硝子の葦

Kindle版

β運用中です。
もし違うアイテムのリンクの場合はヘルプセンターへお問い合わせください

  • 新潮社 (2010年9月30日発売)
3.40
  • (13)
  • (56)
  • (59)
  • (19)
  • (2)
本棚登録 : 324
感想 : 51
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784103277217

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「ラブレス」がとても面白かったので読んでみた。「ラブレス」程ではないけれど上等なエンタメ作品。ラストの展開も息をのんだ。是非映像化させてほしいと思う。厚岸、釧路、帯広の景色に溶け込むミステリアスな主人公、節子の姿を見てみたい。
    この作品では常軌を逸した女性ばかりが登場するが、それぞれの名前が、節子、律子、倫子っていうのも皮肉。
    他の作品も読んでみたい。

  • この方の作品何作か読んでますが、こちらを最初に読んでいたらその後
    この方の作品手にとらなかったかもしれません。
    主人公の人物像がどうも突飛に感じられて想像できなくて、なかなか最初は話に入れず難儀しました。

    途中から「そうかこれはミステリーだったんだな」と気づいてからやっと話に入れるように。そして突飛だと感じた主人公の境遇も「なるほどこうじゃなければこの話にはならないんだな」と納得。
    読み終わってみれば「そうだったのか!」という仕掛けもあり、ミステリー仕立てながらテーマとしてはその後の作品と一貫しています。

    今著者の作品を新しいものから古いものへと遡って読んでいます。
    逆からたどる著者の成長を楽しむのも乙です。

  • 湿原に凛と硝子の葦立ちて洞【うつろ】さらさら砂流れたり
     桜木紫乃

     連作短編集「ホテルローヤル」で、第149回直木賞を受賞したばかりの作者。そのホテル名は、3年前刊行の長編「硝子の葦」にも登場していた。掲出歌は、「硝子の葦」の人物幸田節子が作った歌である。
     節子は30歳。夫の喜一郎は、親以上に年の離れたラブホテル経営者だ。「金と暇をやるから好きに生きてみろ」というプロポーズのままに、節子は3人目の妻として迎えられる。とはいえ、実は喜一郎と、節子の母とは長い愛人関係にあった。
     しばらくは無風の結婚生活が過ぎてゆく。事務職も辞めて「暇」な節子は、地元の短歌の会に顔を出す。喜一郎は、掲出の釧路湿原の歌を気に入り、節子の歌集自費出版費用も惜しみなく出してくれる。ところが、そんな喜一郎が交通事故で意識不明になったことから、物語は急速な展開となるのだった。
     ジャンルとしては、クライムノベル(犯罪小説)など広義のミステリーなのだろうが、私は働く女性たちの群像劇として注目した。たとえば、ホテルの管理をとりしきる女性の、比類ない働きぶり。また、家族の介護を抱えつつ、会計事務所で目配り良く働く年配の独身女性。さらに、若き日に単身でスナックを開業した節子の母の生。誰もが、為すべき事としての仕事をこなしている。各人の生をおろそかにせず、丁寧に筆を進めた作者の思いも感じられた。
     スリリングな展開に心拍数を上げつつ、舞台である釧路、厚岸、帯広の四季の風景描写には心が和む、そんな緩急ある作品だ。

    (2013年9月29日掲載)

  • 母の愛人だった歳の離れた男と結婚した節子。
    趣味で詠んでいるいる短歌の、硝子の葦とは節子自身のことだろうか。
    そして自殺同然で事故を起こして意識のない夫は、さらさらと纏いつかない砂。
    虚無的な空気の中にも、生きるための狡さとたくましさが感じられる独特の雰囲気が面白かった。

  • 母親の長年の愛人と結婚した主人公
    夫の交通事故から生活は歪んでいく。

    家庭内暴力、児童虐待の家庭まで絡まって
    ラストまで一気に読ませてくれました。
    ラストは「やられた!」感たっぷり

    これはドラマで見たら面白いのかも・・・

  • すごく良かった。
    結末から始まって、女同士のなんとも言えないおもっ苦しい感情と共に事実がわかっていってよかった

  • 何だかんだで歳拾いましたw

    ってな事で、桜木紫乃の『硝子の葦』

    ホテルローヤルの前哨作なんかな?

