流跡

著者 :
  • 新潮社
3.15
  • (23)
  • (40)
  • (58)
  • (27)
  • (17)
本棚登録 : 492
レビュー : 98
  • Amazon.co.jp ・本 (102ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103284611

作品紹介・あらすじ

第20回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を最年少で受賞した大型新人の鮮烈なデビュー作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 序盤に書かれていることがそのまんま
    それがこの作品の事だと思った。

    ここではないけどここ
    そこではないけどそこ
    今ではないけど今で
    ないけどあるし
    あるけどない
    季節は春だったり梅雨だったり。


    引き込まれて読み終えてから
    …ここはどこだろう…と思った。

    伝わりにくいと思うけど、こんな感じ。
    表紙にうっすらと金魚のシルエットがある。
    金魚の描写もある。
    イメージは「つみきのいえ」みたいな感じ
    …かな…と思っていました。
    が、サカナクションの「グッドバイ」のような…。


    常に流れつつけて、変化し続ける
    言葉の多様性が生々しい。
    言葉は生きてる、そして死もあるんだ。

    常に流れ形を変え続けるもの=文字・言葉の世界
    言葉って“水”に似ていると
    この作品を読んで思った。

    書かれていることが分からない(難しい)けど
    言葉の使い方が流れるようにきれいでぞくっとする。
    意味が分からないけど、ついつい読んでしまう
    不快感はなくって、気持ちいいとか思う
    クセになる不思議な読み心地。
    何度も読むときっといいと思う。

  • すごいなぁ。「きことわ」も素直にすごい、と思ったけどデビュー作のこっちもすごい。文才の化け物みたいな人だな。

  • 小説と見るなら、否が応にも読み進めたいという気持ちを駆動させるものがない。(散文)詩と見るなら、なんか、緩い。この、どっちつかずな感じに馴染めず、4ページほどで読むのをやめた。『きことわ」は面白かったんだけどなあ・・・

  • 本日読了。

    文字がほどけ、
    糸水となり流れ出す、
    感情だとか情景だとか欲望だとか観念だとか気候だとか音だとか、
    言葉に表すことのできるあらゆるものたちの文字が。

    誰でもない、
    男ですら、
    女ですら、
    私ですらない透明な者が、
    その流れに身をゆだね、
    上から下に、
    下から上に、
    ただただ、
    たゆたう。

    その「流跡」をなぞり、
    浮かび上がった(もしくは沈み込んだ)ものたちを、
    再び言葉に戻し、
    編み上げた物語。

    それは、
    紙片とインクでできた奥付のある本で始まり、
    パソコンのモニター上で終わる(実際には終わらないが)。

    文学の衰退、
    ましてや死が、
    ただの幻でしかないことを、
    静静と謳う。

  • 朝吹氏の、ことばに対する誠意のようなものがうかがえる作品だと感じた。

    デビュー作には作家の全てが詰まっている、という話はよくある。『きことわ』で朝吹氏を知り、その後『流跡』を読んだ私は、まさにその通りだと思った。

    個人的には、『きことわ』よりもことばの流れが朴訥としていて好感が持てる。
    ただ、小説としての物語内容までもがどこかへ流れていってしまうのではないだろうか、と感じさせられる危うさもある。常に動き続け、小説の枠外へはみ出てしまいたいと願う物語世界がそこにある。

    置き去りにされた枠組みと、枠組みから流れ去った世界。その生々しい流跡が確かに感じられる作品だと思った。

  • 「きことわ」は、淡い色の水彩画を何重にも合成して動かした映像のようだったが、こちらはモノクロの一筆書きが動く無声のアニメーション、波の音や川の音のBGM付きというイメージ。
    読んでいる本の文字が崩れて、線となり形を作って、男となり、女となり、昔を生き、現在を生き、最後に作者のパソコンの文字に戻り、また、崩壊する。
    人も生きては死に、焼かれて煙となり水となり、空気になり、人になり、また、煙になる。
    豊富な語彙が目に見える映像以上に世界観を映し出している。

