奪われる日本の森: 外資が水資源を狙っている

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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103237419

作品紹介・あらすじ

今、日本の水源の森が狙われている。このままでは日本の国土自体が中国人や欧米人のものになってしまうかもしれない。

感想・レビュー・書評

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  • 全体の構成としては、日本の森林に外資マネーが入っていること、そして日本の歴史と民族性なんかについて述べられています。

    特に前半の、日本の森林の値段が下落しており、所有者は大安売り状態でそこに外資マネーなどが入っている点、日本の土地権利は世界で最高のものであり、土地の利用権ではなく所有権まで強固に与えており、そこにある森林や水を公有資産と見なさない為自由に伐採、搾取出来る点などが重要な論点になっている。詰まる所、アジアで外国人、法人に対して土地の所有権を与える国は日本でだけ、最近少しは気にして来たが、基本的に無関心な政治家や官僚の放置プレーで国土、国の資産の搾取が行われつつあると言う話。

    知識としては非常に多くのものが手に入った気がする。そして危機感も。

    後半に関しては本題とずれたところに入っていったので(作者的にはこっちがメインかも)、興味次第では読む必要はないと思う。

    日本人として知っておいてほしい知識が沢山詰まってます。

    水ビジネスに商社参入<http://hase62.blog111.fc2.com/blog-entry-56.html

  • サブタイトル「外資が水資源を狙っている」。
    森を衛る政策
    1.地籍の確定
    2.林地市場の公開化~オープンな林地売買
    3.売買規制と公有林化
    4.林業再生、辺地再生

    ・人間界の掟→縄張り争い、国境問題
    ・世界の投資マネーは天然資源に向かっている。森林や水も投機対象
    ・地政学の欠如が日本の漂流を引き起こした
    ・日本人のDNA~心優しき民族
     他国と隣接せず、実質的に他国に支配されたことのない歴史が根底
    ・外資は日本の森への愛着心はない
    ・地方の時代、自分達で守り戦う気概が必要
    ・日本の官僚、政治家等の能天気さと市場原理主義に毒された平和ボケが
     日本の漂流を引き起こしている
    ・脱アメリカ、大和魂を取り戻せ

  • ・日本の魅力は外国人でも土地を所有できること
    ・安い森林を購入後、伐採し、非合法だが植林を放棄すれば儲かる
    ・森林買収のもう1つの動機は水資源
    ・現在の植民地政策は、マネーによる他国の農地支配
    ・レアメタルとレアアースの市場が熱い

    ・諸外国に比べ、日本の私的土地所有権はすこぶる強い
    ・米大統領は、航空、通信、海運、発電、銀行、保険、地下資源、・国防、不動産の買収にストップをかけられる
    ・フランスは、インフラの運営システムに代表されるサービス分野と文化デザインを付したモノづくりで自国のアイデンティティを保つ
    ・イギリスは、金融市場シティの繁栄に今後も期待をかけ、国家の礎を幅広いサービス産業分野に特化させていく

    ・歴史を失った民族の自立などありえない。アイヌの歴史は和人によって葬られた

  • 読み進めるうちに危機感を感じてきます。

    20世紀「石油」をめぐる戦争の世紀であった。21世紀は「水」をめぐっての世紀となる。

    誰かが言ってたのを思い出しました。人ごとではないですよね・・・

  • 三度目の開国ではなく、破壊との指弾《赤松正雄の読書録ブログ》

     縁は異なもの味なものという。先頃、NHKの会長人事をめぐって経営委員会が少しばかり勇み足をしたことについて弁明を聴く機会が、党の総務部会であった。名だたる縄文文化の研究家である安田喜憲NHK経営委員会委員長代理(国際文化研究センター教授)が説明をされた。私は慶応義塾前塾長の安西祐一郎氏とは大学同期ということもあって、「経営委員会の対応はおかしかった」と安田先生にからんでしまった。そのお陰もあってかどうか、同先生とご縁ができた。

     ご丁寧な挨拶状と共に、『奪われる日本の森』なる著作(平野秀樹氏との共著)が後日送られてきた。「ニッポンの漂流を回避する」との論考は中でも強い衝撃を私にもたらした。「縄文時代以来の日本人の心は、近代化の過程において、キリスト教に立脚した欧米文明を受け入れる中で、大きな痛手を被った」というのが、その柱。明治維新、先の大戦の敗戦と二度にわたり引き起こされた「ニッポンの漂流」は今新たな危機を迎えている、と。この三度目の漂流という名の破壊は、グローバル市場主義のもと、日本固有の領土を喪失させ、民族を根絶やしにしようとしていると手厳しい。外国資本が日本の水源の森を次々と買い漁ろうとしている現実が語られ、その実態には戦慄すら覚える。

     森と里と海の水の循環を説く筆致は激しい。今まで、日本の自然保護の重要性を叫びつつ、三たびの開国の必要性をも強調してきた私だが、その主張に真っ向からの挑戦を受けている思いがする。時あたかも東日本大震災・大津波・原発事故で日本文明の存立基盤が揺さぶられている。日本は、一度立ち止まって全てのこれまでのいき方を点検する必要があるのかもしれない。

  • 日本の自然環境は非常に恵まれており、地球環境を健全に維持するためのハートランドとしての役割を持っていますが、私達日本人はそれを十全に活かせない状況下で、今度は諸外国の方々による天然資源獲得競争の対象になってしまいました。国益云々という考え方も、残念ながら環境問題を引き起こした元凶たるビジネスも、地球や生物に対し等しく無責任であるという点で、その子ども並みの未熟さや危険性は放置できません。

  • 日本の水源に関する問題が諸々記載されております。
    細かな企業名などまで記載されており、勉強になるの一言に尽きます。

    これは僕の指針になります。

  • 日本人が日本の水源の森をどう考え、どう対応すべきなのか、今日本の森でおきている恐ろしい現実が書かれています。
    まず、はじめの一歩として「情報の共有化」が必要です。
    その上で、大いに議論し、最善の策を皆で実行していければと思っています。
    森林組合も一生懸命考え、行動していきます。
    ぜひ、ご一読下さい。

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著者プロフィール

1954年、兵庫県生まれ。姫路大学特任教授、国土資源総研所長。九州大学卒業後、農水省入省。農水省中部森林管理局長、東京財団上席研究員、青森大学教授を経て現職。博士(農学)。専門は辺境社会学。著書に『領土消失』(角川新書、共著)、『日本はすでに侵略されている』(新潮新書)、『日本、買います』(新潮社)ほか。

「2023年 『サイレント国土買収 再エネ礼賛の罠』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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