- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103277231
感想・レビュー・書評
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こういう人たち、いるよね~
これが普通の人詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
母の介護をする書道家、書道家を支える妻、成長できない妹の面倒を見る図書館長…
それぞれが闇を持っていてその闇に支えられている。
2014年5月29日 -
サスペンスではないのに、最初から何かに追い込まれていくような、ゆっくり深みにはまっていくような重い感じがしました。
思ってることを口にしない人たちの生き方、どこか諦めてしまっている生き方になぜか共感しました。
みんなが幸せになれればよかったのに。 -
祖母の死後、彼女がともに過ごしていた妹とともに暮らすことになった図書館長を務める兄。妹は知能的な問題があってひとりでは暮らせないが、彼女には稀有な書道の才能があった。そして、兄妹は書家の夫と養護教師の妻と知り合い、縁を深めていくが。
…というとても淡々とした流れで進むお話なのですが、しょっぱなのほうからどろりと固まった感情の膿のようなものが感じ取れるので、さらさらとは読めません。この4人だけでもドロドロとしだすのに、書家夫婦には介護の事情もはさまれてきて、さらに陰鬱とした雰囲気を高めます。
彼らは浮かんだ思慕や鬱積などの感情を声高に叫ぶのではなく、飲み込みつづけています。そのため、やりきれなさ、虚しさといったマイナスの感情を与えられつづけて読むほうにも枷が課せられた気分になるのですが、あくまで逃げずにまっとうに描かれる物語に、迫力を感じて読み進めさせられました。
終盤にとある事故が起こり、ラストではさらに悪意のこもった真実が炸裂するという、かなり救いのない終わり方ですが、だからこそまた印象に強く残りました。
彼ら彼女らがこの先どうやって生きていくのか。
やはり、悶々としながら這いつくばって生きていくのか。結局そうするしかないのが、人間なんだろうな、
なんて思わされたのでした。 -
夫婦の間、親子の間、恋人の間にも、言葉には出せない裏の感情があるんですね。
人は、思うがままに行動すれば、人間関係なんて直ぐ崩れてしまう。
スッキリしないラストだった。 -
指定管理の図書館で、若くして館長を務める、信輝、特殊な才能をもつ、妹の純香。そして、書道教室を営む秋津とその妻、伶子。四人の関係がいびつに歪んでいく。男女関係、家族関係などのいびつさに、この作家独特の釧路の寒さやどこかほの暗い感じが漂い、混じっている作品でした。特に、秋津とその母の行動は読み終わった後に鳥肌が立ちました。
指定管理の図書館で、若くして館長。そんな職種が小説に登場するとは、時代を感じました。 -
直木賞受賞の第一作との事。これからも楽しみです。
知能の遅れはあるが、書道には並外れた才能を持つ少女。彼女の周りの人々の人間臭さがその無垢さの為に際立っているようです。
湿気が多いという釧路の土地が、北海道という爽やかさを感じさせず、独特の暗さを演出しているようです。