官僚村生活白書

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103255512

作品紹介・あらすじ

天下り、渡り、談合、利益供与と、事あるごとに国民からは批判され、民主党からは蛇蝎のごとく嫌われた、彼ら官僚たちの赤裸な生態。国の中枢を担う「スーパー公務員」たちはいったいどんなことを考え、どのような日常を送っているのか?新聞等の報道ではさっぱり顔の見えてこない、その素顔と本音を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 今から10年前、民主党が政権を奪取した時の著作。省益あって国益なし、と言われた官庁の縦割り行政に楔を打ち込むべく、政治主導で官僚たちに挑んだ。この流れの延長上に今日の忖度という習性が醸成された感がする。当時の官僚と取り巻く環境につき、取材を重ねた著者は、想像を超える世界を垣間見て、巨大な壁への戦いの無力さを感じる。能力主義で行き着いた先に待っている、血筋や閨閥で張り巡らされた網、本人の努力や常識感が立ち行かない世界。極め付けは外務省。官舎で過ごす夫人もこの渦に巻き込まれ、階級差別的な要素が加わることで、独特の社会が形成されている。男性中心で築き上げられてきた、この不条理な世界も、女性官僚が数の上で進出していくことで、新たな地平線が開けることを期待したい。

  • 本書が書かれた2010年は、その前年に自民党の自爆政治から棚ボタ勝利を収めた民主党政権が「脱官僚政治」「政治主導」というスローガンを掲げていた時代です。ご存知のように、官僚無しでは予算編成さえできなかった民主党政権は2012年の総選挙で大敗しました。その時に、すべての省庁人事を官邸が主導するという国家公務員法の改正を行っています。つまり、いま野党がしきりに問題視している安倍政権の国家公務員の定年延長人事は、もともと彼らが目指していたものだったという、お得意のブーメラン再現となっているわけです。
    頭のいい官僚たちは、省益と自身の天下りや接待利権などを死守しながら政治家を操る、これが可能なのは、多くの政治家が元タレントや世襲議員だとかの無学で政策立案能力のない素人集団だという点にあり、官僚の知恵や協力無くして政権運営さえままならないからです。
    そんなタイトル通りの「ムラ社会」官僚の世界を、婚活事情や官舎での夫人外交の実態などから私的に展望したのが本書です。(なお、本書の中でガソリーヌ山尾氏に憧れる女性官僚の話もでてくる)
    官僚と言えど、狭き門の国家公務員採用一種試験に受からなければ出世コースとは言えず、さらに配属先によってはキャリア官僚とさえみなされない(一流なのは大蔵、外務、警察、通産などで、国税や特許などの外局配属では一種試験合格者でさえキャリアと呼ばれないらしい)。さらに、官僚は大きく事務官と技官(テクノクラート)にわかれ、当時は技官が次官ポストにつけるのは国交省と文科省のみという不遇な状況が続いていたようです。(今は、変わったのかな?)
    できれば、自民党政権下での閣僚の実態に迫った第2弾を期待したいものです。

  • 官僚の出世の構造、キャリア官僚内部の格差の構造、官舎内の人間模様など、キャリア官僚を中心にその実態が綴られている。
    キャリア官僚という集団内部に視点をおいても、官庁間の格差や、生まれた環境による"セレブ官僚""苦学系官僚"などの分類、もちろんであるがキャリアとノンキャリアの出世の格差など…。
    どの世界にも必ず存在するヒエラルキーを感じた。
    人がどこに帰属しようが、そこには必ず格差や階層があると思う。
    人は一人では生きていけない。
    必ず何らかの集団に帰属しなければならない。
    ジレンマ…
    "折り合い"は、生き永らえるための必須スキルかも。

  • 民主党政権になったあとの官僚たちのお話しが私生活も含めて書かれている、官僚を知るには女性の筆者からの視点が他の視線と違って新鮮でした。
    また、官僚の妻たちや女性官僚など女性の視線での官僚たちとの関わり合いや、なぜ歴代の官僚がある特殊な女性たちと閨閥をつくり生きてきたか、そして今、その流れが変わって来つつある現状での弊害のような物など官僚世界を様々な視線から書かれているのがおもしろおかしく読み進めることが出来た。
    官僚も人間。そして官僚の妻たちも。
    さてこの国はこれからどんな官僚たちに動かされていくのでしょうかね?

