よるのふくらみ

著者 :
  • 新潮社
3.82
  • (79)
  • (212)
  • (129)
  • (10)
  • (2)
本棚登録 : 1196
レビュー : 179
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103259244

作品紹介・あらすじ

その体温が、凍った心を溶かしていく。29歳のみひろは、同じ商店街で育った幼なじみの圭祐と一緒に暮らして2年になる。もうずっと、セックスをしていない。焦燥感で開いた心の穴に、圭祐の弟の裕太が突然飛び込んできて……。『ふがいない僕は空を見た』の感動再び! オトナ思春期な三人の複雑な気持ちが行き違う、エンタメ界最注目の作家が贈る切ない恋愛長篇。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • ありていに言えば陳腐な話である。
    一人の女性と彼女を好きになった兄弟の三角関係の話なんて少女漫画かメロドラマみたい。
    とはいえ、使い古されたストーリーを窪美澄が描くとどうなるか。

    “「血の通った」とはよく言われる言葉ですが、
    それをここまで体現する作家は、まれだと思います。”

    これは本の帯に書かれている西加奈子さんの文章。
    まさにその通りで、窪さんの描く世界は圧倒的なリアルで胸に迫る。
    生身の人間が傷ついたり傷つけたり恋したり欲情したり・・・。
    どうにもならない人間臭さに登場人物の全員にあますところなく共感してしまった。

    この物語の核とも言える“セックスレス”。
    私の知人にもこれが原因で離婚した人がいる。
    結婚してから一度もないなんてどういう事よ!と当時は妻の立場になり大憤慨。
    でも今自分が歳を取ったせいもあるかもしれないが、この小説を読み改めて圭祐の立場になって考えると、考えがぐらぐら。
    EDで離婚された男ほど辛いものないんじゃないかと。

    でも、夫婦の形は人それぞれ。他人がとやかく言うもんじゃない。
    改めてそんな風に感じさせてくれた小説だった。

    前回の短編集でちょっとがっかり感はあったけれど、この作品はよかった。
    ドロドロしているだけじゃなく、読後感爽やかな窪さんの小説が戻ってきて嬉しくなった。

  • 窪美澄さん作品を読むのは2作目。連作短編集。想像以上にとても良かったです!対照的な兄と弟で同じ女性を好きになり、皆、切ない想いやなかなか言えない想いを抱えています。それぞれの視点で描かれていき、皆の気持ちが良くわかり、読みながらいろんな登場人物の気持ちになり、共感できるところがありました。色々な出来事があり、一体どうなるのかなと気になり、あっという間に読んでしまいました!窪さん、本当にいいですね☆心や性の事など描くの上手いです。本音で兄弟で話すシーンは泣けました。終わり方もとても良く、お気に入りです♪

  • 小さい棘が、知らないうちに心に刺さっていたような気分。読み終わって、晴れ晴れするわけでもないし、むしろ落ち込んでしまっている。土下座をしてまででも好きな人を手放したくなかったこと、ずっと好きだった人が忘れられないこと、誰かに負けること、全部全部がわたしの心を痛める。
    途中で、みひろと裕太が腕を組んでスキップしたという描写があって、それが一番好きだったという、、、
    全体的に心苦しかったけれど、みんなちゃんと道を進むのだなあと思いました。わたしもちゃんと進みたい

  • 理性と感情、心と体はシンクロしない。自分はこの作品の登場人物ではあきらかに圭ちゃん気質なので、読んでいてちょっと辛かった。

  • 章ごとに語り部が変わり、それによってそれぞれの本当の感情が明らかになる。
    人と人との結びつきは心だけでも、体だけでもうまくいかない。
    好きな人に求めてもらえない
    好きな人を抱くことができない
    女の人にも性欲がある、その当たり前のようでみんなが避けることを描いていて、とても面白い作品でした。

  • どうしようもない遣る瀬無さ、後悔、でも最後にはほんのりとした救い。こういう小説が最近多いような気がする。時代の求めるところなんだろうか。

  • ある年齢を過ぎると、してない、ということが人には言えない秘密になる。
    言う機会なんてないのだが、それでも秘密を抱えている重い気持ちになる。

  • 窪美澄の書くままならない人たちがもがく姿が好きだ。

  • 商店街で育った3人の男女。
    兄弟の圭祐と裕太、近所に住むみひろの恋愛模様。
    各章が、それぞれの目線で書かれ、ストリーが進んでいく。
    それぞれの想いがつぶさに語られ、それがとっても切ない。
    誰も悪くない。
    なるべくしてなった。
    そんな感じ。


    著者の本は2冊目。
    前回読んだ「水やりはいつも深夜だけど」よりも、こっちの方がずっとずっと良かった。
    作風が、窪さんらしいとのレビューがあったので、他にもいろいろ読んでみたい。

    もしかしたら、最近読んだ本の中で一番好きかもなので、また読み返してみようかなと思ってます。

  • 久しぶりの5つ星、窪さん。

    朝方目が覚めて、二度寝ができなくて
    ぱらぱら開き始めたら、
    あっという間に引き込まれて
    数時間で一気に読了。

    だれもかれもが抱える不安と、やさしさが
    痛いほど伝わってきて。
    ああ、よるべのない感情だなあ、
    私はこの気持ちに
    どう出口を見つければいいのかなあ、と
    浮かべながら読んでいました。

    窪さんは性描写が多いので
    作品によって得手不得手が明確に分かれますが、
    窪さんが苦手な人にも
    読んでほしい作品です。

    もう一度ページを開きたい。

全179件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

窪美澄(くぼ・みすみ)
1965年東京都稲城市生まれ。カリタス女子高等学校卒業。短大中退後、広告制作会社勤務を経て、出産後フリーランスの編集ライターとして働く。2009年「ミクマリ」で第8回R-18文学賞大賞を受賞し小説家デビュー。
2011年、受賞作収録の『ふがいない僕は空を見た』(新潮社)で第24回山本周五郎賞受賞、第8回本屋大賞第2位。同作はタナダユキ監督により映画化され、第37回トロント国際映画祭に出品。2012年、『晴天の迷いクジラ』で第3回山田風太郎賞受賞。2018年『じっと手を見る』で直木賞初のノミネート。

よるのふくらみのその他の作品

窪美澄の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

よるのふくらみに関連するまとめ

よるのふくらみを本棚に登録しているひと

ツイートする