月のさなぎ

  • 新潮社 (2010年11月19日発売)
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感想 : 71
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784103286219

感想・レビュー・書評

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  • 女の子の寄宿舎ファンタジーの世界でした。
    性別が未分化とされてた「月童子」だけれど、皆さん女子な気がしました……でも自分の望む性になるとは限らないのが切ない。
    最後が急ぎ足でしたが、自分たちが滅びるか、それとも世界を滅ぼすか…どちらも無い、は無理な気がしました。
    でも空も薄荷も小麦も、これからも強く生きていくんだろうなと思わされます。
    やっぱりファンタジーは苦手かも…時間がかかってしまいました。

  • 性別に関する特殊設定のせいで同性愛とも異性愛ともとれる不思議な雰囲気が癖になりました。
    将来が不安定な子供たちならではの心の底の不安や刹那的な想いが美しいと思っています。

  • かなり読むのが辛かった。キャラクターに魅力がないところが欠点だと思う。

  • 森に囲まれた学校、外界から隔離された世界で、十八歳前後になるまで性別の表れない子供達が寄り添い合い、信じ、悩み、憧れ、揺れ動いていく物語。

    なんとなく、全寮制の厳しく閉鎖されたカトリックの女子校の物語のようなイメージを抱いた。
    自分の心と体とは、必ずしも一致するとは限らない。自分という内側の存在と身体という外側の容れ物の性の関係性について考えさせられた物語だった。

    登場人物たちのそれぞれの関係性が切なくて美しかった。

  • 隔離された学園。
    未分化の子供たち。
    宗教的な儀式。
    寮生活。憧れの先輩。

    平和な学園生活におこる、事件。
    子供たち(月童子)が隔離されている本当の目的。

    性別はないけど、みんな少女っぽい。
    成長して、自分の想像したり望んだりしていた性別と異なってしまうって
    ショックだろうなぁ。
    全体の雰囲気が、とても好き。

  • 作者さんは萩尾望都や恩田陸のファンなのでは…
    と感じた。


    性別の確定しない子供達は「月童子」と呼ばれ、森の奥深くの場所で寄宿生活を送っている。

    18才に近づくと性が確定され、外の世界に戻っていく。

    ある日、ある侵入者によって、この閉ざされた世界の均衡が崩され、それがきっかけとなり、事件が起こる…
    自分の意志で性別を選べないのはせつない。
    美しい名前と容姿のの登場人物、不思議な世界観、事件の謎解き…色んな要素の詰まった作品です。
    最後はかけあし気味だったけど、一冊で終わらせる潔さもいいと思う。

    作者の情景描写の美しさは心ひかれました。

    私は好きですが、万人むけではなく、好みがわかれる作品かな?とも思った。

    あと、表紙の絵は周りでは不評でした…「コワイ」と手にしてもらえなかった(泣)

  • 無性の存在に惹きつけられる。
    次々と相手が死んで行くのも気持が良い典型的なパターン。
    恋する相手が自分のせいで。
    一方は自覚し、一方は知らないままで他の理由で自分のせいに思う。
    本には何かの衝動が足りない。

  • 数千人にひとりの確率で生まれてくる「月童子」は、18歳になるまで性別を持たず、成長してから男か女に変容する。
    そんな特異な体質の子どもたちは免疫力が弱いために樹海の奥深くにある学園に集められて暮らしている。その閉じられた密やかな空間に、外界から異物が侵入する。
    外界を怖れる小麦、逆に焦がれる薄荷、無関心の空。
    月童子や学園の謎が紐解かれる中で、3人はそれぞれ恋や友情に胸を震わせる。
    昔読んだ少女小説をどこか思わせる、少女性の高い物語だった。

  • 世界観は好きだったのだけど、慌てて風呂敷畳みましたーって感じを受けたのである。

  • 性別未分化の月童子たちが暮らす森の奥深くにある学園。
    美しい歌声、淡い恋心、性の変化への戸惑い、外部からの侵入者。
    ミステリアスな美しい学園の描写にうっとりしながら読み進めました。
    ラストが私には今ひとつでしたが、雰囲気は十二分に楽しめました。
    ただ性別未分化の子どもたちの学園とは言いながら、ほとんど女子校のような…。

    萩尾望都「11人いる!」と清水玲子「月の子」を連想。

  • 「愛する人が死んでも、目の前の幾つかの道が閉ざされても、残された道を歩いていかなければならない。泣いても泣いても、晴れやかに朝日は注ぐだろうから。自分達が生まれたのは、滅びるためでも滅ぼすためでもない。ただ、一人の人間として人生をまっとうするために、それだけのために生まれてきたはずなのだ。」