  • 官僚村生活白書 / 横田由美子 / 2012.6.29(23/102)
     優秀な官僚とは、政治家にご説明を重ねて彼らに転がされているように見せかけながら、実は転がす側にたち、省益や局益のための法案の草稿をつくり、最大の決戦地である、部下を通過させる者。
     麻生政権末期、官僚批判。盲導犬を叩くようなもの。我々官僚がどれほど骨身を削ってお世話したと思っているのだ。
     非常勤職員:昔は縁故。金には困らない良家のお嬢様。公募の採用が増えたことで質が変容。戦犯は長妻厚生大臣。
     霞が関では、お金には変えられない経験と人脈を築くことができる。金銭的に余裕があり、外見的にも能力的にも質の高い女性を取り続けて、非常勤をブランド化させなければ、非常勤のクオリティーも人材の質も下がる一方。
     外交官に愛人がいるのは当たり前。一流外交官は取材にきた記者を愛人にする。情報を取りに来た相手を寝返らせ、自分に都合のよい情報を流す。二流は、省内の部下を愛人にする。三流は非常勤に手つけて結婚。どんなに顔や性格がよくても、何のメリットもない結婚。
     庶民外交官夫妻が厳格に守られてきた外交官夫人たちの風紀や秩序を乱れさせているだけではなく、破壊しかけている。
     官舎:夫が表で生きている世界と表裏一体。
     優秀な官僚が「俺たちは市役所や県庁の職員のような単なる実務屋ではない」と官僚としての職に見切りをつけて、霞が関を去っていけば、国力の低下につながる。
     天下りという将来のニンジンはなくなり、給与カットと人員削減から逃れようもない。だが、それはある意味まやかし。若いころから法案のドラフトを書き続けてきた彼らは法の抜け穴を探したり、作ったりという意味でも超秀才。
     表面的に仕組みを変えたところで、官僚村で脈々と受け継がれてきたしきたりと精神を根本から変えない限り、霞が関は決して変わらない。官僚たちは、アメーバのように巧みに姿を変えながら、確実に彼らの生きる場所を見つける天才。
     米国のように二大政党が確立されてなく、それぞれシンクタンクを持っているわけでもない日本は、官僚機構を巧みに使う以外に政治も行政も円滑に進められない。

  • ほとんど著者による官僚への取材のみを元にして書かれた本ですが、あまりに浅薄な分析と描写が続き、最後まで読むことはなさそうです。のっけから、小中高トップクラスであったのに国家公務委員試験で1位でなかったことに挫折を味わったというようなエピソードが出てくるのですが、事実であったとしてもこれが例外的であることなど誰にでも判ることです。東大法学部に進学するような人物であれば、少なくとも高校生になればほぼ確実に全国規模の模擬試験を受けているはずですが、そのような模試で常にトップをとる人はほとんどいません。もちろん複数回の模試を受けて、全国でも一度も2位以下に落ちたことのない人が存在する可能性は否定しませんが、しかしこれは非常に例外的であって、このような人物をさも典型例のように示す書き方には着いていくことができません。また、キャリア官僚を指して、「彼らほど勉強熱心で努力を厭わない人種はいない」と、比較の対象もなく(一番ということなので他のすべてと比較しなければなりませんが)断定してしまっているのも理解できません。その他官僚の発言内容の解釈なども、著者の思い込みによって歪められていると感じます。全体的に、もっと多量の具体例を示したうえで、数量データなども提示しないと、ほとんど説得力を持たない記述であるとの印象を拭えません。

  • 日本の超エリートが集う、霞が関の官庁街。

    小学校から神童と呼ばれ、常にトップクラスを走り、東大へ入学。

    国家公務員Ⅰ種に合格し、キャリア官僚となる人たち。

    そしてその妻同士の世界。

    婚活に悩む若手官僚。

    凡人は決して入り込むことができない世界の裏側が、丁寧に描かれており、とても興味深い。

  • この人が書く物はいつも目線がいやしい。

  • 官僚の中にキャリア官僚とノンキャリア官僚がいることすら、考えてみたことなかった(全員『エリート』と括ってました)ので、官僚の中の格差がわかって興味深い本でした。
    特に外務省。閨閥という言葉がこんなに重い社会が、今の世に、それも公務員の中にあるなんて、驚きです。

    やんごとなき出自の刀自たちが、経験と実家の財力、知力体力精神力のすべてをかけて夫である外交官の仕事を支え、自分が国を支える役割を果たしたと自負している。
    なのに、自分の出世を捨てて女性外交官を支える夫は出てこないのですね。
    日本の未来はキビシイと思わざるを得ません。

  • 2010/07/21、ベルビー赤坂の旭屋書店で読んでみたら、意外とよく書けている。

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著者プロフィール

ルポライター、ジャーナリスト

「2015年 『なぜ名門女子校の卒業生は、「ひと味」違うのか!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

横田由美子の作品

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