- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103230229
作品紹介・あらすじ
渡り奉公、つかまつり候。「槍の勘兵衛」の異名を取った男の豪気な生涯! 主従身分は当座のこと。もののふなれば、己れの主を己れのみと定めるべし。時は関ヶ原の大乱直後。藤堂高虎家中にあっても媚びずなびかず、「恥知らず」と罵られても、名を上げることに命を燃やした渡辺勘兵衛。乱世を生きる意地と矜持、反骨と覚悟を交錯させ、「真のもののふ」と仰がれた生涯を鮮烈に描く大注目の武将物語!
感想・レビュー・書評
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槍の渡辺勘兵衛の話し。関ヶ原で旗幟を鮮明にしていなかった増田長盛の家臣として大和郡山城に籠城する。戦後は牢人となるがその武名ゆえに各大名から仕官の話しが後を絶たないがその中でも熱心に勧める藤堂高虎へ仕官する。当初は自分も渡り奉公だった経験もあり勘兵衛の自由で奔放な物言いに理解を示す高虎だったが次第に戦国時代とは違い徐々に君臣の間にはっきりとした主従関係が成立する中でお互い立場の違いから衝突が増えてゆく。作品は戦国時代に起きた大きな出来事に主人公を当てはめるのではなく主家藤堂家と主人公勘兵衛の当時の主従関係に焦点を当て勘兵衛、高虎、平右衛門、兵部、仁右衛門、左内と登場人物が生きいきしている素晴らしい作品でした。
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槍の勘兵衛として知られる渡辺勘兵衛了について書いた本です。
名を売るのに命をかけるのがもののふである、というのを信条として、関ヶ原の戦いが終わっても、主君である増田長盛の居城である大和郡山城を開城しなかったので、武名があがりました。
後に、主君となった藤堂高虎の奉公構により、他家に仕官できず、武士をやめることになります。
ただ、武士をやめながらも「もののふ」の心を失わない勘兵衛と、武士でありながら「もののふ」の心を失ってしまった藤堂高虎との対比が非常に面白いです。
↓ ブログも書いています。
http://fuji2000.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-9fd6.html -
おとなしい人は損か
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戦国時代末期、関ヶ原から大阪冬/夏の陣の時代に生きる槍の勘兵事渡辺勘米の生き様を綴る。武勇を上げて自分の価値を高め真の主を見極めて戦いを本条とする漢。(人が人形であることを辞め真に人として生きようと思えば進んで修羅場を歩む覚悟が必要)(人は卑屈になればなるだけ偉ぶりたくなり、されど偉ぶれば偉ぶる程、端からは嘗められる事になる)(己を尊べぬ者は他からも尊ばれぬ)との言葉は良い。(胸に咲く花の声に耳を傾けるのみ)と徳川太平の世になっても自分の真を貫き通す漢の生き方に共感する。