盲目的な恋と友情

著者 :
  • 新潮社
3.46
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本棚登録 : 2546
レビュー : 408
  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103283225

作品紹介・あらすじ

これが、私の、復讐。私を見下したすべての男と、そして女への――。一人の美しい大学生の女と、その恋人の指揮者の男。そして彼女の親友の女。彼らは親密になるほどに、肥大した自意識に縛られ、嫉妬に狂わされていく。そう、女の美醜は女が決めるから――。恋に堕ちる愚かさと、恋から拒絶される屈辱感を、息苦しいまでに突きつける。醜さゆえ、美しさゆえの劣等感をあぶり出した、鬼気迫る書下し長編。

感想・レビュー・書評

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  • 読んでいて軽い既視感。
    なんだかこの話、朝井リョウの「スペードの3」に似てない?
    女性の尋常じゃない自意識だとかスクールカーストのトラウマだとか。
    今この手のテーマが若手の作家の間の流行りなのか。
    ブラックな感じも共通してて作者を伏せて読んだらどっちがどっちだか分からないかも(笑)
    お二人の作家は同期で仲良しらしいから影響されあってるのかな?

    でもね、正直個性が感じられなかった。
    私が辻村さんの作品をほとんど読んでないせいもあるのかもしれないけれど・・・。
    女性独特の心理を巧みに描写しつつもミステリーに仕上げるってのが彼女の特徴なのか。
    この作品以外に読んだことあるのは「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」
    これも巷の評価ほど感心しなくてずっと辻村さんから遠ざかっていたけれど今回たまたま手に取ってみた。
    またしても外れちゃったみたい。

    これぞ、辻村!!と言う作品を読まないと。
    以前にブクログ仲間さんにお勧めいただいた本があったはずだな。
    まずはそれを読まないと始まらないか。
    若い作家さんの小説に入り込めないのはもしかしたら自分の年齢のせいかなとも思うけれど。
    どうなんだろう。認めたくないけど・・・。

    • koshoujiさん
      こんにちは。
      辻村さんの作品では、
      「名前探しの放課後」「スロウハイツの神様」のどちらかを是非読んでみてください。
      全く違う”白辻村”...
      こんにちは。
      辻村さんの作品では、
      「名前探しの放課後」「スロウハイツの神様」のどちらかを是非読んでみてください。
      全く違う”白辻村”のハッピーエンドを堪能できると思います。
      「名前探し」を読む場合には、先に「ぼくのメジャースプーン」を読んでおいた方が良いかもしれませんが。
      2014/07/17
    • vilureefさん
      koshoujiさん、こんにちは。

      お勧めありがとうございます。
      辻村さんの作品てリンクしているものが多いみたいですね。
      ファンに...
      koshoujiさん、こんにちは。

      お勧めありがとうございます。
      辻村さんの作品てリンクしているものが多いみたいですね。
      ファンにはたまらないですよね(*^_^*)
      「スロウハイツの神様」が気になっているので今度チャレンジしてみますね♪

      “白辻村”“黒辻村”って言い方、良いですね。
      今度は白辻村を堪能します!
      2014/07/18
  • 盲目的な恋と、盲目的な友情。
    美しい女子大生の初めての恋が燃え上がるが‥

    一瀬蘭花は女子高から私立大学に進みます。
    音大ではないけれど、百人を擁するオケ部で、第一バイオリンのメンバーに入りました。
    指揮者は若手のプロがやって来ることになっていて、指揮者は誰とでも選び放題で付き合えるという話は聞いていたのです。
    そんな指揮者でしかもかなりの美形な茂実星近と2年の秋になって蘭花は付き合い始め、あれこれありつつも5年という異例の長さで恋人として続きます。だがそれは‥

    恋に積極的な美波は、初心者だがオケ仲間でもあり、蘭花の親友でした。
    1年生の頃は美波は蘭花のことを、初恋どころか思春期もまだのようだと言っていたりして。
    そんな美波のことを嫌う傘沼留利絵は、群を抜いてバイオリンが上手い。
    痩せていて生真面目で、化粧っ気もない。
    素直な蘭花は、教育熱心な家庭に育った共通点を感じ、演奏会などの話も面白くて気が合うと感じていました。

    世間知らずな蘭花の一人称で語られる出来事。
    初めての恋に縛られ、他の女性の存在に衝撃を受けたり、相手が崩れていっても別れられない。
    ありそうではあるけど、どこかでどうにかならなかったのかと、もどかしい。
    良い面も不幸を招いてしまい、生かされなかった‥
    美しさが災い?

