かけら

著者 : 青山七恵
  • 新潮社 (2009年10月1日発売)
3.20
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  • 本棚登録 :412
  • レビュー :95
  • Amazon.co.jp ・本 (151ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103181019

作品紹介・あらすじ

父は、昔からちゃんと知っていたようにも、まったくの見知らぬ人であるようにも感じられた-第35回川端康成文学賞受賞。最年少で受賞した表題作を含む珠玉の短篇集。

かけらの感想・レビュー・書評

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  • 青山七恵さん2作品目。

    かけら 欅の部屋 山猫の3編

    =かけら=

    お父さんと娘のサクランボ狩りの話なんだけど
    お父さんがいう「かけら」が、じーんときて泣きそうになって
    しまいました。父と娘の家族の絆確認のお話。あたたかめ。


    =欅の部屋=

    ドライな仕上がり。小麦とぼくと、ぼくの婚約者の華子。
    男の迷いみたいなものを漠然と感じてかわいらしく思った。
    このぼくは「夢想家」と言われているけど、うちの夫も
    同じでロマンチストでハッピーエンドをこよなく愛す夢想家。
    案外、こういう心理の男性って多いのかも。
    終わり方も切ないような、でも切れ味がいいのでさっぱり
    していて結構好きです♪


    =山猫=

    3編の中で一番好き。西表島から姪っ子が新婚の杏子の
    元にやって来る。無口で愛想がなくって、まるで島から山猫が
    東京に飛び出してきたみたいな感じ。

    杏子と姪っ子の栞はそりが合わない。
    無理して合わせようとすればするほど、きしんで衝突する
    そしてますます意地になる。
    あー、なんか分かる、分かる。この気持ち!と思いつつ
    読破。
    視点が杏子、杏子の夫の秋人(オータム)と姪の栞の3人で
    変わるので、独特だけどあっさりしているけど面白かった。
    空気みたいに、さらさら~と読みやすかった。

    また他の作品も読んでみたいと思いました♪

  • 人間の感情を良い部分も悪い部分も表現している3つの短編。

    ①父親と大学生娘の関係性(一緒にバス旅行に出かけ、普段話すことがない二人のきまづい雰囲気)。

    ②別れた女性が同じマンションに住み続けていることに関してあれこれ想像したり、会いたいと思いながら他の女性と結婚する男性(まだ未練がありそう。。。何かと妄想チックなところがなんとも。。。)

    ③親戚の女子高生を数日預る新婚夫婦(女子高生の無反応的な態度に、あれこれ親切にしようと試みるもののなかなかうまくいかず、ちょっと苛立ってしまう奥さんとマイペースなご主人)。

    なんだろう、読んでいるうちの3つの作品はどれもいらいらしてしまうところがあったけど、でも嫌な気持ちにはならなかった。

    • sorairokujiraさん
      読んで納得いかなくても、嫌な気持ちにならない本って確かにありますよね。逆にすごく納得いくし、円満だけどもやもやが残ってみたり。世界観の違いなんでしょうか?おもしろいですよね。
      私も読んでみますね~。
      2012/12/27
    • kuroayameさん
      sorairokujiraさん、いつもあたたなコメントをいただきありがとうございます♪。
      私もsorairokujiraさんの本棚やレビューを拝見させていただくと、本当に好きな本のタイプが重なっているパターンが多くて、読んだことのない本を選ぶときに参考にさせていただいています。
      私は最終的にどんな形であれはっきりするタイプ・今後の展開を自分で想像して楽しめるタイプが好きなので、ちょっとうやむやだったりする物語にいらっとしちゃったり・・・。
      でもこのお話は嫌な気持ちにはならなかったので不思議なお話だったと思います★
      2012/12/27
  • いろんなかけら。
    心はひとつだけど、生きているといろんなところに心のかけらが散らばっている。
    そのかけらを見ると、いろんなことを思い出す。
    そして、いろんな自分にも気付かされる。
    かけらを見つめ直すことで、生きなおすこともできるし、再スタートを切ることもできる。
    痛みを感じさせるかけらもあるが、それも、かけがえのない大切なかけら。