  • 書くということへの態度や実際、そして顛末への描写はとても良かった。ただ途中の内容は川上弘美的な幻想譚を近世にして、そこへ現代を注入したような感じ。ひとやひとでないものを丹念に描こうとしている、その気迫は感じられるが、書いていく間に文字は溶けるのと同じことで、読んでいる間にもう忘れてしまった。

  • なんだろう、これ。とても好きな感じの文章。
    たかだか読書の描写に延々かける冒頭から引き込まれて、川のようにどんどん流されて、すとんとつながる最後に心地よくなる。
    湿度が高いのにサラッとしていて、リズムのいい文体がどうも古文を読んでいるようで不思議な読み心地だなあ、と思ったら著者は近世歌舞伎を専門としている方でした。なんとなく納得。

  • 図書館おすすめコーナー。流れるような文章だが読みづらい…。なにも残らない。
    内容(「BOOK」データベースより)
    第20回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を最年少で受賞した大型新人の鮮烈なデビュー作。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    朝吹 真理子
    1984年、東京生まれ。慶應義塾大学前期博士課程在籍(近世歌舞伎)。2009年9月、デビュー作「流跡」を、2010年8月、新作「きことわ」を発表。同年9月、「流跡」で堀江敏幸氏選考によるドゥマゴ文学賞を最年少受賞。『流跡』が初めての著書となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 堀江敏幸さんが選んだ今年度の第20回「ドゥマゴ文学賞」受賞作品ということで話題を呼んだもの。そこそこのルックスと現役の大学院生という売りに加えて、詩人や仏文翻訳など華麗なる文学一家という背景もあって一層の話題を提供している。で、この作品だけれど、古めかしい言葉を多用していながら語るべき内容は曖昧模糊。読み始めてすぐに頭痛を起こしてしまいそうだった。冒頭の一行に「…結局一頁として読み進められないまま、もう何日も何日も、同じ本を目が追う。」とあるけれど、まさにこの本がそれ。上滑りで、自己陶酔したかのような作品で、残念ながら好きになれない。

  • 文字がよめない。
    本が読めない。
    いったい どうなっているのだろうか。
    いっこうに 言葉が 咀嚼 できないままだ。
    いつの間にか、川に流されている。
    いつの間にか 踊っている。
    いつの間にか 家族がいて 子供がいて、
    子供の発音がおくれていることで 妻が心配し、激怒する。
    子供は アンパンマンしか言わない。
    煙になったオトコの骨は頑丈だった。
    そして、いつの間にか オンナになって 港にいた。
    点滅する青い字が 何かを語りかけているようだが、
    その意味さえわからず どこに行くのだろうか。

    確かに、流れている。
    私の外ではなく 私の中に。

  • 何、これ?

    もうその一言しかない

  • 最後の3ページ。途中で読むの止めなくて良かった。

    先日の「きことわ」読んでて楽しかったので初の書籍となるこの本をさっそく読みました。

    なるほどきことわが芥川賞受賞なのだな、という完成度に対して、荒削りというか、こちらの作品の方が好きなように書いている、という感じがしましたね。

    同年代を生きてきた人とは思えない。文字のチョイスがぶっ飛び過ぎてて、何をさす言葉なのかがわからないなあ、置いてかれるなあという気持ちがします。

    そして設定も漠としたもので、途中かなりのボリュームを割いて描かれる男のエピソードがね。去年車谷長吉やそれこそ芥川賞同時受賞の西村賢太読んじゃうと、どうも薄くて弱い。

