着かず離れず、心地よい距離感を保ちつつ、深い部分でつながっている4人。
    それぞれに悩みを抱える彼ら。
    でも、決して逃げない。
    その悩みを自分に課せられたミッションだと思い、自分の足で歩こうとする。

    坂木さん自身、あとがきのような献辞で書かれています。
    「星のようにあってほしい人がいます。常に変わらず輝き、不安になったり迷ったとき、見上げればただそこにいる。近づくことはないけれど、遠ざかることも決してない。
    求めるのは、星の距離感。」

    星の距離感で結ばれた仲間がいるって幸せなことだと思う。
    すぐ隣にはいなくても、「いる」という事実だけで力が湧いてくる。
    そして、仲間の放つ小さな星の光は道しるべ。
    道に迷うことなく歩いて行けるだろう・・・

    坂木司さん、好きだなぁ・・・

  • 自分が親になったからか、登場する高校生たちの親への絶望や拒絶感がいたたまれなく感じられてしまう。

    ほのぼのあたたかい作品の多い坂木司さんにしては、ヒリヒリするような痛みをともなっためずらしい作品。

    でも!がんばれ、スパイのみんな!新しい世界に一歩踏み出せば、今まで真っ暗だと思ってた世界も、やさしい気持ちで振り返れるようになるよ!

  • 面白くしようとしての構成だと思うが、その部分が私には読みにくかった。

  • 天文学部に所属する4人の高校生が主人公の物語。
    彼らの正体はスパイであり、日常に潜む小さな謎を解き明かしていく。
    章ごとに各スパイの視点から描いたストーリーが展開され、その人物が持つ背景や感情を垣間見ることができる。
    著者代表作の「ひきこもり探偵シリーズ」三部作に匹敵する良作。

  • 借りて読んでたはずなのに、けっこうおもしろかったはずなのに、すっかり忘れてた。
    歳だわ、歳。やっぱりメモも大事だ。
    なぜ忘れてたか考察。というか、一応坂木作品ということで集中的に読んでた中にあったこと。
    今回読もうと思ったのは、部活関連というキーワードでひっかかったから。
    中でも部活も天文部って、ほら、最近ちょっと流行な宙まにのイメージがあったので、それとの差が大きすぎた。違うだけで悪くはないけど。
    ということで、「天文」の話ではないんですよね。夜の光なのは正しい、メーン。

  • 坂木司らしい、日常ミステリーを織り込みつつ、高校生たちの葛藤や人生が描かれている。

    誰しも、生きるとはこうゆう事だと思う。戦う場があって、でも戦いを隠して生きてる。
    そんな中で、ずっと一緒にいなくても、根っこでつながり合える関係って素晴らしい。

  • 天文部に所属する、それぞれに悩みを抱えた4人の高校生の物語。学校やバイト先などで起こる不思議な出来事を通して絆を深めていく。

    天文部に入った理由が、4人とも「星が好きだから」ではなく、他のことと両立しやすいからとか、先輩後輩の上下関係が緩いからとかなので、熱血部活ストーリーではなく、マイペースな4人の微妙な距離感がとてもよかった。

    それぞれの悩み事も、直接相談し合うわけじゃないけど、部活動の中の何気ないやり取りから、お互いに前向きになる勇気をもらっていて(解決するわけではない)、「居場所」があるっていいな、と思った。

    最後の章にあった言葉
    「誰かを特別にするのは、その人を特別だと思う人の存在。ならば私たちは、きっとものすごく特別な存在だ。」
    自分は誰かの「特別」になれているかな。
    自分が「特別」だと思っている人たちの顔を思い浮かべながら、そんなことを考えた。

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著者プロフィール

一九六九年、東京都生まれ。二〇〇二年『青空の卵』で〈覆面作家〉としてデビュー。一三年『和菓子のアン』で第二回静岡書店大賞・映像化したい文庫部門大賞を受賞。主な著書に『ワーキング・ホリデー』『ホテルジューシー』『大きな音が聞こえるか』『肉小説集』『鶏小説集』『女子的生活』など。

「2022年 『おいしい旅 初めて編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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