    毎度の北海道を舞台にした人間模様。

    人の生きる目的、自分の生きる定義、他人の知らない生き様……。

    人生深いです。

    2018年45冊目

  • 釧路旅行が決まってからよみはじめた桜木紫乃。相変わらず硬質で緊迫感のある文章と、生真面目なストーリー展開。生真面目過ぎて、結末がよくわからなかった…。3.8

  • これはだいぶ好む人と苦手な人が分かれる話かもしれないですね。
    田舎の嫌なところを煮詰めた陰鬱な舞台と、何を考えてるか分からない主人公。そして、ドロドロの愛憎劇と嫌な女たち。登場人物の誰にも共感できない。何でこんな言動をとるかわからない人たちばかり。特に主人公の節子が徹頭徹尾、何考えてるか分からず、空虚なキャラクターで、物語の方向性が見えず読んでるこちらも灰色の世界に落ちていきそうでした。

    とにかく面白いという評判をよすがに頑張って読んだ。そうしたら後半に話が急展開して面白くなってきた。なので、つまらないと思ってもとりあえず読み切ったほうがいいです。物語の終わりはどう捉えるかはいろいろあるでしょうが、私はスッキリしたし、読んでよかった。見事なミステリーだと思う。

    ドラマ化したそうですが、ほんと映像化にぴったりな内容だよなあと思う。ただし、女性には辛い描写が多いので耐性がある人のみ。

  • スナックの爆発火災の現場から遺体で発見された節子は、母の愛人だった男の3番目の妻だった。…

    面白かったです。
    節子がなぜ遺体で発見されたのか、という話ですが、2週間の間にあった事件の真相が、節子を取り巻く複雑な環境と、短歌会の知り合いの謎めいた母娘との関係から、明らかになります。

    物語半ばでうっかり見てしまったwikiに、作品の中で巧妙に隠されていた真実があっさり書かれていて、あれ?これって…と、気づいてしまったという失敗をやらかしました。

    ネタバレなしで読んだら、真相がわかった時の気持ちは違っただろうなと残念に思います。

  • 厚岸の海岸を思い出す。

  • 2016.2.13予約
    2016.3.7

  • 自由にできるお金と時間を保証され、母親の愛人と結婚した女性が主人公。夫が事故で植物状態になると同時に、平穏な暮らしが崩れていく。

    母親に肉体的精神的に虐げられて育ったため、主人公は多くを望まず、目の前の雑事を淡々と受け流していく。同時に倫理観も薄く、結婚前からの男との関係も、精神の安定剤として欠かせない。
    望む前から諦め、鈍感になることでしか前に進めない女性は、すべてのことに対して深入りすることを嫌う。作者の小説にしばしば登場するタイプだ。

    主人公を始め、母親も夫も愛人も、短歌仲間も、誰一人として一般的な意味での「いい人」はいない。むしろ、イヤなやつばかりが登場する。
    感情移入できるタイプではないのに、抵抗なく受け入れ応援したくなるのは、私自身が年齢を重ねたこともあるけれど、何より作者の筆力に依るところが大きいと感じる。正当化しようとせず、共感を求めることもなく、突き放したように淡々と描いている低温の文章が、じわじわと染み込んでくるのだ。

    ひとつだけ、最後のシーンの読み取りに悩んだ。浅はかにも刑事に後をつけられていたし、残った遺骨を鑑定すればバレるから、バッドエンド。だとすると、写真を同封した手紙はそこまで意図していたのか。送れば愛人が来ることは予測できるし、でも主人公が捕まれば芋づる式に自分も…。うーん、ぱらぱらと読み返したけれど、明確な答えが出ないままで気になる。

