日本の身体

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103300137

作品紹介・あらすじ

使うほどに発見がある、私たちの身体――運用の達人12人との、名物対談集! 漫画、茶の湯、文楽からラグビー、大相撲、マタギまで、自らも能楽と合気道に親しむ著者が、日本独自の身体運用の達人たちと語り合い、それぞれの魅力を引き出す対話集。“身体の使い方は集団的に決定されており、日本人には固有の技法がある。が、そこには合理的な理由がある”―― 著者渾身の原稿「日本の身体仮説」も必読!

感想・レビュー・書評

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  • 問い
    ・日本人に固有の身体技法の特徴とはどのようなものか

    答え
    ・人間同士が互いを感じ合い、同調するという、共同体(的社会)ならではの身体の使い方は日本固有ではないか
    ・例えば、お茶における究極的な主客のあり方は、「賓主互換」とその対をなす「賓主歴然」という言葉で表す。同じものを食べ、同じものを飲み、臓器の活動や脈拍が同期していく時の体感は、凄まじい。傍らの人間に同期していって、共同の身体を成り立たせるのは、人間固有の生存戦略

    ・千宗谷:茶道家 五感全てを差し出し、その洗練を問う
    ・安田登:能楽師 張り詰めた沈黙。「コミ」で意志を通じ合わせる
    ・桐竹勘十郎:文楽人形遣い 虚の中心である「人形の体感」に同調する
    ・井上雄彦:漫画家 「描かれた武道書」
    ・多田宏:合気道家 命の力の高め方、保ち方、使い方の訓練法
    ・池上六朗:治療者 「一瞬前とは違う状態を作り出す」ことで治す
    ・鶴澤寛也:女流義太夫 伴奏ではなく、人物の内面や情景を描写する音
    ・中村明一:尺八奏者 静穏なまま、大量の呼気を瞬時にオペレートする
    ・安倍季昌:雅楽演奏家 「陛下」の祭祀の傍らに侍す
    ・松田哲博:元大相撲力士 稽古の基本は身体の機能が目覚める「しこ」
    ・工藤光治:マタギ 人だけのものだけではない山から恵みを授かって生きる
    ・平尾剛:スポーツ教育者 人間としての成熟が「愛情あるパス」をつなげる
      

  • それぞれにたいへん興味深い対談が綴られているが、身体的な所作などは、言葉で説明するのが困難である。できれば、これらの対談は映像で見たかった。

  • 日頃、あまり接点のない世界の達人のお話しが聞けて(読めて)参考になった。

  • もう☆5をつけたい。合気道してる人は是非読んでください。

  • 合気道 多田
    マタギ 工藤

  • 身体をめぐる異業種対談

  • 対談の相手のセレクトが面白い。茶道、文楽、雅楽、マタギの話が面白かった。特にマタギ。
    ・人形の臍の下(空洞)を安定させる(文楽)
    ・自分の身体じゃなく、人形の身体に共感する(文楽)
    ・実際の音を出さないで演奏する秘曲(雅楽)
    ・冬眠から出てきたときのクマが、胆のう・毛皮・肉が最高(マタギ)
    ・クマ送りの儀式/逆皮の儀式(マタギ)

  • 昨年の6月から読んでました。やっと読み終えた。
    内田先生が茶道家、文楽人形遣い、マタギ、スポーツ教育学者などの方々と、日本固有の身体感、身体の使い方について対談した内容をまとめたもの。
    で、翻って、日本の自然と文化と社会を身体という切り口から考えさせてくれます。とても面白い。
    借りて読んでましたが、文庫がでるなら買う。

  • プラス☆1つ。
    いやはや面白い。文字でこれだけ面白いなら、対談動画アップしてないかしら。DVDでもあれば買うなー。

  • 「日本人には日本人固有の身体観があり、それに基づく固有の身体技法がある」という内田先生の仮説を検証するための、日本的な身体技法に関わる様々な分野の人たちとの対談をまとめたもの。

    普段から内田先生と関わりの多そうな方から、マタギまで。
    特にマタギの話が興味深かったです。

    やはり鎌倉時代がキーポイントみたいです。
    そして日本の風土との関係も無視できない。

    その風土の価値をゼロカウントして進むグローバリゼーションには違和感を感じます。
    身体技法まで欧米化しつつある現代では、やっぱり土に根を下ろして生きたいなと思いました。

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。神戸女学院大学を2011年3月に退官、同大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。著書に、『街場の教育論』『増補版 街場の中国論』『街場の文体論』『街場の戦争論』『日本習合論』(以上、ミシマ社)、『私家版・ユダヤ文化論』『日本辺境論』など多数。現在、神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。

「2023年 『日本宗教のクセ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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