草祭

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 166
  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103130413

感想・レビュー・書評

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  • 美奥という街を舞台にした連作。
    やっぱホラーテイスト好き。

    「けものはら」
    用水路の縁を通り抜けた先にある不思議な広場は,生き物を別のものへと転生させてしまう呪いの場所。迷い込んだ少年とその友達の話。

    「屋根猩猩」
    屋根に飾られている像「猩猩」に選ばれた人間は,その街の守護者としてつとめることになる。その守護者をつとめる謎の少年と,うんざりするような学校でのごたごたに身をおく少女の話。

    「くさのゆめがたり」
    昔話。けものはらの呪いを生み出す原因となった少年の話。

    「天化の宿」
    クトキ(苦解き)のための湯治場のような隠れ宿の話。居づらい家から逃げ出してきた少女がクトキのためにカードゲームのような儀式に挑む。


    「朝の朧町」
    自分の作り上げた空想上の街を持つ男性の話。訪れる人の思いによって変化する不思議な街。

  • 美奥という土地を舞台にした短編集。
    それぞれの話がどこかしらで繋がっているので、短編だけど、長編のようにも感じました。
    相変わらずの恒川ワールドに引き込まれます。怖い、けど美しくて目が離せない。

  • 団地の奥から用水路をたどると、そこは見たこともない野原だった。「美奥」の町のどこかでは、異界への扉がひっそりと開く…「けものはら」「屋根猩猩」「くさのゆめがたり」「天化の宿」「朝の朧町」収録。

    美しい山奥、「美奥」という土地を舞台にした連作短編集。死と再生。「夜市」的などこか懐かしくそして悲しく美しい世界観。一作ずつでも面白いのですが、全てを読むと美奥のはじまり、流れが浮かびあがって深みが増します。

    時代系列は異なるのですが全てが繋がっていて、クトキ(苦解き)の「天下」の描写が見事でやってみたいなぁ…!と思ってしまう…町のどこかにそういう不思議な場所が隠れているんじゃないかな…と思わせてくれます。

  • 美しい山奥…「美奥」と呼ばれる土地で次々に起こる不思議な現象。
    そこかしこで暗闇が息を潜めて囁き合う。
    昔からその土地にだけ残る言い伝えや、ふと感じる不思議な気配。
    そして時々出現する太鼓腹のおじさん…。
    気付かずに済む者もいるのに、偶然なのか必然なのか気付いてしまった彼ら…。
    ゾクゾクする連続短編集。
    全てを読み終えて感じる、太古から繋がる不思議な縁。
    こうやって「村」は出来ているんだな…。

    ちょっと怖い短編の中でも地域の守り神が出てきて酒盛りを始める「屋根猩猩」とクトキのために対局する「天化の宿」はとても好きな話。
    「仲良しのお酒」は呑んでみたい。

    気付いていないだけで、私の住んでいる土地にも似たような現象があるのかもしれない、とちょっとゾワゾワしてしまう物語だった。

  • 美奥という土地を舞台にした短編集。登場人物がリンクしているものもあり、そして大好きな恒川さん独特の叙情的な、寂寥感のある世界観。
    けものはら、屋根猩猩、が好きだなあ!
    恒川さんの作品を読みたい気持ちは強いのだけれど、読む本がなくなってしまうのが嫌で、少しずつ読んでいます。次は「南の子供が夜いくところ」を読もうと思います。

  • 「美奥」という地域に場所を限定し、オムニバス形式で
    そこに暮らす色んな人々の視点から物語が広がりを見せる。

    ある話ではチラッとしか名前が出てなかった人が、別の話では
    主人公になっていたり、とある話では相当な重要人物・キーパーソンで
    あったりするのに、また別の話ではほんの通行人Aのようにしか
    主人公が見ていないのも面白いです。

    読み進めていくうちに出会う、美奥で起こる不思議な現象……
    そしてその根本となった古えの出来事までが紐解かれ……
    一篇ずつでも大変面白く読めるし、全体を読み終えた時は、
    自分の中で「美奥」が実際にどこかに存在するような、立体感を
    持った世界として感じられる作品です。

    面白いといっても、ワクワクどきどきではありません。
    フラットな愛惜を感じさせる話です。
    幻想的で朧げな美しさがこの作家さんの魅力だと思います。

  • すごく良かった!

    「屋根猩猩」は、あまりにも入り込みすぎて、
    障子戸を開ける音まで聞こえたような気がしたし、
    「天化の宿」で出てくるクトキの「天化」のゲームは
    自分が盤を回しているように胸躍った。

    見たこともない異界のおはなしなのに、
    どうして、こんなに懐かしい風景なんだろう…
    ふしぎ。

  • 「夜市」「雷の季節の終わりに」「秋の牢獄」に続く、第四作品。

    今までで一番好きな世界観。
    一回読んでみてから、また読み返すとたくさんの発見がある。
    世界がクロスワードパズルのように、繋がっていて、不思議な世界。

    この作家さんの作品はどうして、読んでいると映像が脳内で再生されてしまうのだろう…。

    この作品は続編や外伝みたいなのがあってもいいのでは…(個人的には作ってほしいです。)

    恒川さんの本をデビューから、ずっと読み続けていて良かったなーと思いました。納得のいく内容だな、と思います。

  • 恒川光太郎4冊目の単行本。「美奥」という町を舞台にした5編の小説からなる構成となっている。「くさのゆめがたり」と「天化の宿」がすばらしい。ちなみに封建時代を舞台にした「くさゆめがたり」では初めて(第一作から順に読んできたのだが多分)性的なこと、暴力についてのある程度の具体的描写がある。とはいっても相当に控えめなものだが。
    そして「天化の宿」。傑作ではないだろうか。そこで描かれるゲーム「天化」の描写は目がくらむようにまばゆく鮮やかな表現である。恒川の文章世界に酔いしれた。ラストもいい。
    と思っていたのだが最後の「朝の朧町」を読んでさらにやられた。整合性、感情の動きの説明という点では足りないものもあるように私には思われたが、それを補ってあまりある文章の力、物語が伸びていく勢いという点ではさらに新しい領域に達したように思われる。最後の10章などはもうこれは詩である。すばらしい。

  • 「美奥」という土地を舞台にした5つの短編。
    ホラーなのかファンタジーなのか、途中からは民話や昔話を読んでいるような気分になり…そういえば、たまにこんな夢みるなあ、と懐かしさも感じながら読了。
    夢をつなぎ合わせたような、辻褄も合うような合わないような。
    何だったんだろう?どうゆうことだったんだろう?
    そんな感想。

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著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、『夜市』で日本ホラー小説大賞を受賞しデビュー。同作で直木賞候補に。14年、『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。著書に『雷の季節の終わりに』『秋の牢獄』『南の子供が夜いくところ』『竜が最後に帰る場所』『金色の獣、彼方へ』『南の子供が夜いくところ 』『スタープレイヤー』『ヘヴンメイカー』などがある。

「2018年 『滅びの園』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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