ツナグ 想い人の心得

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 795
レビュー : 39
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103283232

作品紹介・あらすじ

もう一度だけ亡くなったあの人に会えるとしたら、あなたは何を伝えますか? 死者との再会を叶える使者「ツナグ」。長年務めを果たした最愛の祖母から歩美は使者としての役目を引き継いだ。7年経ち、社会人になった彼の元を訪れる依頼者たちは、誰にも言えぬ想いを胸に秘めていた――。後悔を抱えて生きる人々の心を繫ぐ、使者の物語。シリーズ累計100万部の大ベストセラー、9年ぶりの待望の続刊!

感想・レビュー・書評

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  • あぁやられた。出だしから使い古されたやり口にいとも簡単に引っかかる...。杏奈と歩美の軽妙な遣り取りがこの作品に新風を吹き込んでいて面白い。そこと死者との対比が妙味となっている。「母の心得」と「想い人の心得」で号泣。また前作が読みたくなったし、続編も忘れた頃に出して欲しい。歩美と奈緒のその後を夢想...。
    「直接話したり、実際に会うことが叶わなくても、人には、時としてわかることがある。その人が残したものの端々から、聞くよりも雄弁に伝わり、感じ取れることがある」
    「幸せでしたけど、それでも、誰一人、あなたのいない人生でよかったと思った者はいませんよ」

  • どの章も読んでて目頭があつくなる。

  • 読んで初っ端もう歩に孫か娘が出来たのかとびっくりした。
    1話目からやってくれます辻村さん!
    全作でとても気がかりだった嵐ちゃんの話が出たり、誰もが思う歴史上の人物と会うのはどうなるのだろうかと言う興味本位な再会も書かれていたり、再会を必要としない案件があったり…
    どれをとっても心にジンとくるお話ばかり。
    ジンときすぎて電車で読むのは危険なのでやめた方がいいかも。

  • 前作が素晴らしい作品だったので、続きが読めてとても嬉しい。主人公の歩美が成長した事もあり、全体を通して依頼者にしっかり向き合う感じがよかった。死者との邂逅という重いテーマなのだが、真摯に生きている依頼者の、想っていた人に会えた後の清々しい姿に気持ちが救われる気がする。是非第三弾も描いて欲しい。


  • 回復の物語。

    前作の依頼者の多くが対象喪失の危機の只中にあったのに対し、今作ではどちらかというと喪失から一定程度の時間または距離を置けている依頼者が多かった。

    即ち、前作が「急性期」の物語であったならば今作は「回復期」、「慢性期」或いは「寛解期」の物語だと感じる。

    オープニングとなるプロポーズの心得では、他者を愛することについて、父親不在の男性が主人公となる。彼は、自らの人生における父親不在の感情は彼の葛藤を形成しているがどうやらそれを受容できていたようだ。
    しかし、誰かを愛するに先立って、偶然にもツナグによって葛藤は再度処理された。こうして、彼は次の場所へと繋がった。

    繋がったのはプロポーズだけでなく、前作とも完璧な繋がりを見せているところは圧巻でもある。

    歴史学者の心得ではこれまでにない依頼者が現れる。
    実際には歴史学者ではなく郷土史家なのではないかとツッコミたくもなるが、彼のアイデンティティは歴史学者なのであろう。このアイデンティティを否定してしまうと彼の人生は破綻してしまうだろうから。
    アイデンティティといえばE.エリクソン的な老年期の危機である。自分の人生に意味はあったのだろうか、という危機であり、統合へ至るか絶望へ至るかの最後の段階でもある。
    そして、自らがその危機の只中にあることは自身でよく理解できていたようだった。なぜなら『鮫川は、愚鈍ではないからだ』(p.109)

    母の心得でも同様に、対象喪失から時間を経た2人の母と2人の長女の物語である。時間の経過によって、それぞれが前に進もうとする前に、そして前に進んだ後に、娘に再会する。どちらも急性期を過ぎた後にどう生きるか、喪った者としてどのように次へ進むかを考える。

    そして、唯一の急性期の物語であるのが一人娘の心得である。この急性期をどう乗り越え、次にツナグのか。
    これが思い人の心得へと、そして5つの物語が完璧に繋がる。

    そして、これらの物語の季節は冬に始まり、春に終わる。

    生きてるうちに何度季節が巡るだろうか、などと考える。誰かを喪っても季節は巡り、次の場所へ向かってゆく。

    ツナグは決して死者の物語ではなく、生者の回復の物語であり、残された者の人生をいかにツナグかを支える使命なのだろうかと考え、震えてしまう。

  • 前作を読み返してから続編に臨みました。
    前作から9年。
    物語の中でも7年の月日が流れておりました。

    前作では使者への依頼者目線で話が進み、
    最後の章で使者の人となりが明かされる形でしたが、
    今作は使者の歩美を中心として
    歩美自身の葛藤や成長がしっかり描かれています。

    亡くなってしまった人とはもう会えなくても、
    あの人だったらこんな風に言うかなと想いを馳せ、
    心の中に指針を持つことは私たちにも出来る。
    歩美もまた、会うだけが全てじゃないんだと
    とある女性から学んだようでした。

