遠くの声に耳を澄ませて

  • 新潮社 (2009年3月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784103139614

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

人と人との繋がりを優しく描いた短編集で、心が暖かくなる体験が待っています。各編は、日常の中に潜むさまざまな感情や出来事を通じて、読者に幸せな気持ちをもたらします。物語が進むにつれ、登場人物の心情に共感...

感想・レビュー・書評

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  • 人と人との繋がりを、優しく伝えてくれた。
    心が暖かくなりました。

  • なんだかあまり入ってこない・・
    自分好みの、ちょっとずつ登場人物が重なる短編集なのだが。不思議オーラを感じる。

  • 短編集。
    なんだか読んでいると幸せな気分になる。と、誰かが書いていたのを見て、気になって読んでみた。

    最初の一編を読んで、あ、なんか暖かい感じが広がるかも。と、思った。
    二編目を読んで、あ、こんな時もあるし、この最後の気持ちわかるなーと思った。
    三編目を読んだときは、途中まで、なんだよ、こいつら。。と思っていたが、最後にすとーんときて、暖かい心地よさが広がった。

    そんな感じの短編集。
    そして、読み進めると、ある線に気付く。
    それに気づいた時、「遠くの声に耳を澄ませて」の意味が分かった気がした。

    自分は、「アンデスの声」「どこにでも猫がいる」「うなぎを追いかけた男」「部屋から始まった」「ミルクティー」「夕焼けの犬」が好きかな。

    全編前向き。
    でも、主人公にも読者にも前向きになることを押し付けてはいない前向きさ。
    どこか、スルメを噛んでいるかのような充足感かもしれない。
    何処にでも、誰にでも必ずある遠くの声。。

    アンデスの声
    転がる小石
    どこにでも猫がいる
    秋の転校生
    うなぎを追いかけた男
    部屋から始まった
    初めての雪
    足の速いおじさん
    クックブックの五日間
    ミルクティー
    白い足袋
    夕焼けの犬

  • 旅先や出張先で誰かを思い出したり、過去の旅行の思い出を振り返ったり、二度と戻れない世界に旅立った人を想ったりする短編集。

    --------------------------------------

    ひとつひとつの話が短くて、たくさんの人と出会ったけど長く話す時間はなかった、そんな感覚だった。
    もっと登場人物たちに愛着が生じるくらいそれぞれの話が長ければ、彼らの関係図が頭のなかに作れたと思うけどほとんどすれ違っただけだった。短編って難しいな。

    --------------------------------------

    旅先でそこにいない人のことを想うこと。自分にも経験がある。
    中学の修学旅行で京都に行った時はただただふざけながら京都を見学してきたにすぎなかった。高校の修学旅行で二年ぶりに京都を訪れた際は、二年前のことを思い出して中学で一緒だったみんなは元気かなと思ったりした。大学四年でまたしても京都を巡ったときには色んな感情が駆け巡った。ここに書くようなことじゃないから書かないけど、時間を置いて同じ場所を旅するのはなかなかにセンチメンタルな行為でいいと思っている。旅情、というやつだ。

    もう何年も京都には行っていない。いま、京都駅の大きな階段を見たらどんな気持ちになるんだろう。京都タワーの下にある銭湯はまだ古臭いんだろうか。
    ラーメン二郎京都店にも行きたいし、天下一品の本店にも行きたい。

  • 表題となってる「遠くの声に耳を澄ませて」という一節が出てくる冒頭の「アンデスの声」がものすごく良かった。朝の電車で涙が出た。

    慎ましく、ただただ真面目に生きてきた祖父母がかつてふたりで耳を傾け、手で触れた遠い異国からの便り。そのときの驚きと喜び。なんだかふたりのことが目に見えるようだった。

    とても良かった。

    それ以外の話は、まあまあ、かな。

    一緒に暮らしていた人が遠くに旅立ってしまった女性の話「どこにでも猫がいる」、甘ったれたお嬢さんが料理研究家になる人生の岐路を語る「クックブックの五日間」がすきだった。

  • こういうリアルだけど少し希望もあるような小さな作品集って読んでいて良いね(((^-^)))
    特に登場人物たちが少しずつ繋がっているのが好き。
    その人の人生に広がりが見えるから、なおさら本が面白くなる!