  • 表題作「かけら」は文芸誌でも読んだから2回目。なぜか青山さんの作品は単行本や文庫よりも文芸誌で読むことが多い。「かけら」「欅の部屋」ともに青山さんらしい、私の感覚でいうと欠点でも長所でもあるそこはかとない主人公の上から目線に彩られた言葉で綴られている作品。
    それに比べると「山猫」は異質で、他作品に流れている悪意とも無駄な攻撃力とも受け取れるようなとげとげしさはなく、逆に翻弄される善意が描かれていた。視点の移り変わりも面白い。

    善意が強制されるシチュエーションで本当に湧き出てくる善意、その瞬間みたいなものをわかりやすく描いていた。

  • 日常のありふれた生活の中の細やかな感情の揺れを見事に表現。切なくなりました。

  • 「ひとり日和」しか読んだことがなかった青山七恵ですが、これは最年少での川端康成賞受賞作を含む短編集。時折はっとするような言葉のうまさがあり、淡々とした日常の揺らぎがある。「ひとり日和」のときと変わらない印象。でも、確信にはいたらないのです。すっと心を撫でられるような気もするんだけれども、文章力としてはもっともっと上手い作家っているし、揺らぎのなかに緊張感と主題を織り交ぜてくる小山田浩子のほうがずっと物語の構築に長けているとおもうし、なんだかすべてが中途半端に感じられてしまった。受賞作以外の作品のほうがすきだったんだけど、「山猫」とか少女のセクシャルな暗示や緊迫をさらりと通り過ぎていくかんじはいいなあと。けっきょくのところ青山七恵が描こうとしているのは、崩れ落ちそうな可能性を綻びを抱え込んでそれでも淡々と進んでいく日常のあり方なのか。このひとの文学というのは、いったいどういうものなのか、わたしにはまだ掴めていないし評価できません。そもそもわたしが、緊張感や綻びやらを見つめる物語性の高い小説が好きなだけなのかなあ。もう一冊くらい読んでみてからまた考える。

  • 「かけら」
    意図せず二人きりでバスツアーに参加することとなった親娘の情景を描くことで、つかみ所のない距離感、娘にとっての父という存在の不明瞭性を表現した短編。娘の視点から見えている姿こそ、父という存在の「かけら」なのかと。
    他の2作も併せて、この作家は日常の何気ない出来事を「かけら」として描くことで、人間・人生の全体を想像させる物語を得意としている印象。
    「欅の部屋」
    結婚を間近に控えた男が、過去に付き合っていた女との思い出を回想する。
    ことある毎に「大人への変化」を感じたがる主人公が、まさしく変化していく過程が、過去の女の影を受け止めることなのか。
    「山猫」
    大学見学のために西表島から東京に訪れた少女と従姉夫婦との数日間。主人公は、生活環境や年代の違いから心通わぬ従妹をこそ、山猫のような得体の知れぬ野性的な存在と感じていたのかもしれない。
    区切り無く視点が入れ替わる手法は、新鮮だが読みにくさも感じた。

  • 「かけら」、好きな言葉だ。一つに繋がっていた人と人が時間とともに離れていく。親と子、男と女。距離が出来たあとも、いつかまた寄りそう日がくることもあれば、二度と姿を見ることもない。年齢を重ねるごとに「かけら」の意味をかみしめることが多くなってきた。

  • 『かけら』
    あまりにも離れると近づきたくなり、逆に近寄り過ぎると急に煙たく感じる。年頃の娘の父に対する"なんとなく、やだ"という不機嫌さが文面から立ち上ってくるようだ。

    『欅の部屋』
    結婚を目前に控えた男性が、まだ同じアパートに住む昔の彼女、小麦を思い出すお話。なんとなく女々しい彼は小麦に未練がある訳でもなく、けどふと思い出す小麦の印象が鮮やかで、そんな自分にとまどっている。しっかりしろ、と彼を怒鳴り付けたくなるほどじれったいのに、なぜか心を揺さぶられた。

    『山猫』
    新婚夫婦のもとに妻のいとこがやってきた。夫と妻、妻といとこ、夫といとこ――それぞれどこか他人行儀で、だから普通の会話も行動もなぜか私は緊張してしまう。

    三作に通じるのは相手との距離感。ほんの少し離れすぎだから、一歩踏み込むのが難しい。
    それでも日常生活は普通に過ぎていくのだけど。

  • 父親を客観的に見定めようとする娘が出てくる表題作に、前の彼女を気にかけている婚約中の男の話と、あともうひとつの短編が収まった一冊。子供だった時も大人になってからも父親のことを大好きだった私にはピンと来ない話でした。

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