サーカスの夜に

著者 :
  • 新潮社
3.28
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本棚登録 : 1234
感想 : 153
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103311928

作品紹介・あらすじ

サーカスに魅せられ、綱渡り師を目指す少年の冒険と生長。心躍る物語。離ればなれになった両親とかつて一緒に見たサーカス。忘れられないその不思議な世界の一員になることを目指して入団した少年の前に現れる、自由で個性の強い人々。クラウン、ピエロ、ブランコ乗り、ジャグラー、そして美味しいお菓子やスープを作ってくれるコック。少年は少しずつ綱渡りを学んでゆく。新鮮な長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 両親をなくし、
    育ててくれたグランマの元を離れ
    あるサーカスへ潜り込む少年の話


    なんだかふわふわとした心地の作品で
    そのままふわふわとしたまま
    終わってしまったー

    サーカスの空気感は好きだったんだけど。


    サーカスにいる人たちが
    ありのままの自分を受け止めて
    それを芸に変えていく姿や
    少年の成長が
    もう少しグググっとくるものがあればな
    と思ったり

    なんだかふわふわしてるうちに終わってしまって
    もったいないなー


    昔読んだダレンシャンを思い出しました

    好きだったなーダレンシャン

  • 母が、サーカスが好きで、居住都道府県でサーカスがある時は付き合わされる。一昨年は、木下大サーカスやシルク・ドゥ・ソレイユのキュリオスに行った。
    シルク・ドゥ・ソレイユのパフォーマンスがサーカスにカテゴリー該当するかわからないが、ラスベガスでも、オー(O)、カー(Ka)、ズーマニティー(Zumanity)、ミスティア(Mystere)、ラブ(Love)を見た。きっと、私自信も、サーカスが好きなんだと思う。オーを初めて見た時は衝撃的で、それから5回以上は見ている。ただ、詳細なパフォーマンスの記憶はだんだんと忘却しているものの、あの時の感動は今も覚えている。特に、いつも始まった直後のあのドキドキの興奮感がたまらなくて、この瞬間が好きだなぁと、興奮を客観的に見ている自分がいる。

    「離ればなれになった両親とかつて一緒に見たサーカス。忘れられないその不思議な世界の一員になることを目指して入団した少年の前に現れる、自由で個性の強い人々。クラウン、ピエロ、ブランコ乗り、ジャグラー、そして美味しいお菓子やスープを作ってくれるコック。少年は少しずつ綱渡りを学んでゆく。心躍る物語。 (本書紹介文より)」

    実をいうと私の中のサーカスのイメージは、あまり良くない。イメージは見世物小屋であるからだ。それこそ、日本の時代劇で、身体的なハンディキャップのある人を小屋の中で見せ物にして、お金をとっていたようなマイナスのイメージである。外国ではそんなことはないのかもしれないが、何故か、そんな連想をする。
    今では、シルク・ドゥ・ソレイユのイメージが強くなりすぎて、そんなことも忘れてしまいがちで、逆に団員の人たちは、かつてアスリートとして活躍していたような身体的に秀でた人たちが集まる集団のようなイメージがある。

    そしてこの作品で、知った事実がある。
    1つ目は、時代の流れ、背景である。私が小さい頃に見たサーカスでは、沢山の犬、犬だけではなく象や猿や動物がたくさん登場していた記憶がある。
    しかしながら、本作でペンギンの死で、動物愛護団体から叩かれたというところを読み、「ああ、そうか。」と、いろいろな時代の流れ、背景があることを知った。

    2つ目は、クリニクラウンという確立した名前を持つ職業があるということだ。確かに、身体的、精神的な病気を抱えている人達にこそ、非日常的な体験、感動、笑いが必要だと思う。パフォーマーにとっては、自分たちのパフォーマンスが人を笑顔にさせる力があると実感することが、何よりの充実感、モチベーションアップになる。それは双方向のwin-winである。だからこそクリニクラウンたる存在がいかに重要であるかは、よくわかる。主人公の少年だからこそ相手の気持ちも自分たちの気持ちもわかるのではないかと思えた。
    余談ではあるが、この場面で、トロのクラウン芸に対しる表現に『運命との和解』という言葉が使用されていた。この言葉のインパクトがとても強く、クラウン芸を受ける側だけでなく、行う側が意思のようなものを感じた。

    少年は、過去の幸せを求めて、サーカスという世界に飛び込んでいく。そして、その世界で自分に与えられた役割に取り組んでいく。最初は、コックの見習い、そしてトイレ掃除、そしてジャグリング、ついには綱渡り師を目指していく。ハンディギャップという世界からだんだんと離れ、生き生きとしていく様が描かれている物語であった。

    • りまのさん
      フェリーニの道 という映画の中のクラウン 女優さん(だれだっけ?)に、にている、と言われた事がある。あんまり嬉しく無い…
      フェリーニの道 という映画の中のクラウン 女優さん(だれだっけ?)に、にている、と言われた事がある。あんまり嬉しく無い…
      2020/08/12
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      kurumicookiesさん
      シルク・ドゥ・ソレイユ復活しないかなぁ、、、
      kurumicookiesさん
      シルク・ドゥ・ソレイユ復活しないかなぁ、、、
      2020/09/29
  • サーカス団に入った少年の物語。
    全体的に不思議な雰囲気。謎な人たちが多いせいもあるかな。遠い国や時代の話に感じるからかも(読んでいくとどうも現代らしいけれど)。

