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- Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103164319
感想・レビュー・書評
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戦争のさなか、日本軍兵士の束の間の休息。ラバウルにあったという「宇奈月温泉」を61年の歳月を経て探る旅。
温泉ライターの筆者。ふとしたことから太平洋戦争の激戦地だったラバウルに温泉があったことを知る。戦争を全く知らない世代の筆者ではあるが、持ち前のパワーで当時の関係者への取材を開始する。当時で戦国61年。高齢の関係者たち。さらに10年以上経過した今思うと最後のチャンスを物にしたことが分かる。
激戦の合間、温泉にひたる日本兵の脳裏に去来するものは何だったのだろう。また何人が祖国に帰国を果たしたのか。
ジャングルの奥深く、河原に湧く温泉は由来は不明だが「宇奈月温泉」と呼ばれていたという。長い取材の末ようやく見つけた聖地。入浴する筆者は宇奈月の黒薙温泉の風景を思い出す。宇奈月付近からラバウル方面へ出征した兵士で分かったのは3人。故郷の風景を思い名付けたのだろうか。
風化した戦争の歴史を手繰りつつ、関係者や現地の人々と心の交流を広げていく過程が感動的。
温泉ライターの執念の取材が実った一冊。終始明るい展開の楽しい紀行、ノンフィクションでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示