  • 桜木紫乃の比較的初期の作品。

    オーラスの場面をどう解釈し、どう消化するかでこの作品の評価が分かれるのだろう。
    私としては終わり間際に期待してた余韻をぶち壊されたような気がして、イマイチ消化不良......その裏切り自体が、作者の一つの意図なのかもしれないが。

    まぁ、メインの殺人のネタは比較的早めに分かるし、終盤の再会も容易に想定できる展開であり、ミステリーとしては凡庸。

    それでもただ、作中で描かれる、有り体に言えば「陰鬱なるも力強い情念」を丹念に描き上げるところは彼女の真骨頂であり、それを堪能するだけでも十分に読むに値する作品だ。

  • 色のない世界って感じかな。
    設定とかはドロドロなんだけど
    淡々と世界は動いていく。

  • やや重め、設定も複雑。だけど進むごとにやめられなくなるような物語。節子よりも倫子、さらにまゆみのしたたかさが恐ろしい。打算だけではなくて、冷たいながら血の通った心情が伺える。それにしても自分の書いたものと心中とは、言い得て妙ということだろうか。

  • 良かった。
    話は暗かったけど。
    後半から冒頭に繋がって、思いがけないラスト。
    話の組み立て方が面白かった。
    『ホテルローヤル』より良かった。

  • 暴力描写が嫌。なーんか 嫌な読後感だった。ドラマ化の映像も 暴力シーンが嫌でまだ見終わってない。

  • hi2515さんのレポを読み、
    直木賞受賞作『ホテルローヤル』も読んでいたところから、
    読みたいと思った作品です。

    ラブホテルローヤルの経営者である夫をもつ主人公、節子。
    実は夫はもとは母の愛人でした。
    お金に困らない生活を手に入れた節子に対し、
    屈折した思いをいだく母はときどき、小遣いをねだりに来ます。
    節子が趣味としてやっていた歌の会で知り合った倫子という女性には
    夫が虐待をしている娘がいました。
    節子は偶然その事実を知り、
    なんとなく、倫子の家族と関わりを持つことになります。

    夫の浮気癖、実母に対する嫉妬と憎悪
    子供に虐待する親への敵対心
    そんなものが節子の日常生活に入り込み、
    やがて節子を、やるせない行動へと、追いこんでいきます。

    ホテルローヤルに関わる経営者の物語でした。
    ラブホテルとして利用され人間関係の裏を語り継いだ
    短編集の『ホテルローヤル』とはまた違い、
    ドロドロした女性心理を暴くサスペンスの長編作品でした。

    ここに登場する女性達は、幸せとは言い難い。
    こんなに暗い根っこのようなものを持っていて
    それでも日常生活を普通に送っているなんて・・・
    結構いるのでしょうか、こんな女性たち。

    作者は、ラブホテルを題材に扱うだけあって、
    暗い男女間のエピソードを紡いでいくのがうまいなあと
    率直に思いました。
    やはり・・・幸せなことに今の私には無縁の世界です。

    最後になりましたが、
    題名の『硝子の葦』は、節子が出した歌集のタイトルでした。

  • 『ラブレス』を読んで衝撃を受けたので、ほかの作品もちょこちょこ読んでいる桜木さん。自分の夫が元母の愛人という昼ドラさながらのドロドロ劇。登場人物の誰にも共感できなくて読んでてストレスが溜まってしまった…このひとの書く本は基本的に暗いなぁ。2013/115

全47件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

一九六五年釧路市生まれ。
裁判所職員を経て、二〇〇二年『雪虫』で第82回オール読物新人賞受賞。
著書に『風葬』(文藝春秋)、『氷平原』(文藝春秋)、『凍原』(小学館)、『恋肌』(角川書店)がある。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

桜木紫乃の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×