福永武彦新生日記

  • 新潮社 (2012年11月30日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (356ページ) / ISBN・EAN: 9784103187158

感想・レビュー・書評

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  • 「福永武彦戦後日記」に続いて出版されたものです。
    少しずつ数か月かかってようやく読み終えました。

    主として淡々とした日常が描かれていますが,ところどころに孤独や人生に関する考察が見受けられ,私の愛読書である「忘却の河」に通じるものを感じました。

    「戦後日記」と「新生日記」は発見された時期が確か違ったこともあり,別々の本として出版されていますが,統合されて,福永武彦の生い立ちから亡くなるまでの評伝や日記全体を通した解説があると,より一層これら日記に対する理解が深まるように思います。

    「忘却の河」は主人公が愛についてあれこれ考察する姿が描かれていますが,福永武彦自身は,最初の妻と熱烈な恋愛を経て結婚し,その結婚が破たんした後,別れた妻に似たタイプの女性と異なるタイプの女性との間で揺らめきながら,結局異なるタイプの女性の方と再婚しています。
    「新生日記」の中には,再婚はなさそうな予感を感じさせる記述があるのに,上記の過程で福永武彦が何を考え,どう決断したのかに興味を持ちました。

    そんな愛に関する部分も含めて,この日記に書かれた日常に思いを馳せながら,作品を読んでみようと思います。

  • 子息・夏樹の序文で始まる。45年~53年までの5冊の日記が4つに区分され、正に4幕の芝居として完璧な構成とのこと。淡々と記録が続く中で、時々、福永らしい情感のこもった文が顔を出す。福永の「草の花」は学生時代にロマンとして魅かれたのだが、その背景として福永そのものの人生と重なる、私小説の色彩が強いのだ。実に多くの女性が登場する。別れた最初の妻・詩人・原條あき子(そして夏樹の母でもある)の出身が兵庫県第一高等女学校ということも私にとって縁を感じた。私の誕生日である52年3月23日(日曜、晴れ、暖かしとの表記)が福永にとっては、あき子と夏樹の窮状を知った象徴的な日であることも運命を感じる。この日の「人はみな不幸にしか生きられぬ」何と絶望的な言葉なのだろう。

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著者プロフィール

1918-79。福岡県生まれ。54年、長編『草の花』により作家としての地位を確立。『ゴーギャンの世界』で毎日出版文化賞、『死の鳥』で日本文学大賞を受賞。著書に『風土』『冥府』『廃市』『海市』他多数。

「2015年 『日本霊異記/今昔物語/宇治拾遺物語/発心集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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