仮想儀礼〈上〉

著者 : 篠田節子
  • 新潮社 (2008年12月1日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (469ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103133612

作品紹介

信者が三十人いれば、食っていける。五百人いれば、ベンツに乗れる-作家になる夢破れ家族と職を失った正彦と、不倫の果てに相手に去られホームレス同然となった矢口は、9・11で、実業の象徴、ワールドトレードセンターが、宗教という虚業によって破壊されるのを目撃する。長引く不況の下で、大人は漠然とした不安と閉塞感に捕らえられ、若者は退屈しきっている。宗教ほど時代のニーズに合った事業はない。古いマンションの一室。借り物の教義と手作りの仏像で教団を立ち上げた二人の前に現れたのは…。二十一世紀の黙示録的長篇サスペンス。

仮想儀礼〈上〉の感想・レビュー・書評

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  • 上巻読み終わったところで、一言。
    さすがです!

  • もっと狂気じみた話かと思いきや、いたって真面目な宗教ビジネスの話。非常に面白い。お役所上がりの主人公の現実的で慎重な性格が良い。それにしても上手くいけばいくほどいつ崩壊するのかとハラハラしてしまうのは、やはり「虚業」なんて上手くいくはずないという先入観のせいでしょうか。一体この先どうなるのか、高まる不安を抱えつつ下巻へ。

  • いつもお世話になっているユミさんのブログの感想を見て予約した本。
    結構厚い上に上下巻ともなると読めるのか心配でしたが、無理なら読まずに返そうと思って借りました。

    私は割といろいろなことに対して冷めてるところがあると思っているので、何かを信仰することはないんじゃないかと今は思っています。
    結局みんな自分が1番なんじゃないかとどこかで思ってるところがあるのですよ。
    ただ夫や息子に対してはそんなこと思わないので、唯一無償で何でもしてあげられる存在なのかも。

    こういう冷たい考えと言うのは、やっぱり自分がちゃんと愛されて育ってないからなのかもしれないなーと親になってから思うようになりました。
    だけどそんな私でも大切にしたいと思える家族がいることはとても幸せなことで、実家にいた時の不幸は全て今の幸せを手に入れる為だったんじゃないかと思うことも。
    というか、そういう風に思わないと切ないのですよ。

    誰でも平等に幸せと不幸が訪れると言う言葉を全て信じているわけではありませんが、もしも多少なりともありえるのであれば、私は高校を卒業して家を出るまでに、生きている間の不幸が全て訪れてしまったんじゃないかと、世間や関わった人と話してみて感じることがあります。
    でも不幸を不幸と思わずに過ごしていたから、まだ幸せだったのかも。

    と、本とは全然関係ないようなことを書いてますが、私のような生き方をしてきた人は宗教にはまりやすいのかなとこの本を読んでいて思いました。
    何かに救いを求めたくなるんでしょうね。
    でも結局それは自分で何とかしないといけないとその辺はかなりクールに考えるので、冒険もしないけど、悲観もせずに、何ものにも縋ることがないのかなー。

    上だけ読むと、もうこれで終わりでもいいんじゃないの?と思います。
    もちろん同じくらいの厚さで下があるわけですが。

    何かを信仰することは自分を信じることでもあるのかな。

  •  崖っぷちの無職の男二人が、宗教を始める。

    「我々が実と信じたものが虚構、虚と信じたものが真実に変わるんです。実際には無いもの、人が作り出した神の概念に、人が命を捨てるんです。人のあらゆる不満が、欲望が、喜びが、希望が、こういう形で力を持つんです」

     ホームページを開設した途端にメールが届くとか、集会所を開設した途端に人が来るとか、由宇太の事件なんてそんだけ!?てほどアッサリ終わりすぎたのとか、「そんなうまいこといくか〜?」と懐疑的に、冷めた目で読んでる。だけど、案外そういうものなのかもしれない。SF世界のような荒唐無稽な出来事が現実に起こる現代では、何も起こらない穏やかな日常こそがファンタジーなのだ。寄る辺ない人、すがるものがない人は、この世にごまんといる。大きくなる渦の中で教祖たる正彦は道徳的で理性的で冷静。そんな様子が、読者としての自分の態度と重なる。

  • 宗教団体を立ち上げるお話。
    とても面白い。
    初めて読む作家さんだったし、分厚すぎる本を手にとったとき読みきることができるのか不安だったけど
    ずーっとだれることなくあっという間に読了。寝不足がつづいてしまうほどにひきつけられる。
    下巻では何が巻き起こるのが非常に楽しみ!!!!!!

  • 「もし行政の中級管理職が宗教をたちあげたら?」

  • いったいどうなっちゃうんだろう~、っていう展開でまずまず楽しめました。ラストの盛り上がり方が鮮烈!

  • 作家になるはずで都庁を退職したのに出版はキャンセルになり妻には去られ窮地に陥って、破れかぶれで新興宗教を起した主人公。
    調子のいい元編集者矢口といい加減さに呆れるような出だしで「聖泉真法会」は始められるが。
    もと役人の真っ当さで案外人心を掌握して会はどんどん成長していく。
    いい加減な筈の矢口は、その純真さで若い信者の信奉を得る。
    上巻はトントン拍子に拡大してい「聖泉真法会」、下巻はスキャンダルに見舞われ信者に去られ、果ては…。
    残った信者たちはデタラメで始まった宗教を信じ、さらに異議を唱えると教祖までもリンチするような狂信集団となって行く。
    終章に向う迷走劇は、始まりのいい加減さにと対象的に、悲壮を通り越して荘厳ささえ感じられた。

  • 感想は下巻へ。

  • 下も読了。
    途中これで纏まるのかと心配したが、さすが篠田節子、上手い。
    宗教をビジネスとしてやっていこうとする主人公が宗教団体を軌道に乗せ、ビジネスとして成功させる前半、足元をすくわれ失墜していく後半、そしてラスト。
    これだけの長編を破綻なく仕上げた力量に感服。
    性的にえげつないシーンはあまりなく、宗教なんてものに下手に手を出したら痛い目に会う、女性心理はコントロールし難いといった作者の考えが伝わる。
    教祖の公務員的な誠実さに途中違和感を感じたりもしたが、こういう人物だからこそ読者が不快感を覚えることなく最後まで読み進めることができるのだと思う。
    現代の家庭や若者の病理も巧みに描き、エンタメとして文句のない仕上がり。

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