- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103275213
作品紹介・あらすじ
つばめのように軽やかに。人生も旅も――。沢木耕太郎、初の国内旅エッセイ。旅のバイブル『深夜特急』で世界を縦横無尽に歩いた沢木耕太郎。そのはじめての旅は16歳の時、行き先は東北だった。あの頃のようにもっと自由に、気ままに日本を歩いてみたい。この国を、この土地を、ただ歩きたいから歩いてみようか……。JR東日本の新幹線車内誌「トランヴェール」で好評を博した連載が遂に単行本化!
感想・レビュー・書評
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沢木耕太郎さんの日本国内の旅エッセイをまとめたもの。もとは、JR東日本車内誌「トランヴェール」の連載だという。
この間、蔵前さんの『失われた旅を求めて』を読んだときに、沢木さんを思い出して読みたくなり、まだ読んでない旅行記を借りてきたのだ。
沢木さんの旅行記を読んだのは久々だが、沢木さんの文章、感性、旅への姿勢…、つくづく好きだなぁと思う。もう10年以上前になるけど、いまだに、旅行記の中で一番記憶に強く残っているのは沢木さんの深夜特急なのですよ。あのとき私は確かに影響を受けたのだわ。
一つ一つは短いエッセイで、行き先も色々なのだけど、多いのは東北の旅。沢木さんの一人旅の原点は、16歳のときの12日間の東北一周の旅だったという。
所持金3000円と均一周遊券というチケットを手に、登山用の小さなリュックサックを背負い、夜行列車を宿にして、気に入った名前の土地に向かったそうだ。
50年を経て、再び東北に向かう列車の中で、16歳のときに行けなかった龍飛崎の展望台で、過去を述懐する。
うきうき楽しい旅行記ではなく、終始しみじみとした感慨深さ、味わい深さがある。
今はまだ外で手を繋いでくれる息子らもいずれ尖った思春期を迎え、「うっせぇよババァ!」とか言って家を出たりするのだろうが(妄想で泣ける)、盗んだバイクで走り出すのでなくて、沢木さんみたいにバックパック背負って一人旅に出てほしいなぁ笑詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
<筆>
やはり沢木耕太郎が練って書いてしっかりと推敲された文章は面白い。
先日まで読んでいた沢木の本が,しゃべりっ放しの「対談集」でしかもまとめて4冊も出てきたので僕はかなり食傷気味だった。
その対談のなかでたまさか沢木が云っていた。「とにかく何度も推敲する・・・そして私の場合は推敲すればするほど文章は良くなる・・・」その通りであろう。僕らの様な素人感想書きでも何度か読み直してから投稿すればそうしないより良くなるのだから。
また一冊1700円もした先の対談集に比べて本書『旅のつばくろ』は小さくて薄くて軽くて1000円ととても良い好い嬉しい!
(余談ですw)
この本の前に読んでいた浅田次郎『流人道中記(上/下)』の旅の目的地「三厩」がこの『旅のつばくろ』にも出てきて感慨深かった。そして本作と並行して次に読んでいる『ペスト』の作者アルバート・カミュまでもがこの作品には載っている.なぜか僕の読書リレーには偶然のこういう繋がりが何度もある。 -
深夜特急の前の高校生の時の旅、
過去行きそびれた場所への旅、
沢木耕太郎のエッセイの文章は読みやすく、
心にしみるし、気持ちが良い。 -
旅のエッセイ。「深夜特急」以来の好きな作家の1人です。今回の旅は、著者若い頃のスリリングな海外旅行とは違って、気ままな国内(東日本中心)旅行。十六歳の時の12日間の東北1周旅行―それが著者の旅の原点であり、半世紀を経てその旅を辿りつつ、これまでの人生を振り返る。著者は「自分は旅運が良い」と言う。旅先で予期しないことが起きたとき、それを楽しむことができるからではないか…。「旅の長者」になるためには、「面白がる精神」が必要という。外出自粛で、しばらく旅に出ていない人も多いのでは? (私もその一人)。旅行の代わりにこのエッセイ集を読んでみるのもいいかも…!