    留利絵の一人称で語られるパートはもっと怖くて、そうなった事情に気の毒さはあるが‥なんとも歪んだ考え方。
    盲目的な友情って‥そういうことだったのかと思うと、恋のパートもさらに怖くなってくる‥?
    人柄のいい男性が一人も出てこなかったような‥
    こうなるしかなかったような書き方で、鮮烈な印象はあるし、なめらかで、わかりやすいけど‥
    後味は悪いですね(苦笑)
    これはホラー?
    普通に成長していると思った女の子が一歩間違えばこうなりかねない、なりますよ~というブラックな味です。
    嫌ミス的な意地の悪さ?‥というほどでもないかなぁ‥こういうのも書けますよ、っていう印象でした。

  • さあ、どっちだ、どっちだ??
    最後に感動の涙を流させてくれる講談社路線か?
    はたまた、じめじめとした女の嫌らしさを描いた文藝春秋路線か?
    といっても、これは実際には新潮社の発行物だけどね------。

    ということで読み始めた辻村深月の書き下ろし最新作。

    冒頭
    あの人が死んでしまったら、とても生きていけないと思った、あの幸せの絶頂の一日から六年が経ち、あの人は死んでしまったのに、私は、まだ、生きている。

    大学のオーケストラに定期的に指導にやってくる指揮者たち。
    彼らは女子大生の憧れの的であり、団員の誰とでも付き合える別格の存在だった。
    なかでも、元タカラジェンヌの娘蘭花の前に現れた茂実星近は完璧な外見を擁していた。
    主人公蘭花と茂実の盲目的な恋、蘭花の周りを彩る留利絵と美波との複雑な友人関係。
    登場人物が個性的で、しかも内面のドロドロというよりも、それを遥かに超えたズブズブの底なし沼のような感性の描き方が、まるで湊かなえの作品であるかのような感覚を覚えた。

    作者辻村深月自身の言によれば、最近の作品は“”白辻村“と黒辻村”があるという。
    デビュー当時から、ベタでもハッピーエンドを書き続けると言っていた作品群は白辻村、最近の、女性の内面をどこまでも深く描く、私にしてみれば読後感のあまり良くない作品群は黒辻村のようだ。
    この作品は明らかに黒辻村。
    だから、読み終わって、がっかりでした。
    私が彼女に求めているのは、あくまでも前半は様々な伏線を張り巡らせ、終盤見事にそれを回収して感動の涙を流させてくれる白辻村作品だからだ。

    ということで、驚愕のラスト、異性への恋と同性との友情の並列的比較という問題提起で話としては面白かったのだが(さらには装丁も素敵だった)、彼女に期待していた作品ではないので、評価は3。
    今年はデビュー十周年記念ということで、あと二冊今年中に発刊されるらしいので、できればどちらも白辻村作品であることを心の底から願うばかりだ。
    “スロウハイツ”や“名前探し”を超える作品の誕生を期待したい。

    でも、辻村さん自身の作品に向かう考え方が変わってきているようなので、あれ以上の感動に再遇するのはもう無理なのかもしれん。
    人間って十年で全く変わってしまうんだね。悲しい。

  • 女の恋と友情。
    これは小説なので、かなり特異で耽美的で、登場人物も現実離れしていて、偏執的で、盲目的なのだけど。
    それでもヒヤリと心を撫でられたような現実的な表現があって、知らぬうちに彼女たちに共感して引き込まれてしまいました。

    勿論わざとミスリードするように書いてあるんでしょうけど、二視点からの書き分けはなかなか面白い。
    まぁ、ラストの展開より、二人の感情の過程や表に出さない部分が面白いんだけどねー。

    盲目的に恋に溺れる美少女、蘭花と、盲目的に親友という関係に執着する地味女、留利絵。
    美波ちゃんが一番普通だったね。
    物語の中では、蘭花がけっこう好きだなと思う。

  • 前半「恋」。完全に共依存な関係。ダメ男に耽溺する主人公。甘美な時期は瞬く間に過ぎ去り、熟れすぎて腐りゆく果実のようなぐちゃぐちゃな関係に。

    恋愛に対して純粋すぎて免疫がほとんどなかったことが、このような関係に陥った要因なのでしょうか…

    後半「友情」。こちらは友人関係に溺れる女の子が主人公。自分がこの人の一番でありたい。ある種の独占欲。

    対象の性別は違っても、相手を思う気持ちが強すぎて、行き過ぎて、一線を超えてしまう二人はとても良く似ていると思います。

    冷静に、客観的に見ると常軌を逸している二人ですが、純粋で真面目で融通が利かない不器用さが招いた結果かもしれなくて、そう思うと二人に哀れみを感じ、悲しい気持ちになってきました。

