流跡

著者 :
  • 新潮社
3.15
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本棚登録 : 489
レビュー : 98
  • Amazon.co.jp ・本 (102ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103284611

作品紹介・あらすじ

第20回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を最年少で受賞した大型新人の鮮烈なデビュー作。

感想・レビュー・書評

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  • 序盤に書かれていることがそのまんま
    それがこの作品の事だと思った。

    ここではないけどここ
    そこではないけどそこ
    今ではないけど今で
    ないけどあるし
    あるけどない
    季節は春だったり梅雨だったり。


    引き込まれて読み終えてから
    …ここはどこだろう…と思った。

    伝わりにくいと思うけど、こんな感じ。
    表紙にうっすらと金魚のシルエットがある。
    金魚の描写もある。
    イメージは「つみきのいえ」みたいな感じ
    …かな…と思っていました。
    が、サカナクションの「グッドバイ」のような…。


    常に流れつつけて、変化し続ける
    言葉の多様性が生々しい。
    言葉は生きてる、そして死もあるんだ。

    常に流れ形を変え続けるもの=文字・言葉の世界
    言葉って“水”に似ていると
    この作品を読んで思った。

    書かれていることが分からない(難しい)けど
    言葉の使い方が流れるようにきれいでぞくっとする。
    意味が分からないけど、ついつい読んでしまう
    不快感はなくって、気持ちいいとか思う
    クセになる不思議な読み心地。
    何度も読むときっといいと思う。

  • すごいなぁ。「きことわ」も素直にすごい、と思ったけどデビュー作のこっちもすごい。文才の化け物みたいな人だな。

  • 小説と見るなら、否が応にも読み進めたいという気持ちを駆動させるものがない。(散文)詩と見るなら、なんか、緩い。この、どっちつかずな感じに馴染めず、4ページほどで読むのをやめた。『きことわ」は面白かったんだけどなあ・・・

  • 本日読了。

    文字がほどけ、
    糸水となり流れ出す、
    感情だとか情景だとか欲望だとか観念だとか気候だとか音だとか、
    言葉に表すことのできるあらゆるものたちの文字が。

    誰でもない、
    男ですら、
    女ですら、
    私ですらない透明な者が、
    その流れに身をゆだね、
    上から下に、
    下から上に、
    ただただ、
    たゆたう。

    その「流跡」をなぞり、
    浮かび上がった(もしくは沈み込んだ)ものたちを、
    再び言葉に戻し、
    編み上げた物語。

    それは、
    紙片とインクでできた奥付のある本で始まり、
    パソコンのモニター上で終わる(実際には終わらないが)。

    文学の衰退、
    ましてや死が、
    ただの幻でしかないことを、
    静静と謳う。

  • 朝吹氏の、ことばに対する誠意のようなものがうかがえる作品だと感じた。

    デビュー作には作家の全てが詰まっている、という話はよくある。『きことわ』で朝吹氏を知り、その後『流跡』を読んだ私は、まさにその通りだと思った。

    個人的には、『きことわ』よりもことばの流れが朴訥としていて好感が持てる。
    ただ、小説としての物語内容までもがどこかへ流れていってしまうのではないだろうか、と感じさせられる危うさもある。常に動き続け、小説の枠外へはみ出てしまいたいと願う物語世界がそこにある。

    置き去りにされた枠組みと、枠組みから流れ去った世界。その生々しい流跡が確かに感じられる作品だと思った。

  • 「きことわ」は、淡い色の水彩画を何重にも合成して動かした映像のようだったが、こちらはモノクロの一筆書きが動く無声のアニメーション、波の音や川の音のBGM付きというイメージ。
    読んでいる本の文字が崩れて、線となり形を作って、男となり、女となり、昔を生き、現在を生き、最後に作者のパソコンの文字に戻り、また、崩壊する。
    人も生きては死に、焼かれて煙となり水となり、空気になり、人になり、また、煙になる。
    豊富な語彙が目に見える映像以上に世界観を映し出している。

  • 書くということへの態度や実際、そして顛末への描写はとても良かった。ただ途中の内容は川上弘美的な幻想譚を近世にして、そこへ現代を注入したような感じ。ひとやひとでないものを丹念に描こうとしている、その気迫は感じられるが、書いていく間に文字は溶けるのと同じことで、読んでいる間にもう忘れてしまった。

  • なんだろう、これ。とても好きな感じの文章。
    たかだか読書の描写に延々かける冒頭から引き込まれて、川のようにどんどん流されて、すとんとつながる最後に心地よくなる。
    湿度が高いのにサラッとしていて、リズムのいい文体がどうも古文を読んでいるようで不思議な読み心地だなあ、と思ったら著者は近世歌舞伎を専門としている方でした。なんとなく納得。

  • 図書館おすすめコーナー。流れるような文章だが読みづらい…。なにも残らない。
    内容(「BOOK」データベースより)
    第20回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を最年少で受賞した大型新人の鮮烈なデビュー作。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    朝吹 真理子
    1984年、東京生まれ。慶應義塾大学前期博士課程在籍(近世歌舞伎)。2009年9月、デビュー作「流跡」を、2010年8月、新作「きことわ」を発表。同年9月、「流跡」で堀江敏幸氏選考によるドゥマゴ文学賞を最年少受賞。『流跡』が初めての著書となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 堀江敏幸さんが選んだ今年度の第20回「ドゥマゴ文学賞」受賞作品ということで話題を呼んだもの。そこそこのルックスと現役の大学院生という売りに加えて、詩人や仏文翻訳など華麗なる文学一家という背景もあって一層の話題を提供している。で、この作品だけれど、古めかしい言葉を多用していながら語るべき内容は曖昧模糊。読み始めてすぐに頭痛を起こしてしまいそうだった。冒頭の一行に「…結局一頁として読み進められないまま、もう何日も何日も、同じ本を目が追う。」とあるけれど、まさにこの本がそれ。上滑りで、自己陶酔したかのような作品で、残念ながら好きになれない。

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著者プロフィール

朝吹 真理子(あさぶき まりこ)
1984年、東京生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科国文学専攻前期博士課程修了。「流跡」でBunkamuraドゥマゴ文学賞を史上最年少で受賞。「きことわ」で芥川賞受賞。

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