    ナットーの美しい綱渡り、見てみたいな。
    でも個人的には、命綱やネットをつけてくれた方が安心して見られる気がする。だって落ちて大惨事になったらと思うと怖いもん。

    本筋とはあまり関係ないのだけど、「仕事っていうのは、たいてい苦しくてつまらないものさ。その中から、小さな喜びややりがいを見出すことに意味がある」というコックの台詞にぐっときた。そうだよなぁ。小さな喜びを探して頑張ろう。

  • 何もないただの野っ原にひとたびテントが立つと、サーカスが生まれ立派なステージになり、魔法がかかったような夢の一夜が始まる…。

    たまたま目にした一枚のサーカスのチラシに目を奪われる少年。
    夢のような響きが頭から離れない少年は一人、サーカス団で働くことを決める。
    過去の自分を捨てる覚悟を持ち、綱渡り師になることを決めた少年は、遥かなる未来の一点だけを見つめ、ただひたすらに前進する!

    幼い頃に飲んだ薬のせいで一生身体が成長しない少年だったけれど、心の成長は誰よりも早かった。
    憧れの未来への一本道を歩き始めた少年にエールを贈りたい。

  • 病気の薬のせいで、10歳から大きくならない13歳の男の子が主人公。

    両親が別れてしまい、グランマと住む主人公は、グランマの負担になりたくないということで、家を出てレインボーサーカスという所へ。

    サーカスで色々な人と出会い、成長していきます。

    多分、少年の名前を探す話なのかなぁと。

  • いしいしんじの世界の様な、どこかの異国で時代も背景も分からない様な、そんな雰囲気のお話でした。少し、小川洋子の「猫を抱いて象と泳ぐ」を思い出しながら不思議なサーカスの世界に埋もれながら読んでいました。
    一言で言うと「貧乏なサーカス団を舞台にした、少年の成長の物語」だと思う。だけど、それだけじゃ全然しっくりこない世界観がある。登場人物の色とりどりの破片が散りばめられて、サーカスという不思議な迷路に迷い込んで、ずっとその空気の中で、一人の異国の旅人になった心地でした。

    ―僕は、未来を見つめたまま、歩き続けた。未来の先に、自分の背中が見える。つまり未来とは、僕自身のこと?―

  • 成長しない体になってしまった少年が、グランマのもとを離れサーカスに入団します。団員との交流を通して成長していくお話です。

    少年が入団したレインボーサーカスは、個性的な団員がいて「食べ物」に由来したニックネームがついているのですが、少年が厨房で下働きしていて料理や食材の話もでてくるので、だれがどれだかわからなくなって面白さが半減した感じです。

    自分の体は窮屈な「キグルミ」。綱渡り師のナットーが男性の体というキグルミから蝶のように脱皮してズフラとして生まれ変わったことを少年が知り、これ以上大きくならない自分の体は所詮「キグルミ」なんだと気付くシーンが読ませどころですね。

    「食べ物は争いの元になる。ハングリーとアングリーは根っこでは繋がっている」というコックの名言が一番印象に残りました。

  • とっても素敵な本でした。
    少年の清い心とまわりのサーカス仲間たちの優しさが感じられるる本でした。
    思いやりと素直な気持ちが大事なんだなと思った。

  • 身体が大きくならないハンデとコンプレックスを持った少年が、育った小さくて狭い世界から自分の意思で世界に飛び出す。サーカスに恋して、サーカス団の中で自分の居場所と役割を見つけながら、成長していく。
    おとぎ話のような異世界感も漂いつつも、現実の地方公演巡業しているサーカス団もこんな感じなのかな?と知らない世界を物語を通じて想像するのも、読んでいて楽しかった。様々な過去を持つ団員たちと出会いと別れてを通じて、また少年が成長する姿は、小中学生に読んで貰いたいなと感じた。
    面白かった。久しぶりに若返った気持ちで物語に入れた。

  • 両親が離婚し、祖母と二人で暮らす13歳の少年。彼は病気のせいで身長が伸びずにいたが、かつて両親と観たサーカスを忘れられず、入団を決意する。彼をとりまくサーカス団員との交流を通じ、成長をしていく様子を描く。
    前向きな気持ちになれる一冊。サーカスに関わる人々の、楽しさと哀しさが伝わってくる。
    余談だが、コックが作る世界の料理は美味しそう。

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著者プロフィール

作家。デビュー作『食堂かたつむり』が、大ベストセラーとなる。その他に、『喋々喃々』『にじいろガーデン』『サーカスの夜に』『ツバキ文具店』『キラキラ共和国』『ミ・ト・ン』『ライオンのおやつ』『とわの庭』など著書多数。

「2023年 『昨日のパスタ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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