銀花の蔵

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 95
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103198321

作品紹介・あらすじ

秘密を抱える旧家で育った少女が見つけた、古くて新しい家族のかたち。大阪万博に沸く日本。絵描きの父と料理上手の母と暮らしていた銀花は、父親の実家に一家で移り住むことになる。そこは、座敷童が出るという言い伝えの残る由緒ある醬油蔵の家だった。家族を襲う数々の苦難と一族の秘められた過去に対峙しながら、少女は大人になっていく―。圧倒的筆力で描き出す、感動の大河小説。

感想・レビュー・書評

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  • 歴史ある醤油蔵の床下から出てきた子どもの骨、座敷童か…「やっと会えたね」から始まる話は、50年前に遡る。
    父が実家の醤油蔵を継ぐために戻った家で、座敷童の姿を見た銀花の人生を、昭和の出来事を交えながら描く。
    一族にまつわる哀しく辛い過去、次々と起こる惨事。小学生の銀花は母の罪を背負い、どれほど辛く生きにくかっただろう。けれど銀花は醤油蔵を守りここで生きていく事を選択する。強い人だと思う。強く生きられて良かったと思う。
    「かわいくてかわいそう」と父から言われていた母親の弱さを銀花は嫌った。「かわいそう」の中に嘲りや憐れみを感じるから。
    しかし年齢を重ねた銀花が「かわいそうと言える父の強さが母と私を救った」という。母の過去を知ることで母を理解しようとする。
    肯定する、救いはそこから生まれるのか。
    人物描写が細やかで、親子、兄弟、嫁姑、各々の関係においての心情が伝わってくる。
    家族、その親密で複雑、他人以上に強くなる愛と憎悪を、哀しみと共に感じた。
    家を守るってどういうこと。家を守る神さまの座敷わらしって何なのだろうと考えてしまう。

  • これまでの遠田さんの作品とは違い少し柔らかいというか主人公に負荷があまりかかっていない。それでも血縁、慣習、過去、現在とたくさんのものに翻弄され抗おうとする小学生の銀花の姿がある。徐々に負荷がかかりだし、理不尽なことがあり、苦しみや悲しみ、怒りが溢れてくる。でもそれだけじゃないものがあって辛い日々を送ってきたはずなのにどこか幸せな空気があってそのあたりの具合がとても良くて銀花という女性の人生の大きさ、強さ弱さ、そして喜び、幸福を感じられる。今回もいい作品でした。

  • 染みる、刺さる物語だ。

  • 久しぶりに
    本を読んで泣きそうになった。

  • 待ちに待っていた新作。

    百年続く醤油蔵を舞台にした家族の話。
    今回の作品はいつもとは少し印象が違った。

    罪を背負った人たちが出てくるのは同じなのだが、
    いつもよりマイルドで、胸がえぐられる様な辛さはなかった。

    血の繋がりがあるからといって必ずしも家族関係がうまくいくわけではなく、
    やはり心の繋がりが大事だよな。

    父親が違う私の大好きな姉たちの事を思い浮かべながら
    読了。

    マイルドな遠田作品もいいな。

  • なんだか壮大な家族の物語だった

  • 第163回直木三十五賞候補作で遠田潤子さんの新刊。絵描きの父親・料理上手の母親と暮らす娘の銀花は、父の実家(醤油蔵)に引っ越すことになり、父の妹・母親と暮らすことになる。しかしその家では、銀花以外の全員が秘密や嘘を心に抱えながら暮らしており、銀花が成長するにるれさまざまな苦難・困難が待ち受ける。およそ5世代に渡るスケールの大きな物語で、ミステリー要素もあり、ふとしたセリフに伏線が混ざっていたりしながら、ゆっくりと回収されていくのは読んでいて気持ちいい。数年後に文庫本が出たらぜひ再読したい。

  • この作家の本は3冊目だが、過去に読んだ2作にあまりいい印象はない。直木賞候補にならなければスルーしていたかもしれない。奈良にある老舗の醤油蔵を舞台に、“家族”という一番身近な他人との関係を何世代にも渡り描いた本作は、本当の意味での悪人は1人も出てこないにも関わらずひどく重く暗い空気が全編を覆っていて、読み進めるのがつらかった。誰もが小さな幸せを願っているのにうまくいかず、特にそれは主人公である銀花に顕著だ。だが、すべてが明らかになり、お互いを寛容することで関係は変わる。読み応えのある作品だった。

  • 中盤から明らかになる事実に驚きながら読み進めた。感動した。

  • 1968年、画家になりたかったが仕方なく実家の醤油蔵を継ぐ父について行った娘銀花は10歳。怖い祖母多鶴子、父とは大きく歳が離れた父の美しい妹は桜子。そして母には万引き癖。蔵には伝説があって、正式な後継者には座敷童が見えると言う。見えたのは父ではなく、銀花で・・・

    面白かった。過去の遠田作品には全然似てない。(あまり読んだことはなく知ってるのは映像化されたものばかりだけど)宮尾登美子っぼい気がする。

    一人の女性の半生を描いた年代記のような小説で、うまくいかない商売やいじめ、結婚など様々な困難や喜びがそこにはあった。

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著者プロフィール

一九六六年大阪府生まれ。関西大学文学部卒。二〇〇九年、第二一回ファンタジーノベル大賞を受賞した『月桃夜』でデビュー。一二年、『アンチェルの蝶』で第一五回大藪春彦賞候補となる。また、『雪の鉄樹』が本の雑誌増刊「おすすめ文庫王国2017」第一位、『冬雷』が本の雑誌2017年上半期エンターテインメント・ベスト10 第二位となる。その他の著書に『あの日のあなた』『オブリヴィオン』『カラヴィンカ』。

「2018年 『蓮の数式』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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