    読むのやめようかなあと思いつつ全部で100ページだし、と思い読んでいくと最後の3ページで世界が躍動しますね。

    まるで前衛的な映像作家の短編動画を見ているかのように白い紙の上で文字がうねり、流れていきそこには流跡のみが残る。

    なるほど流跡だ。

    当作でドゥマゴ文学書受賞というのは納得なのであります。そして選者の堀江敏幸さんの先見性は的を射ていた、というわけですね。

    さて他の作品を、と思うとないのか!びっくり。

    待ちますかね。気長に。

  • ただ流れるままに。
    水面に落とされた一滴の墨汁はたちまち溶けて跡形もなく消えてゆくのか。
    ここでは、一文字になり、一節になり、一文になり、物語をかたちづくっている。そうして自由気ままに動き始めた言葉でできた人々が何者であるかを問うのは野暮なこと。ゆるやかに変奏を重ねる言葉の妙に浸る。そこに身をゆだねるのはとても心地がよい。文末に書かれた、あるいは打たれた「。」は、次の物語の冒頭の一文まであてどなく流れてゆくのだ。本を閉じてもとめどなく言葉が溢れ出てくる気配を感じる。
    美しい言葉の連なりが大好きな一冊。
    《2014.12.04》

  • 読むことついて語ることで始まった小説は、最後は書くことについてで終わるわけだけど、その間に展開される物語はとても難解だけど、明確な形みたいなものを避けていっている感覚があって、最初と最後の語りを象徴しているような気がしたなぁ・・・!やっぱり朝吹さん好き!

  • これが、現代の20代の女性作家の紡ぎ出す物語なのか。デビュー作にして既に他と一線を画す独特の世界観と文体。内容は難解。ただ文字を追うだけで内容は頭に入ってこない。でも嫌いじゃない。2011/540

  • 朝吹真理子「流跡」読了。言葉は綺麗だが、とらえどころがないというかつかみどころがないというか・・。
    =====第20回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を最年少で受賞した大型新人の鮮烈なデビュー作。

  •  本当に美しい、リズム感があり、流れるような心地よい文章である。秘密はひらがなの多用にあると思う。「実人生というのが幻のようにゆらいでいるのか、幻が実人生のようにゆらいでいるのか」(P87)、「書くことがひとたびも終わらない。ふたたびひとやひとでないもののものおもいやひしめきの微温がつらつらつづきはじめる。文字がとどまることをさけ、書き終わることから逃げてゆく。ひたすら押し流れてゆこうとする。はみだしてゆく。しかしどこへー。」(小説最後の4行)そして筋そのものも、流れるように変化していくように思われる。そうでありながら余韻が残る。なんとも不思議な魅力を湛えた小説である。

  • まさしく文学だなぁという小説。
    正直なところよくわからないし、惰性で文字を追っていた気もする。
    文章自体は美しいのだと思うが、見慣れない漢字や文字のひらき方のせいで、いかんせん読みづらい。
    ただ、それゆえに日本語ならではの小説だと感じた。

  • 作者が芥川賞受賞作「きことわ」の前に発表した作品。
    不思議な世界が繰りひろげられています。

    主人公はもともとは妻子がいる男らしいのですが、
    気づけば、舞人、船頭、文章の読み手、書き手 etc.
    妻と子供を殺した記憶も、事実か確信がありません。すべてが現実のようでもあり、すべてが妄想のようでもあります。

    時代や性別を越えて意識がするりと異なる次元を巡ります。

    雨の日の光景、友人が荼毘にふされた煙、植物繊維がはびこる湿地・・・・。目にしているものが自分の内面のようにも思えてきます。

    つらねられた言葉が、文章となって色や温度や質感を得て、つながりのなさそうの映像たちとなって文章から浮かびあがります。

    こうして浮かびあがった光景が、ふぅっと液体や気体となって、読み手の肌の毛穴から浸みこんで、体を、心を支配してきそうです。

    好き嫌いがはっきりわかれる作家のひとりかもしれません。

全98件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

朝吹 真理子(あさぶき まりこ)
1984年、東京生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科国文学専攻前期博士課程修了。「流跡」でBunkamuraドゥマゴ文学賞を史上最年少で受賞。「きことわ」で芥川賞受賞。

流跡のその他の作品

流跡 (新潮文庫) 文庫 流跡 (新潮文庫) 朝吹真理子

朝吹真理子の作品

流跡を本棚に登録しているひと

ツイートする