- Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103285113
作品紹介・あらすじ
ここに似たどこかで、僕たちに似た誰かに起きた"9つの奇跡"。爆笑問題・太田光、ついに小説家デビュー。
感想・レビュー・書評
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まだじぶんのスタイルがなかったのか色んな文章を試みているがいずれにも才能はかんじられる ほとんどの話が気持ちよくおわらないのが残念
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寓話。そして、太田光という芸人も寓話。
フィクションに時おり顔を出すフィクションとしての太田光。フィクションがフィクションを描き、そのフィクションに主張を込める。物語の中心に潜む感性が太田光の本質であり、小説に仮託して語る。
銀河鉄道の夜。ドラクエ。カート・ヴォネガット。講談、神田松之丞。太田光の世界観が成分として散りばめられる。芸へのこだわりを登場人物に仮託。マイナー志向、言いたい事を言うというスタンス。自己表現、自己主張、自己嫌悪。
実は太田光は嫌いではないのだが、しかし小説は、次々ページを巡りたくなる程の展開には感じず、残念。ハッキリ言うタイプの芸人としての偶像が、わざわざ、小説の登場人物に言わせるなら、これは回りくどくてつまらない。二つもフィクションを重ねず、世界観の中で、片方を主張しない作品であって欲しかった。ハッキリ言うと、小説を用いて芸術論を主張する行為が、主張そのものと矛盾している、という事だ。太田光の名前無しで勝負できるなら良いが、これなら、有名人のラーメン屋やアパレルみたいな、コマーシャル利用の産物に近い。 -
爆笑問題・太田さんの処女作ということで気になって読んでみました。
短編集という形態で文体や雰囲気など各お話ごとにがらっと変わり、太田さんの作家としての力を感じました。
内容について。「タイムカプセル」「冬の人形」「奇跡の雪」などは切なく美しい話でぐっときたのですが、「マボロシの鳥」については"語り"の部分で時折はさまれる主張が完全に太田さんのイメージと重なってしまい、お話の世界から現実世界へそのつど引き戻される感じがしてちょっと残念でした。そういう意味でメディアへの露出が多い方は小説を書く際に難しさがあるかな、と思います。
本格的な長編も読んでみたいですね、今後が楽しみです。 -
昔の絵本を読んでいるような雰囲気でした。
よくわかるような、わからないような。
いい話だったような、そうでもないような。
そこに、政治や宗教、文明に対する皮肉が織り交ぜられているところが太田さんらしいなと思ったり。 -
作者が芸人という事を考えず、作品だけの感想としてだが、面白くなかった。
短編集なのだが、どの作品も何が言いたいのかが分からなかった。作中であまり細かく描かず読者に想像を委ねるような感じもあるが、それであれば薄っぺらすぎる。
伏線を回収したり、大きなテーマが裏にあるとか、作品全体通して共通する何かがあるとかであればいいが何もなかった。
そしてそれぞれでの作品の語り口調がどれもハマっていないような気がした。
残念だが全体通して薄寒い内容だった。 -
独特なセンスを文字で表現させるとこうなるのだと、
良い点も悪い点も散りばめられている。
短編集ではあるが、
全く違う作風の小説を9本書いており、
同じ作者とは思えないほど。
評価は分かれるだろうが、
僕は好きです。 -
発売された頃たいへんな話題になっていて購入したものの、そのまま本棚に置きっぱなしでした。
色彩を感じる世界観、好きです。
美しいだけではない物語。著者が書きたかったこと、伝えたかったことが何となくわかるのは、日頃から彼の出演する番組を見ているから?
表題作はそこかしこに太田光さんを感じさせる言い回しが挟まれ、物語の世界が中断してしまうのが残念だった。
読み終えた後、『星の王子様』と『銀河鉄道の夜』をまた読みたくなったなあ。
カバー絵の美しいナイフはきっと…アザミのものなんだね。 -
荊の姫
タイムカプセル
人類諸君!
ネズミ
魔女
マボロシの鳥
冬の人形
奇跡の雪
地球発… -
爆笑問題 太田光の初の小説作品
ずっと前に文明の子を読んでいたからSFテイストが強めの作品かと思ったら,確かにその気はあるもののディストピアな色が濃く,憐憫に似た気持ちになった.
一つ一つが短編として物語が作られており,それぞれの世界観・書き方が異なっており面白かった.
太田光が芸人として振る舞う世界観とはまた別の(はたまたその延長線上の?)思想をくみ取れた気がして面白かった.
おそらく星新一に影響を受けたところもあるがほかにも別の作者にも色濃く影響を受けていそうでその脈絡を知りたくなった. -
今ポールに見えている世界には、もっと胸騒ぎがするような色が付いていたのです。ーーーー
過去と未来が地続きの物語が好きなので『タイムカプセル』が一番好き。
角田光代さんの帯コメにすごく共感した…。太田さん著という先入観はどうしても拭えなくて、太田さんの人となりというか考え方というか信じているもの美しいと思うものを感じ取るストーリーという読み方になってしまったのが悔しい。物語としては善良で、醜い(とされる)ものも排除しないところがサラサラと読めた。小説集より、絵本の方が相性良かったような気がする。マボロシの鳥のイラスト見てみたい。自分で想像するのも楽しいけども。装画がはちゃめちゃにカッコいいです…尖ってるのに丸い…まるで太田さんのようですね……(小並感)