  • 短編集。
    各編,最後の一言にぐっとくる。

  • 1話完結だけど、繋がっている話。
    この登場人物は先の話に出てきた人だ!と、
    繋がりが面白い小説でした。

  • 「旅」を絡ませた短編集。12編の物語が綴られている。私は「アンデスのの声」が好きだ。高齢の主人公の祖父母が話していた「キト」という街が、祖父母にとっての空想の街であると思い込んでいたが、実は実際に存在した街。祖父母は実際の旅行をすることはなかったが、ラジオから聞こえてくるエクアドルの放送とそこから送られてくるベリカード。これにより祖父母は豊かな「旅」を経験していた。また祖父母がカードのために受信確認の便りをエクアドルに送っていたという驚きもある。
    私は初めて「ベリカード」という者があることを知った。なかなか凝った内容だ。
    この作品集は「旅」のいろいろな形と「物語」を教えてくれる。

  • どの登場人物も、何かの壁にぶつかっている。
    でも、何かの拍子に、何かに気づく。
    遠くから聞こえてくる声に。
    そして、前へと進んでいく。

    起伏はないけど、しみじみと「ああ、なんかよかったな」と思える読後感。悪くない。

  • 登場人物が何度も現れる作品。
    タイトルと内容が、読み終わって納得。
    また読み直したい、というより、純粋なものが語られている感じ?
    静かな時間を過ごせた。

  • 宮下奈都の『よろこびの歌』がよかったので、何か読んでみたいと、図書館で別の小説を借りてきてみた。短編集らしい。

    せかせかとは読めなくて、ゆっくりゆっくり、数日かけて読む。巻頭の「アンデスの声」と、なかほどの「ミルクティー」が、とくによかった。

    そして、本が終わりに近づくにつれて、あれ、たしかこの人は、前の話に出てきたな…ということに、ちらほらと気づき、しまいまで読み終えて、もう一度またてっぺんから読んでいると、やはり、それぞれの収録作は、ひょいと、別の話に出てきた人物があらわれたりして、ゆるーくつながった連作のようでもあった。

    カバーと、それぞれの話の扉につかわれている、網中いづるさんという人の装画もよくて、この人の絵を見てみたいなと思った。扉の絵はおそらくもとはカラーのものが、モノクロで、しかも小さく切り取ってつかわれているのだが、その小さく配された絵は、それぞれの話とゆるく響きあっているように思えた。

    「ミルクティー」で、真夏とみのりが交わす、こんな会話。
    ▼私が飲みたいのはいつもコーヒーで、みのりは紅茶だった。
     「どうしてもコーヒーじゃなきゃ嫌だってわけでもないんだけど」
     私がいうと、みのりはコーヒー豆を挽きながらこちらへすいっと顔を向けた。
     「仕事で煮詰まってるときなんか、一杯の熱いコーヒーに救われることがあるんだ。目が覚めるっていうか、さあもうひと息がんばろうって思えるっていうか。でも、紅茶は、飲んでしみじみおいしいと思ったことってないな」
     「なんとなく、わかるよ。真夏はコーヒー向き。コーヒーって、これからのための飲みものって感じがするもの」
     またみのりがおかしなことをいっている。そう思って、尋ねた。
     「じゃあ、紅茶はどうなの、何のための飲みものなの」
     すると彼女は少し考えるふうになり、ミルを回す手を止めた。
     「紅茶は、どちらかというと、振り返るための飲みものなんじゃないかなあ。何かをひとつ終えた後に、それをゆっくり楽しむのが紅茶」(p.182)

    どっちかというと、コーヒーを飲む私は、こんな会話を読みながら、ミルクティーが飲みたくなった。ミルクティーを飲んで、この一冊の本のことを、ゆっくり振り返りたいと思った。

    巻頭の「アンデスの声」は、年に二回、お盆とお正月にしか休まず、毎日まいにち田畑の仕事に精を出す祖父母、地元からほとんど出たことがないという祖父母を、どこかかわいそうに思う孫娘・瑞穂の視点で、書かれていく。