    物語はまだ続きそうな終わり方でした。
    是非またさらに成長した歩美と、
    今回特別に存在感を放っていた秋山家当主の杏奈の
    その後の姿がまた見られることを楽しみにしています。

  •  久々に読む辻村深月さんの作品は、9年ぶりとなる『ツナグ』の続編である。生者と死者を繋ぐというツナグの役目や、ルールについては覚えていたけれども、細かい内容までは思い出せない。作中の人物も、年齢を重ねているようだが。

     簡単にルールに触れておく。ツナグは生者からの依頼を死者に伝えるが、面談の機会は、生者と死者、双方にとって一度限り。死者には面談を断る権利もある。また、依頼は死者の側からはできない。そして本作では、こんなルールも判明した。

     「プロポーズの心得」。最初から、代理の依頼というひねった設定。しかし、本人以外からの依頼は受け付けないと告げられた。さて、俳優の彼はどうしたか。自分だったら会いたいと思うかわからない。すっかり忘れていたこの件に、アフターフォローがあるとは。

     「歴史研究の心得」。これも初めてのパターンか。歴史上の人物に会いたいというが、相手は知る人ぞ知る無名の人物だった。後世に語られる歴史なんてこんなもんか。ある意味裏切られた依頼人だが、こういう人生も悪くない気がしてくる。

     やや重い「母の心得」。それぞれに娘を亡くした、2人の母。形は違えど、辛さに上下はない。ツナグに縋ることで、前を向ければ。誰だって最初から自信はない。読み終えて素直に温かい気分になれる、シリーズの王道的な1編。

     「一人娘の心得」。ツナグにも日常生活があり、働いている。ある日、仕事関係で突然の悲劇に直面する。ツナグだって普通の人間であり、悩みもするし、無力に苛まれるときもある。越権行為とわかってはいるが…。この結末にはやられたな。

     最後にこれまた変則的な「想い人の心得」。何度も断られているという依頼人。それでも40年以上依頼を続け、85歳になっていた。デジタルネイティブには、この律義さ、一途さの理由はわかるまい。自分にもわからなかったが。

     9年前といえば、SNS文化の黎明期だっただろうか。自分を含め、今ではすっかり依存症である。そんな現代でも、ツナグを必要をする人は、必ずいる。たまにはスマホを置いて、読んでみてはいかが。辻村さんに感謝したい。

  • 待望の続編。
    使者を引き継ぎ、7年が経過したところから物語が始まる。
    歩美は、使者としても、会社員としても、少しずつ成長していく感じがした。
    特にツナグは、タイプが似ていても全く同じではなく、その都度悩みながら、進んでいく。
    この1冊を通しても少しずつ成長している気がした。
    秋山家の当主、杏奈は将来どんな子になるのだろう。
    そして、ラストの続きがとても楽しみです。
    共に成長し会えるパートナーになるといいな。

    『同じ時代に生きられるということは、尊いことです』の一文が心に沁みました。

  • ツナグ想い人の心得
    著作者:辻村深月
    (新潮社)
    社会人になった彼の元を訪れる。いらっしゃったたちは、誰にも言えぬ想いを胸に秘めていた。
    タイムライン
    https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698

  • 辻村さんの最新作ということで購入。

    前作の「ツナグ」の続編ということで、主人公は高校生から社会人に成長していました。今回の作品は全5章からなる連作短編集です。
    第1章 プロポーズの心得
    第2章 歴史研究の心得
    第3章 母の心得
    第4章 一人娘の心得
    第5章 想い人の心得

    第1章を読むだけで、一気に物語の世界観に浸れました。いよいよ使者の登場か?と思いきや、少女が使者として、登場しました。何故?そのへんのネタバレは、第1章の終盤に明かされます。また、わかる人にはわかるサプライズが待っていて、ちょっと興奮してしまいました。
    「え?あっ、あーー」と思わずWikipediaで検索してしまいました。なぜそう思ったかは、ぜひ読んでみてください。第1章読んだだけでも満足感がありました。
    一つの章につき約60ページくらいですので、読みやすいかと思います。文章も読みやすいので、想像しやすいのではと思います。
    今回は、ミステリー色は特にないものの、明るいタッチは健在で、むしろヒューマンドラマやラブストーリー色が強かったです。
    さらに印象としては、段々と読むにつれて、主人公が大人になるだけでなく、話の内容もちょっと大人っぽい仕上がりになっている感じがしました。特に第5章は、上質な小説を読んでいるような感覚で、大人な雰囲気を醸し出していました。どの章も明るい話で、泣いた後のスッキリとした感覚に浸れました。

    ぜひ、NHKでドラマ化してほしいなと思いました。その時のメインゲストを勝手に想像しながら読んでいました。
    第1章 高杉真宙さん
    第2章 伊東四朗さん
    第3章 木村多江さん 岸恵子さん
    第4章 松岡茉優さん
    第5章 笹野高史さん

    前作を読んでいない人は、Wikiなどで予備知識を得てから読むと、より楽しめるかと思います。

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著者プロフィール

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞などをそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞などを受賞し、2019年6月からコミック化される。他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。2020年、河瀬直美監督により『朝が来る』が映画化される。

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