「白紙召集」で散る: 軍属たちのガダルカナル戦記

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103261216

作品紹介・あらすじ

昭和17年、国家総動員法により土木部隊として徴用された2,500名あまりの若者たち。彼ら「海軍設営隊」の任務は、ガダルカナル島において飛行場を建設することだった-。無防備のまま米軍の猛攻を受けた後、補給路を断たれた密林で餓死、病死により壊滅した彼らの軌跡。その凄絶な彷徨を、生き残った者たちの証言と、死に直面しながらも綴られていた日記をもとに辿る。軍属の目から捉え直した戦記。

感想・レビュー・書評

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  •  とても興味深く読ませて貰ひました。

     ガタルカナル島の戦ひで今まで殆ど注目されてゐなかった飛行場設営に関はった軍属にスポットライトをあててのノンフィクションでありました。抑々、私はガタルカナル島の戦ひのアウトラインも十分理解できてゐない者として、一からガタルカナル島の戦ひの輪郭を丁寧に教へていただいたやうであり、とても有難い限りでした。

     笹氏は、所謂戦記玄人ライターとは異なり、戦後世代として戦争を瞠(みつ)め直さうといふ在り方のライターで、かみしめかみしめ反芻するやうに書き進める姿勢に大いに共感するものがありました。 

     ガタルカナル島の敗戦が戦後日本につながってゐるといふ指摘は、確かに頷かされました。通読して思ったのは、ガタルカナル島の戦ひが日本軍の無様な敗戦の歴史だったとは言へ、史実を客観的に追ってゐる中で、日本軍は異常な対応をし続けてゐただけでなく、それなりの奮闘と努力を積み重ねて戦ってゐたといふ事実があったといふ事でした。それは、私にとっては新しい発見でさへありました。
     
     昭和十七年の夏から十八年の初頭の僅か半年の年月が日本にとって意味ある壮大な戦ひが軍人、軍属を問はず担はれてゐた現実をしっかと意識する事ができたひとときでありました。

    (千葉県在住 40代 男性)

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著者プロフィール

ジャーナリスト。昭和49年、神奈川県生まれ。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社勤務を経て独立。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』、『「白紙召集」で散る―軍属たちのガダルカナル戦記』などがある。

「2015年 『沖縄戦 二十四歳の大隊長』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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