螻蛄

著者 :
  • 新潮社
3.77
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本棚登録 : 268
感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (533ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103174011

作品紹介・あらすじ

「疫病神」コンビ、待望の復活。自称「建設コンサルタント」の二宮とイケイケヤクザの桑原は、五百万の信者を擁する伝法宗慧教寺派の宗宝『懐海聖人絵伝』をめぐるスキャンダルを嗅ぎつける。絵伝を金にしようと画策する二人を待ち受けるのは、巨大宗派の蜜に群がる悪党たち。最後に笑うのは一番の悪党か、羊の皮をかぶった狸・二宮か。巧妙な罠、逆転に次ぐ逆転、想像も及ばぬ金儲けの手法…ページをめくる手が止まらない、大人気シリーズの新たなる頂点。ノンストップ・ノワール・エンタテインメント。

感想・レビュー・書評

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  • 冒頭───

    エレベーターを降り、事務所のドアに鍵を挿したら、中からマキの鳴き声が聞こえた。マキちゃん、ケイちゃん、ユキちゃん、と叫ぶように鳴いている。
    事務所に入った。ブラインドをあげ、マキのケージを開けてやる。マキは二宮の手に乗り、羽ばたいて肩に乗った。
    「どうや、よう寝たか」
    人差し指でマキの頭をなでた。チュンチュクチュンと鳴く。スズメの真似だ。
    マキは嘴で二宮の唇をつついた。空腹なのだ。

    疫病神シリーズ第四(?)弾。
    相変わらずの二宮と桑原の関係性と会話が楽しい。
    とにかく二宮と桑原の会話のやり取りは、そこらへんの下手な漫才より数段面白い。
    黒川さんはお笑いの才能があるのじゃなかろうか。
    二宮のわざと桑原を怒らせるような茫洋とした台詞に出会うと思わず噴き出してしまう。
    二人の会話文を読むだけでも、この小説を読む価値があると思う。

    イケイケ、無鉄砲、怖いもの知らず、かと思えば、ずる賢い一面も持っている極道の桑原の活躍(?)も楽しい。
    今回は、表面は偉そうに見えるが、裏では金と欲にまみれた生臭坊主たちをばったばったとやっつける。
    まるで正義のヒーローのようだ。
    このシリーズを読んでいると、極道で悪人のはずなのに、何故か桑原に愛着がどんどん湧いてくる。
    応援したくなってしまうのだ。
    こんな破天荒なキャラも珍しい。
    黒川博之の上手さなのだろうか。

    これで「疫病神シリーズ」は三冊読んだのかな?
    読んでいない残り二冊も近いうちに読破しよう。

  • スズメバチの巣を裸で壊しに行くような…

  • 国宝級に価値ある宗教画を巡っての
    大攻防!

    凜として顔に(正義)と、書いたような坊さんでも、
    やはりお金は大好きなのだろうか。(笑
    本来、人々を救済する目的で描かれたであろう有り難い仏画を、上手いこと<金>に変えてやろうと企む腐れ坊主。そんな男を「天に代わって成敗してやる代わりに俺様がその金を頂くぜ♪」
    …と、いう、まるでちょい悪ルパンの様な
    やくざ桑原さんと、無理矢理巻き込まれる相棒(?)二宮のコンビは、今回も最強だった。

    背後に大きな政治的組織やら宗教的組織やらいろいろ控えて内容に多少ややこしさがあっても、
    型破りな行動と会話で度肝を抜く登場人物のあばれっぷりが頁を捲る手を止まらせない、
    まるでゴルゴ13やルパン三世読んでるみたいだな~と、感じた。

    今回峰不二子っぽい女性も登場したから、そう感じたのも?

  • 相変わらずテンポとスピード感が秀逸。分厚いのに、その量を感じさせないのがすごいと思う。
    あぁ、これで既刊の疫病神シリーズは読破してしまった……正直さみしくなるから読まずにちょっと置いておきたかったんだけど。無理でした。

    想像していたのと違う「宗教」ネタでしたが、ある意味らしい作りではあったかな。
    個人的にちょろっと登場するまいちゃんがお気に入り。黒川作品は、脇役でちょいちょい良いキャラが出るのも魅力的。まあ、主人公二人がどぎつい臭いまきちらしてるから余計に、ね(笑)だがそこが良い。

  • 待ってました。
    疫病神シリーズ
    主演二人に感動です!

  • 650頁のボリュームを感じさせないのは、さすが黒川作品、疫病神シリーズです

  • 1

  • 建設コンサルタント:二宮啓之シリーズ 第4弾。

    今回は宗教がらみのシノギです。

    ある宗派の宝とされる巻物が、本院から貸し出され、さらにその巻物が転売されたり、担保にして銀行から融資を引き出したりと、宗教の裏の面を露骨に表現したやりとりが繰り返されます。

    ヤクザ同士のやりとりはもちろん、腐れ坊主と桑原達のやりとりも絶妙。

    また今回は若頭の嶋田のシノギのやり方も魅せてくれます。

    4弾になって、シリーズにはまってる人は、とても感情移入しやすく、憎めないヤクザの桑原ファンになることでしょう。

    次作が待ちきれないです。

  • 桑原ほんとに気が付いてないのかな

  • 疫病神シリーズの4作目。映画化された5作目を最初に読んだので、これで残るは最新刊のみ。しかし、このシリーズはとにかく本が厚い。この話も単行本で533ページあり、読み疲れた。しかし、二宮と桑原のやり取りは、いつも最高におもろい。横山君と蔵之介にしか思えないから、あの2人は素晴らしかったなあ~

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著者プロフィール

黒川博行
1949年、愛媛県生まれ。京都市立芸術大学彫刻科卒業後、会社員、府立高校の美術教師として勤務するが、83年「二度のお別れ」でサントリミステリー大賞佳作を受賞し、翌年、同作でデビュー。86年「キャッツアイころがった」でサントリーミステリー大賞を受賞、96年『カウント・プラン』で推理作家協会賞を、2014年『破門』で直木賞、20年ミステリー文学大賞を受賞した。

「2022年 『連鎖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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