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初の国内旅行エッセイ。JR東のトランヴェール;新幹線に乗るとシートのポケットに挟まってるあの冊子、に連載したものをまとめたって。どれも数ページの話だが、さすが!頭にスーッと文書が入ってくる快感はこの人ならでは。読んでるとだんだん旅に行きたくなる、この時期に読むとヤバい本。おすすめしたいが薦めない。
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沢木耕太郎氏の初の国内旅エッセイという
触れ込みです。
深夜特急の印象が強いゆえに、国内モノは
どうなのかなあ、と思う読者が多いからこ
ういう引き文句になったのでしょう。
と言いましても、行った場所を「あそこは
こうだった。ああだった」と単に描写する
だけではありません。
当たり前ですよね。
「なぜそこに行くことになったのか」「そ
こに行ったことが、自分をどう変えたのか」
などに主題が置かれ、「ああやっぱり沢木
耕太郎の文章だなあ」とある意味安心感を
抱きます。
旅情を誘う内容というより、「旅をする時
はもっとその時の自分の内面と向き合うこ
とも大切なのだな」と感情を動かされる一
冊です。 -
新たな年のツバメが飛ぶようになってから読了。
『深夜特急』ではユーラシア大陸の旅を
読ませてくれた作者が
国内の旅をまとめたということで
こちらも読者を旅に出たくさせる。
日本での内容だから
小旅行のような楽しさがある。
今は国内旅行もしにくいから
いつの日か以前のように
楽しい旅ができるようになってほしい。
その時は所謂「旅行」という形にしたい。 -
沢木耕太郎の本は、常々読んでみたいと思っていたが、これまでに読んだのは「凍」の一冊のみ。でも本棚には、「深夜特急1」「旅する力」「テロルの決算」「危機の宰相」「檀」「キャパの十字架」が並んでいる。
私には、良い本を見つけた時に、今買っておかないと、生涯この本と再び出合う機会がないのではと思ってしまう強迫観念にいつも襲われ、ついつい本を買ってしまう。
その結果が、膨大な積読状態が発生し、壁の作り付けの本棚だけでは足りなくなって、新しい本棚が必要となってくる悪循環に陥っている。
昨今のように読書量が落ちてくると、処分しようとは思っているのだが・・・
この本は、新聞広告に出ていた日に、本屋さんでたまたま遭遇したので、買った次第です。
これまでの反省もあり、積読ではなく、買ってすぐに読み始めた。
内容は、JR東日本が発行している「トランヴェール」という旅の雑誌に掲載された旅のエッセイの中から41編を纏めたものである。
旅の行き先は「遊佐(山形)」「築館町」「盛岡」「奥多摩」「箱根」「小淵沢」「輪島」「龍飛岬」「蟹田」「三内丸山」等。
旅の途中に出会った人との交流や過去の経緯で訪れた土地での思い出等々が、1つが5ページ程にまとめられており、しかもこの著者らしく端正な文章なので、寝る前に軽く読むのに適している。
能登の輪島では、白米(しろよね)の棚田まで足を延ばした時に、香港からのカップルと出合う。著者は彼らに「中国本土の龍勝の棚田の方が、規模も壮大で、同じ棚田ならそちらの方が良いのではないかと訊ねたら、二人は口々にこう言った。自分たちも龍勝の棚田には行ったことがある。しかし、良く手入れされているこの白米の棚田により心を動かされる。そして、こんなことも言っていた。以前は中国本土にも旅行していたが、最近は日本にしか来ない。日本を旅行していると、心が落ち着くのだ、と。」
・・・等々、出会った人々との心温まる交流が随所に散りばめられている。
肩の凝らない本として、一読をお勧めします。 -
20200425 読んで、旅に出たくなった。なんだろう。読んで共感できる事が多く、自分も同じような気持ちを体感したい。と思う。が、時期が悪かった。コロナ騒動が落ち着いたら反動で予約も大変かもしれないがとりあえずは小海線沿線に出かけてみるつもり。
著者プロフィール
沢木耕太郎の作品





