- Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103275169
感想・レビュー・書評
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何気なく図書館で手にとった本。
藤圭子さんにインタビューをしたときの話だった。
それも随分昔の話のハズなのに、全然古臭くない。今、自分も一緒に話を聞いている気がするほど。
芸能界の話題にさして興味があるわけではないが、スルスルと最後まで一気に読めた。
素晴らしい文章力。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
先日自殺した藤圭子。彼女が引退を決意した直後のインタビュー。その当時は封印され、藤圭子だけに贈られたものが、今回、出版された。会話だけで構成されたノンフィクション。そこには「精神を病み、永年奇矯な行動を繰り返したあげく投身自殺をした女性」
というイメージはない。旅芸人の娘として育つ極貧の少女時代。流しを経てプロ歌手となり頂点を極める。ここに描かれている藤圭子は純真で前向き、真っ直ぐで潔癖な性格。その後の結末を思うとちょっと悲しい…。 -
これは、恋の話って読めば読むほど思う。それをわかって欲しくて出版したのかな?
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プロフェッショナル
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沢木耕太郎さんの本だということで読み始めた
会話だけで綴られる
藤圭子の内面が綴られる
流行歌手でよくテレビで見てた
歌も歌った
子供心に綺麗だけど孤独そうな人だなあなんて見てた
沢木耕太郎さんの人間味がいいな
≪ ながれぼし きらめいて落ち 花一輪 ≫ -
沢木耕太郎が引退当時の藤圭子にしたインタビュー集。
出版時期の問題も気になり、宇多田氏の批判などを知っていたので、いまいちのめり込めなかったが、あの時代の雰囲気などが懐かしい。
五木の「涙の河をふり返れ」とTVの中のが私の知る藤圭子だったが、新しく知った話が沢山。
割とたんたんとしている藤圭子が真実味を感じさせた。 -
読ませる。実に。
筆者の口調が当たり前なのだが本人そのもので、異常なリアリティを感じさせる。構成の妙にもずずんと来るものがある。 -
沢木耕太郎が28歳の藤圭子にインタビューした時の会話のみで構成されたドキュメンタリー。
非業の死を遂げた天才歌手で宇多田ヒカルの母。晩年の不可解な行動からは考えられない芯の通った魅力的な女性像が浮かび上がって来る。
田舎から家族のために上京した美しいハスキーボイスの娘が芸能界に翻弄されて行く様は痛々しい。 -
沢木耕太郎が藤圭子に30年前にインタビューしたものを書籍化しているもの。すべて会話文で生の藤圭子の人柄を浮き出させている。
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純粋だからこその極端、極端だからこその光芒、光芒を強烈にはなつからこその消滅。まさに藤圭子という星が引退という手段で天上から大気圏に突入し流星となった夜の記録です。70年代の少年だった自分には、少年マガジンに連載されていた「巨人の星」で主人公の飛雄馬がキックの沢村忠、演歌の藤圭子とともにスター千一夜に出るというくだりがあって(まさに、梶原一騎的!)強烈に覚えているのですが、奇しくもその三人が一瞬の輝きで消えていくキャスティングであることに高度経済成長直後の擾乱を感じます。その後、宇多田ヒカルというスターを生みますが、今度は自死という形で流星のように地上に激突。まさに「流星ひとり」。著者が題名を「インタヴュー」から変更したことは、自らが発案した地の文のないインタヴューという手法より、インタヴューした客体に魅入られたというラブレターなのかもしれません。ホテルニューオータニ、ウオッカ・トニック、引退するポップスター、新進気鋭のノンフィクション作家、そして、グラスの杯毎に章立てられる構成、ノンフィクションというより恋愛小説。スペインのマラガのワインの話なんかしたら、絶対、女の子、沢木さんのこと好きになっちゃうよ。ズルいよ、沢木耕太郎。それを、わかっていたからこそ封印したこの作品を死後、出版するのもズルい気もする。でも亡くなった後、病気文脈で語られる藤圭子像に、ちょっと待った!言いたくなったのかも…