    「どこにも出かけたことのなかった祖父母に豊かな旅の記憶があった」ということが分かったときの瑞穂の驚き、そして胸の中が甘い花の香りで満たされていく思い。瑞穂がたどる子どものころの思い出が、ふいに転換して見えてくる場面が、とりわけよかった。

    (4/23了)

  • 宮下 奈都氏2作目読破。(1作目は 「太陽のパスタ、豆のスープ 」)
    私はこちらの作品のほうが好き。1作目で「宮下氏の作品は10~20代前半向けなのかな?」と思いましたが、こちらはアラフォーのワタシでも違和感なく読めました。
    短編連作は、もともと大好きなので甘めの感想ではありますが、この作品の登場人物にときおりある種の毒(嫌味、かな?)を感じるところが、
    以前の作品よりも好き、かな。

  • 遠くの風景が思い描かれる短編集。
    登場人物が少しずつ重なって、あのお話しに出ていたあの人だ、なんて面白さもあった。
    情緒的な作品の数々だった。
    “ミルクティー”の中から、コーヒーは、さあやるぞっていうこれからの飲み物、紅茶はゆっくり振り返る飲み物。なんか納得。

  • 短編集

  • 「転がる小石」
    P32
    自分が苦しくなって初めてわかる。
    笑ったり泣いたり怒ったり、感情を素直に出せるのは相手に恵まれているときなのだということを。

    P35
    いつどんな時に食べても、しみじみおいしいものが適当につくられるわけがなかった。

    美味しいパン屋さんを通して、それぞれの人生観が変わる2人の女性の話。
    しみじみする。

    P41
    怖がっていたものの正体を見極められたなら、もう新しい一歩を踏み出してるってことだ。


    はちみつから、宮下さんを追うようになった時期に一度読んだことがあった。
    その時に「ちょっと疲れた時にまた読みたいな。」と思った記憶があった。久々の宮下さん。短編だけどすごく深みのある話だ。「アンデスの声」もじーーーんと深いところに温かなものをもらった。
    「転がる小石」
    は印象的だった。今の仕事に精通するものがあり、楽しておいしくはならないな、と単純な答えがしっくりきた。

    今、宮下さんが心地よい。

  • 12の短編。
    人々がそれぞれ抱える声にもならない
    もやもやした気持ちと解消していく様子。

    繋がっている登場人物たち。
    祖父の体調不良に不安になるものの気丈に過ごそうと決める人。
    はっきりと言えない体調不良を台湾にいる医者に会いに行ってわかる自分の本当の気持ち。
    看護師と入院中のタイプの違う患者さんとの交流。

  • 人生を含む旅に絡めた連作短編。繋がり、交錯する道を感じながら、それぞれ時を進めていく。そしてその中にささやかかもしれないが、大切なものがあるんでしょう。

  • 宮下奈都 著「遠くの声に耳を澄ませて」、2009.3発行。アンデスの声、転がる小石、秋の転校生、足の速いおじさん、クックブックの五日間など12の短編小説集。単独のようであって、実は連作になっているように感じました。内容は、まさにタイトルの通り、遠くの声に耳を澄ませているようです(^-^)

  • 雰囲気はわりと好き。でも、(短編小説であるとはいえ)話の展開や人物の掘り下げが浅く、全体を通して「切なげな雰囲気」以上のものを感じ取ることができなかった。薄っぺらいなぁ…というのが正直なところ。
    こういう種類の短編小説、好きな人は好きなんだろうけど…自分には物足りず。

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著者プロフィール

1967年、福井県生まれ。上智大学文学部哲学科卒業。2004年、第3子妊娠中に書いた初めての小説『静かな雨』が、文學界新人賞佳作に入選。07年、長編小説『スコーレNo.4』がロングセラーに。13年4月から1年間、北海道トムラウシに家族で移住し、その体験を『神さまたちの遊ぶ庭』に綴る。16年、『羊と鋼の森』が本屋大賞を受賞。ほかに『太陽のパスタ、豆のスープ』『誰かが足りない』『つぼみ』など。

「2018年 『とりあえずウミガメのスープを仕込もう。   』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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