終の住処

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1214
レビュー : 305
  • Amazon.co.jp ・本 (142ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103177111

作品紹介・あらすじ

妻はそれきり11年、口を利かなかった-。芥川賞受賞作「終の住処」、書き下し短篇「ペナント」収録。

感想・レビュー・書評

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  • 時間に対するホラー小説として読んだら面白いかなと思った。既に下してしまった決断(とそれに付随する時間)は取り返せないよって話。

    主人公はたいして好きでもない奥さんと変な家で一生を終えるしかないんで絶望してるんだけど、生きてる人みんなそんな感じで絶望してるよ。でも死にたくもないからとりあえず生きてるというか。

    だから、新しい発見とかないし、絶望に対する解決策もないし、だからなんやね~んとしか言えない本。人生コワイーってしたいときはいいかも。

  • 先日、『文藝春秋』で今年の芥川賞受賞作品「冥土めぐり」を読み、ふと最近の芥川賞受賞作品を読んでないなと思ったので、磯崎氏のこの本に手を出してみた。
    ストーリーとしては主人公と妻の20年の結婚生活、ということになるが、あくまで主人公が見た・感じた出来事や体験が、主人公の中での記憶の重さと時間の流れに沿って描かれるので、日常の連続を綴っていても非日常な歪みが生じていて、独特な世界になっている。主人公が感じること、思うこと、考えること、それの対象が妻であっても、妻自身の感じたことや思ったことは語られず描かれず、受動的というのも違うのかもしれないが(それなりに色々自分から動いてるし)、全ては主人公の視界の中だけの現実として描かれている印象。世界をレンズで覗きこんでいるような…レンズ越しの景色ゆえの隔絶感・非現実感がある作品なのに、描かれる物語自体は妻や母や娘に囲まれた普通のサラリーマンである主人公の平凡な人生(の一部)で、「大事件があったわけではない人生」が独特の重量を伴って描かれ、「終の住処」というやけに重たい響きの言葉へ集束していくのが小説として面白い。
    ストーリーというか、起きる事件に意味があるわけではなく、こうやって時が流れて、いつしか一生のゴールまでもが見えてくるところまで来てしまう、そういう、「当たり前」の連続が導いたはずの結果が何となく自分にとって「当たり前ではなかったはずのもの」になっている、その違和感や驚愕自体がこの作品の核なのでは。主人公の世界の固有名詞を持たない家族や女たち、区切りが少なく連なり続ける文章、そうした世界の終わりにある「終の住処」。ただし、こういう人生は本当に逆らいがたく現出するものではなく、生き方次第で変わるものだから、共感とかそういうものは…でもその、生き方を変えたら人生変わった、的な話になってないところが、文学としていいのだと思う。
    時代の大きな流れに置いて行かれているような感覚をぼんやり感じながら、自分の小さな世界の、大きな目で見ると変わり映えのない日々の、けれど目の前に次々立ち起こり少しずつ自分を疲れさせて行くささくれのような小さな波風を、一つ一つ飲みこんでいく。毎日が、すなわち人生がそんな風に感じられた時期の私なら、もっと近く、身につまされる気持ちになったかも。別にそうした共感を求めている作品でもないだろうが、今はそういう風には人生が見えていないので、単純に「ふむふむ」という読後感だった。

  • 疲れている・あきらめている・主体性がない
    中年男性の物語

    共感も興味もあまり持てなかった。

  • 難解だ。結局人生は最初から決められていて、それ程長くないものだってことでいいのかな?結婚して50までに8人と浮気するって、かなりモテてるよね。そこだけ羨ましいって思ったわ、不覚にも。

  • 夢でした、と言われて終わってもおかしくない
    掴み所もない
    本当?って感じの物語だった

  • これで芥川賞? というのが正直な感想。

  • 主人公は一般会社員で住宅のローンも完済したところで、家庭環境が冷え切っていた。妻からは離婚を迫られ、不倫され、どうしようもなくなった主人公も不貞を働いてしまう。そんな昼ドラのようにドロドロとした物語です。

  • 『電車道』の磯崎ワールドが割とよかったので、遡って芥川賞受賞作の本作読んでみることにした。

    思ってた以上に観念的で、読みやすい小説ではない。
    まあ『電車道』も決して読みやすくはないのだが。

    赤の他人だった男女が出会って結婚して所帯を持つ。
    そのことに根源的に潜む「闇」を寓話的に表現していると感じた。
    自分の身に照らして恐ろしくなるとか、身につまされるとかは全くなかったけど。

    切り口としては面白いけど、小説としてはやや技巧に走りすぎていてイマイチかな。
    巧いのは巧いんだけどね。

  • マジック・リアリズム風サラリーマン小説?もっと長いやつが書ければウソにも厚みが出ていいんじゃないかと思う。「ペナント」併録。

  • 毎日そばにいる同僚の私生活と心の中をのぞいてしまったような、面白さと後味の悪さと。かつて普通の会社員の男性がその生活目線のままここまで書けたものはなかった気がする。季節や風景の感性豊かな描写が、全体を流れる乾いた感じを際立たせている。
    今に始まったわけではない孤独。今に始まったわけではない不機嫌…夫婦者でなくてもすごくわかる。
    人生も中年期に差し掛かったが、自分の人生も考えてみればどうでもいいことばかりでできていることに気づく。

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著者プロフィール

1965年生まれ。2007年、文藝賞を受賞しデビュー。『終の住処』で芥川賞、『赤の他人の瓜二つ』でドゥマゴ文学賞、『往古来今』で泉鏡花賞を受賞。2015年、三井物産を退社。現在、東京工業大学教授。

「2019年 『金太郎飴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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