    いわゆる“黒辻村”作品で、気持ち悪さすら感じる内容でしたが、不思議とページをめくる手を止められず… 不気味でおぞましい印象ですが、どこか美しさすら感じる読後感でした。

  • 黒辻村、大好き。白じゃなくてこんなのを、もっともっと描いてほしいなー。映像化するなら、茂美=高橋一生、蘭花=小松菜奈、留利絵=安藤サクラ。脳内キャスティングは完璧。

  • 傘沼留利絵と一瀬蘭花は学生オケでバイオリンのパートを受け持つが,指揮者の茂美星近が現れて話が展開する.オケ仲間には嫌味な美波がおり,さざ波を立てる.若い女性の生態が克明に描写されており楽しめたが,恋愛感情の縺れなどもあり,やや複雑な感覚も持った.最終的には,落ち目なった茂美が橋から転落して死亡するが,留利絵と欄花の感情の揺れが面白かった.

  • 美しく、人気者で、聡明なあの子。
    自分に無いものをたくさんもっていて、キラキラした世界に住むあの子。

    そんなあの子の1番になることで、わたしは自分の人生を豊かにできる。

    だから
    私の側から離れるなんて、そんなことさせない…

    男女の愛憎をエサにして、女友達の愛憎を描き切った傑作。

    愛と狂気は表裏一体。

  • 黒い。黒辻村深月作品だった。2回読ませる手法は、AパートとBパートから同一時期を描くという形で、あからさまとはいえ楽しんでしまった。
    るりえ、ものすごく歪んでいるのに、その思考をちょっと正しいように感じさせてしまうところが、相変わらずうまいなぁと。

  • ヒグチユウコさんの装画がとにかく可愛くて装丁買い。初めて読む辻村深月がこれなのはあまり正しくない気はするけどまあいいや。中身は恋パートと友情パートで語り手がチェンジする二部構成になっていて、どちらもタイトル通り「盲目的」。

    大学のオーケストラに所属する蘭花が、イケメン指揮者の茂実星近という男と恋に落ちるも、実はこいつがとんだダメンズでさんざんな目に合わされ、しかしうまいこと死んでくれたおかげで別の人と結婚するまでが蘭花視点の「恋」。「友情」のほうでは、蘭花と同じ第一バイオリンの友人・留利絵視点で、基本的には同じストーリーが繰り返されるのだけれど、茂実の死の真相がこちらで明かされるサスペンス仕立て。

    蘭花は大変な美人なのだけれど、本人はその点に自覚が薄いのか無頓着なのか「恋」ではあまりその点について語られていない。ただただ、うっかりダメンズに引っかかってしまった大学生の女の子の、それでもそのダメ男を諦めきれないダメな恋愛のお話でしかない。

    怖いのは、圧倒的に留利絵の「友情」のほう。容姿に劣等感を持ち、美しい姉と比べられ、しかしその姉が美貌ゆえにある不幸を引き当ててしまうことすら内心羨んでしまうほど劣等感が複雑骨折した留利絵のキャラは大変つらい。恋愛ではなく友情に依存してゆく彼女の心理をこれでもかというエピソードの積み重ねで描写されていて、嫌なんだけど上手いんだなあこれが。

    そこそこ可愛くて軽くて合コンばかりしていて最終的にかなり良い男をゲットする美波というもう一人の蘭花の「親友」がいるのだけれど、彼女のキャラ設定も配置も絶妙。留利絵は美波をライバル視し大変憎悪するけれど、本当に友人にすべきは美波のように偏見もなくバランス感覚の良い子のほうだろう。留利絵は悪意にしか受け止めないけれど、読者には美波が留利絵を思いやる行動をとっていることが伝わるし、花火のとこで出てきた男の子も、留利絵はバカにされた、と被害妄想に陥ったようだけど、もしかしてあの男子は留利絵に好意を抱いているから照れ隠しでとった行動だったのでは?と私は思ったので、つまり結局、留利絵自身の被害妄想体質が、いつまでも彼女を劣等感から抜け出せない元凶だろう。自分を変えるという発想が彼女にはない。

    そして友情の名のもとに留利絵は蘭花に依存したわけだけれど、留利絵がいなくても、茂実というクズ男に恋した時点で蘭花の結末は同じだっただろうし、「感謝」という「見返り」を求めた時点で留利絵の蘭花に対する友情も底が見えていた。読後の後味は大変悪いのだけど、エピソードの構成やキャラ配置が絶妙で非常に巧いので感心してしまい、それほど不快と思わなかったのは救い。

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著者プロフィール

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞などをそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞などを受賞し、2019年6月からコミック化される。他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。2020年、河瀬直美監督により『朝が来る』が映画化される。

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