    本文よりp261

  • 幼い頃から隔離されて育つ「月童子」たちには性別がなく、18で性別を得ると「成人」したとしてこの学園を去っていく。月童子たちの憧れの対象である空と薄荷は、それぞれに恋を知り、「大人」になっていくのか……。感情がないかのようだが人形のように美しい空、ルームメイトとして空の面倒を見る薄荷は、美少年のようでその凛々しさに誰もが憧れている。
    とにかく流れるイメージが・情景が綺麗で、紺野キタさんにぜひともマンガ化してほしい!前半は性別のない月童子たちがわらわらしている学園の魅力にやられたけど、後半は恋に落ちて変わっていく薄荷と、薄荷とのつながりからあるものを得た空の物語にひきこまれました。こういう雰囲気が好きな人にはおすすめです。ミステリ的にはいまいちかもしれませんが……これ日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞だし。作者は別名義で前に作品を出したことがあるそうなので、読んでみようと思います。おすすめ!

  • 美しさ、残酷さ、清らかさ…

    一つ一つの言葉や描写が繊細に感じられて、とても好きな世界観。

  • 男女の違いというものを漠然と意識し始めるのは小学生くらい?かなぁと思うけど、更に進んで、恋愛とかそういう感情が芽生えるのって、自分の場合中学生くらい?いや、本気で意識し始めたのって大学くらい?って感じ。まぁ高校は男子校でそういうのなかったからなー。薔薇族が教室に置いてあったりしたけど。でもそういう意味では男女の違いが明確になるのは、15とか18くらいなのかも、なんて思う。今時は皆進んでるから違うのかもだけど、でもそんなお子ちゃまの恋愛は違うんやで!という意味じゃもっとどろどろしたのは30過ぎてからじゃねーか、なんても思う。
    そんな小童どもの恋愛模様を読んでいて、何故かイメージされるのは腐女子?ていうかそういう言葉のイメージだけ?かもだけども、そういうふんわりとしたイメージと、歌ったりするときの臨場感がなかなかに良かったのに、最後ドロドロしてきて、ああ、こんなんじゃなかったのに、腐女子だったのに、という騙された感。

  • これは面白いかも!
    ・・と思って読み始めたけど、ラストまできて、思ったほど盛り上がらず終わってしまった感が。何でだろ。
    作中劇とトンネルエピソードといきなり青酸カリ事件は、しっくりこなかったなー。
    設定は素敵な感じだったのにな。

    ファンタジーノベル大賞優秀賞作品だとか。納得。
    私、ファンタジーノベル大賞と波長が合うもんなw
    作者の他の作品も読んでみたい。

  •  久しぶりに美しい物語を読んだと思った。
     月童児が最終的にどこに落ち着くのか、彼らの世界は壊れるのか・・・など考える暇なく世界に引き込まれ一気に読んでしまった。
     歌の描写が美しく、昔歌っていた讃美歌や礼拝堂のことが思い出され、より鮮明に世界がうかんだ。
     面白かった。

  • 「月のさなぎ」石野晶◆成長するまで性別の決まらぬ月童子たち。訳あって隔離されている彼らの学園に、不穏な影が忍び寄る。終盤唐突に雰囲気が変わった感がありますが、性別が分からないために抱える葛藤や自由への憧れなど、特殊な設定が活かされており普通の耽美的な学園ミステリとは一味違った。

  • ファンタジー。設定もキャラクターも面白かった。劇の部分は必要だったのかな?

  • 性別が決まってないなんて不安定でたまらないだろうな……

  • 美しく花開く蝶へと夢見るさなぎ。カリッとその殻を破いて外の世界へ飛び立つそれは期待に胸膨らませているのか、それとも未知の不安に包まれているか。月童子と呼ばれ特殊な体質故に隔離される子供たち。成人するまで性の定まらない不安定さ、思春期の淡い恋の揺らめき、やがてその身体に宿す匂い立つような色香の美しさが繊細に丁寧に描かれており、幻想的でかつミステリ仕立てのとても好みの世界観。芽生える仄かな恋心から、色濃く湿度を帯びた愛を知った時の刹那さが痛々しく限りなく切ない。読み終えてなお離れがたい魅力に溢れた作品でした。(2010年12月読了)

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著者プロフィール

1978年生まれ。岩手県立伊保内高校を卒業後、2007年『パークチルドレン』(筆名:石野文香)で小学館文庫小説賞受賞。10年『月のさなぎ』で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞。他の著書に『生者の行進』がある。岩手県在住。

「2014年 『水光舎四季』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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